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酒あり旅あり花ありの人生の文学の醍醐味。ユーモアと温熱がかよう自然体問答の魅力。巧みに響き合う９人の作家との貴重対談集。


「もうだめだね、おれ達は。…もう死のう、井伏」「うん。死ぬか（笑）、しかしもうちょっと待て」―井伏鱒二翁、七十一歳から九十一歳までの折々に、気のおけない文学の同志、後輩の九氏と大いに語り合った十の座談。酒あり花あり、旅あり釣りあり、尽きせぬ話題は巧みに響き合い、ユーモアと温もりがかよう自然体問答の妙。人生の醍醐味に溢れ、井伏文学の機微を伝える、唯一の対談集。

目次

自然と文学（深沢七郎）

『黒い雨』その他（神保光太郎）

文学・閑話休題（永井龍男）

釣談義浮世問答（開高健）

文学青年窶れ（尾崎一雄）

地理・歴史・文学（河上徹太郎）

『荻窪風土記』の周辺（安岡章太郎）

文学七十年（河盛好蔵）

僕らは書くしかない（三浦哲郎）

文学者の証言　昭和を送る（安岡章太郎）

レビューより

『黒い雨』で知られる井伏鱒二さんが親しく交流した作家と行なった10編の対談集で、様々な作家と作品は言うまでもなく、時代と文化についての様々な経験と暮らし、文士独自の趣味などについて気楽に、奔放に、また洒脱に語り合っており、今では消滅した（？）と思われるいわゆる「文士」の羨ましい生態に触れることができる。深沢七郎や開高健などはまことに面白い。