19CD
廃盤
《フレデリック・フェネル・コレクション》
イーストマン・ウィンド・アンサンブル
イーストマン=ロチェスター・ポップス・オーケストラ
アメリカの吹奏楽指揮者、フレデリック・フェネル[1914-2004]は、実演・録音・教育など幅広い分野で活躍し、晩年には日本の吹奏楽界に大きく貢献したことでも知られています。
フェネルの名を世界的なものとし、代表作を数多く含むとされているのが、1950年代から1960年代にかけてマーキュリー・レーベルで取り組んだレコーディングの数々。
半世紀以上前の録音ですが、音にこだわったレーベルだけに、若きフェネルの勢いのある演奏を生々しいサウンドで収録することに成功していました。
また、指揮のほかに打楽器も専攻したフェネルは、各種打楽器や特殊楽器にもこだわっており、マーキュリー録音チームの絶妙なマイク・ポジションが、それら打楽器や銃火器の音をも迫力ある音で収録しているのも聴きどころです。
【フェネルの実績】
打楽器と指揮と理論を専攻したフェネルは、ひと通りの技術や知識を習得して現場経験も積んだのち、奨学生としてザルツブルクに留学、モーツァルテウム音楽院でのヘルベルト・アルベルトからのオペラの指導に加え、ザルツブルク音楽祭ではフルトヴェングラーやクナッパーツブッシュらと交流してリハーサルも詳しく見学、オペラやシンフォニーなどの演奏に関する理解を深めています。帰国後はロチェスター大学イーストマン音楽学校大学院で修士号を取得し、同校指揮科教授に就任。指揮活動も並行しておこない、ニューヨーク・フェデラル交響楽団ではプロ・デビューを果たしていました。
経験を積んだフェネルは、かつてはマーチング・バンドなど実用音楽的な需要の大きかった吹奏楽の本来の可能性を追求するため、演奏技術の向上だけでなく、多くの作曲家に委嘱してレパートリーを増強、凝ったプログラムで演奏会を開き、レコーディングも積極的におこなうことでファン層を拡大して行きました。
【フェネルの代表作】
フェネルのマーキュリーへの録音は、吹奏楽や金管アンサンブルをメインに、オーケストラとの演奏も含むもので、作曲時期もバロック期から20世紀まで非常に広範囲。作風もさまざまで、委嘱作品や吹奏楽のためのオリジナル作品に加え、オペラなどの有名曲の編曲作品や、南北戦争絡みのユニークな企画作品など実に多彩。このセットではそれらの中から代表的なものが収録されています。
以下、収録作品についてタイプ別に紹介します。
【軍楽系】
吹奏楽、鼓笛隊、金管楽器、打楽器などは軍隊と縁が深く、特に昔の戦争では、兵士たちの士気を高めたり、楽しませたり、休ませたり、そして弔ったり、軍隊生活の様々な局面で信号として合図する役割を担うなどその存在はとても重要でした。
中でも、アメリカの歴史上最大の戦争で、奴隷制維持派の民主党陣営のアメリカ連合国軍(南軍)と、奴隷制反対派の共和党陣営のアメリカ合衆国軍(北軍)が国を二分して戦った「南北戦争」は、19世紀なかばの4年間に90万人以上の犠牲者を出したこともあって、野営キャンプにも行軍にも突撃にも音楽はつきもので、多くの旋律が繰り返し演奏されて浸透していきました。
ちなみにちょうど80年後に同じく4年間おこなわれた第2次世界大戦でのアメリカの死者数は40万人強なので、アメリカ人同士で殺しあった南北戦争がいかに凄惨なものであったかよくわかります。
なお、子供のころに鼓笛隊でスネアドラムを叩き、のちには指揮のほかにパーカッションを専攻したフェネルは、第2次世界大戦中、アメリカ軍への慰問活動などをおこなう組織の音楽顧問として活動し、のちには海軍と海兵隊の軍楽隊も指揮するなど、軍楽には少なからぬ縁がありました。
このセットには軍楽系アルバムが3枚分収められており、そうしたフェネルの軍楽への愛着ぶりをうかがうことも可能となっています。
【管楽アンサンブル系】
13管楽器のためのセレナーデの傑作セレナーデ『グラン・パルティータ』では、じっくり丁寧な演奏を聴かせています。R.シュトラウス初期のセレナーデも13管楽器のために書かれたもので、フェネルの演奏は同じく響きをうまくコントロールすることで初期ロマン派的な美感が聴きものとなっています。
ガブリエリの作品集は、バロック初期、ヴェネツィア楽派の壮麗な美しさを見事に表現した傑作。ジョヴァンニ・ガブリエリ[1554-1612]は、ヴェネツィア生まれの作曲家で、叔父アンドレアの指導によりオルガンと作曲の腕を磨き、サン・マルコ大聖堂の首席オルガニストと首席作曲家を長年に渡って務めた人物。同じヴェネツィアにあるサン・ロッコ教会のオルガニストも務めていたジョヴァンニ・ガブリエリの作品は質量共に充実しており、ヴェネツィア楽派の頂点を築いて当時のヨーロッパにその名を広く知られるようになります。そのジョヴァンニの育ての親ともいえる存在が、叔父のアンドレア・ガブリエリ[1533-1585]。アンドレアはサン・マルコ大聖堂のオルガン奏者と作曲家を長年に渡って務め、大聖堂でおこなわれた儀式のための音楽を数多く作曲、それを甥のジョヴァンニが継承・発展させています。ここでは近代イタリアの作曲家ジョルジョ・フェデリコ・ゲディーニ[1892-1965]が編曲したヴァージョンを使用し、空間の大きな広がりを感じさせる壮麗な音響を聴かせています。
【吹奏楽系】
フェネルの実績のメインともいえるのが、吹奏楽編成作品の演奏水準の向上と、レパートリーの拡大でした。
バーナード・ロジャーズの『3つの日本の踊り』はどこか中国風な感じもしますが、第3曲の迫力には凄いものがあります。
対照的に、パーシケッティの『詩篇』は吹奏楽の美しさを追及したものとなっており、多彩な響きを追及した交響曲第6番と共にパーシケッティの代表作と言える内容となっています。
ゴードン・ジェイコブの組曲『ウィリアム・バード』はルネッサンスの作曲家バードの典雅なヴァージナル作品をオーケストラ用に編曲したものをさらに吹奏楽用に編曲したもので、現在では吹奏楽用の方が人気があるという優れた編曲。
モートン・グールドの『ウエスト・ポイント交響曲』は、アメリカの有名な陸軍士官学校「ウエスト・ポイント」について交響曲に仕立てたもので、第1曲「墓碑銘」では敷地内の墓地なども描いていますが、面白いのはマーチング・マシンを用いて敷地内の行進の様子も同時に表現しているところ。第2曲「行進曲集」はショスタコ風な諧謔からパッサカリア、軍楽まで楽しめる音楽。
【吹奏楽/行進曲系】
フェネルが得意とする行進曲。マーチング・バンドの実績も豊富なフェネルはスーザ賞を受賞するほどのスーザの権威でもあります。ここではスーザのほかに、おなじみのウォルトンやフチーク、ゴールドマンも収録。
フェネルの指揮する行進曲は、得意の打楽器も大活躍する小気味よいスタイルとレパートリーの幅広さが特徴となっています。
【オーケストラ】
吹奏楽をメインに活動したフェネルですが、ポップス・オーケストラもよく指揮しており、クラシックの小品集や、人気のあったルロイ・アンダーソン、グレインジャーのほか、、ガーシュウィンやミュージカルの編曲も録音していました。
コンディション良好。
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