A1255 【Dior】圧巻10.14ct!「サンタマリア」アクアマリン 0.11ctダイヤ Pt900リング 鑑定書付 クリスチャン・ディオール 至高の逸品 梅湯

A1255 【Dior】圧巻10.14ct!「サンタマリア」アクアマリン 0.11ctダイヤ Pt900リング 鑑定書付 クリスチャン・ディオール 至高の逸品 梅湯 收藏

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【Dior】圧巻10.14ct!「サンタマリア」アクアマリン 0.11ctダイヤ Pt900リング 鑑定書付 クリスチャン・ディオール 至高の逸品 A1255


ご覧いただき誠にありがとうございます。
ファッション界の巨匠、クリスチャン・ディオール(Christian Dior)より、息をのむほどに美しい、最高級セレブリティリングをご紹介させていただきます。
◆ディオールとハイジュエリーの歴史:永遠のエレガンスを指先に◆
クリスチャン・ディオール。その名は、1947年の「ニュールック」革命以来、常に時代の最先端を行くエレガンスと革新の代名詞です。オートクチュールで培われた美意識と完璧主義は、ファインジュエリーの世界にも受け継がれ、一点一点が芸術品としての風格を湛えています。ディオールが生み出すジュエリーは、単なる装飾品ではなく、メゾンのエスプリと歴史、そしてそれを手にする女性の個性を輝かせる特別な存在。このリングもまた、ディオールの卓越したクラフツマンシップと美的センスが凝縮された、まさに「作品」と呼ぶにふさわしい逸品です。
◆主役は稀少石「サンタマリア」アクアマリン:10.14カラットの奇跡◆
このリングの心臓部には、10.14カラットという圧巻のサイズを誇る天然アクアマリンが鎮座しています。特筆すべきは、その類稀なる「サンタマリアカラー」。かつてブラジルのサンタマリア・デ・イタビラ鉱山で採掘された、深く濃いブルーを持つ最高品質のアクアマリンにのみ与えられるこの称号は、現在ではアフリカ産などでも同等の美しい色合いを持つものに用いられます。
画像からもお分かりいただけるように、このアクアマリンは、澄み切った南国の海をそのまま閉じ込めたかのような、鮮やかでありながらも気品に満ちたブルーを呈しています。内側から放たれる清冽な輝き、どこまでも続くかのような透明感は、見る者の心を捉えて離しません。10カラットを超える大粒でありながら、インクルージョンが極めて少なく、オーバルミックスカットによってその潜在的な美しさが最大限に引き出されています。その輝きは、指を動かすたびに多彩な表情を見せ、周囲の視線を釘付けにするでしょう。
◆最高級Pt900とダイヤモンドが織りなす、洗練の輝き◆
この壮大なアクアマリンを支えるのは、最高級のPt900(プラチナ900)無垢材。プラチナならではの重厚感と、凛とした白い輝きが、アクアマリンのブルーを一層際立たせます。アームからセンターストーンへと続くショルダー部分には、合計0.11カラットの絶品ダイヤモンドがセッティングされており、まるで夜空に輝く星々のように、センターストーンの壮麗な美しさを引き立てています。シンプルながらも計算され尽くしたデザインは、ディオールならではの洗練された美意識を感じさせ、流行に左右されることなく永くご愛用いただける普遍的な魅力を秘めています。
◆商品の状態と付属品◆
【ブランド】Christian Dior (クリスチャン・ディオール)
【主石】天然アクアマリン 10.14ct (サンタマリアカラー表記あり)
【脇石】天然ダイヤモンド 0.11ct
【素材】Pt900 (プラチナ900)
【リングサイズ】11.5号
【総重量】約11.6g
【トップ縦幅】約16.2mm
【刻印】ブランド刻印、Pt900、1014、D011 (石目)
【付属品】NGL(ノーブルジェムグレイディングラボラトリー)発行の宝石鑑別書、ブランド純正ケース(またはそれに準ずるケース)
【状態】新品仕上げ済み。熟練の職人により丁寧に磨き上げられており、新品同様の美しい輝きを取り戻しています。
◆このリングがもたらす特別な体験◆
このリングは、単に美しいだけでなく、持つ人の品格を高め、特別な自信を与えてくれるでしょう。大切なパーティーや記念日、あるいは日常を少し特別なものにしたいとき、このディオールのリングはあなたの最高のパートナーとなるはずです。
「サンタマリア」の名を冠する大粒アクアマリンの稀少性、ディオールのブランドバリュー、そしてPt900という素材の価値は、資産としても将来にわたり輝きを失うことはありません。
この機会を逃せば二度と出会えないかもしれない、唯一無二の輝き。
クリスチャン・ディオールのエスプリが息づく、至高のジュエリーをぜひお手元にいかがでしょうか。
皆様からのご入札を心よりお待ちしております。

以下、所謂ブラクラ妄想ショートショートです〜〜京都梅湯の並びには、国内では珍しい本格ヨルダン料理の薪料理を早朝から食わせてくれるお店があります。海外の素敵なお姉さんと大テーブルで一緒に食べられ旅行気分を味わえます。因みにおっさん一人だとカウンターなので注意w

蒼き星影の姫君 ~梅湯より平安へ~
第一章:京の湯けむり、異界への誘い
田中健司、四十八歳、独身。中堅の電子部品メーカーで営業課長を務める彼は、自他ともに認める「おじさん」だった。若かりし頃の情熱はとうに薄れ、日々の仕事はルーティンワーク。週末の楽しみといえば、京都の古き良き銭湯「サウナの梅湯」での温冷浴と、その後の缶ビールくらいのものだった。銀色のフレームの眼鏡の奥の瞳は、どこか諦観を漂わせていた。
その日も、健司はいつものように梅湯の暖簾をくぐった。番台のおばちゃんに挨拶し、脱衣所で手早く服を脱ぐ。浴室の扉を開けると、カランの音、話し声、そして湯気が混然一体となった独特の空気が彼を迎えた。まずは熱い湯船でじっくりと体を温める。じわりと汗が滲み、一週間の疲れが溶け出していくようだ。そして、意を決して立ち上がり、水風呂へと向かう。
「ひゃっ!」
思わず声が漏れるほどの冷たさ。だが、この刺激がたまらない。数秒で全身の毛穴が引き締まり、頭が冴えわたる。この瞬間、健司は日常の些末な悩みから解放されるのだ。水風呂から上がり、休憩用の椅子に腰掛けると、ふと数日前に受け取ったばかりの荷物を思い出した。
それは、十年前に亡くなった母の遺品整理で見つかった、小さなジュエリーケースだった。妹から「お兄ちゃん、これ、お母さんが大事にしてたみたい。価値があるものかもしれないから、一度見てもらって」と託されたものだ。中には、息をのむほど美しいアクアマリンのリングが鎮座していた。大粒の、澄み切った空のような青。まるで夜空の星々をちりばめたように、周囲には小さなダイヤモンドが輝いていた。Pt900の刻印と、微かに「Dior」の文字。母がこんな高価なものを? いつ、どこで? 疑問は尽きなかったが、その美しさだけは健司の心にも深く刻まれた。あの青は、梅湯の水風呂の透明感にもどこか通じる気がした。
再び熱湯、そして水風呂。三度目の水風呂に浸かった時だった。いつもと違う感覚が健司を襲った。まるで魂が体から引き剥がされるような、強烈な浮遊感。視界がぐにゃりと歪み、水面の揺らぎが万華鏡のように色彩を放つ。水風呂の底に、あのリングのアクアマリンと同じ、深く、吸い込まれそうな青が広がっているように見えた。その青は次第に輝きを増し、健司の意識を飲み込んでいった。
「う……」
次に目を開けた時、健司は板張りの床の上に横たわっていた。水風呂の冷たさとは違う、ひんやりとした木の感触。周囲は薄暗く、灯明のようなものがいくつか揺らめいている。鼻をつくのは、嗅ぎ慣れない白檀の香り。そして、自分の体が妙に軽いことに気づいた。
「……ここは?」
掠れた声は、自分のものとは思えないほど高く、澄んでいた。おそるおそる自分の手を見る。白魚のように細く、滑らかな指。見慣れた節くれだった中年男の手ではない。混乱しながら顔に触れると、そこには柔らかな肌と、整った小さな鼻梁があった。慌てて近くにあったらしい銅鏡――いや、それは磨かれた金属の板だった――を覗き込む。
そこに映っていたのは、長い黒髪を持ち、柳眉、切れ長の瞳をした、見知らぬ若い女の姿だった。年は…せいぜい二十代半ばだろうか。着ているものは、まるで時代劇で見るような、何枚も重ねられた豪奢な絹の着物。袿(うちき)というのだろうか。
「嘘だろ……」
健司の思考は完全に停止した。何が起こったのか、全く理解できない。ただ、目の前の光景が現実離れしていることだけは確かだった。その時、ふと左手の薬指に冷たい感触があることに気づいた。見ると、そこにはあのディオールのリングが、なぜかしっかりとはまっていたのだ。しかし、そのデザインは微妙に変化していた。プラチナのアームはより繊細な銀細工のようになり、アクアマリンはまるで東洋の神秘的な宝石のような輝きを放っている。だが、あの深く澄んだ「サンタマリアカラー」と、周囲を飾るダイヤモンドの配置は紛れもなく、母の形見のリングだった。
「姫様、お目覚めでございますか?」
障子の向こうから、柔らかな女性の声がした。姫様? 誰のことだ? 健司――いや、今は見知らぬ若い女性の姿をした「何か」――は、混乱の極みにあった。
「若紫様、お加減はいかがでございますか?昨夜は少々お悩み深きご様子でございましたが…」
若紫…? その名前に、健司の脳裏に電流が走った。まさか。そんな馬鹿な。しかし、目の前の状況、自分の姿、そしてこの時代がかった言葉遣い。
「……私は、誰なのですか?」
震える声で問うと、障子が静かに開き、年配の女房らしい女性が入ってきた。彼女は心配そうにこちらを見つめ、優しく言った。
「何を仰せられますか、姫様。姫様は、藤原為時様のお嬢様、香子(たかこ)様…宮中では、女房として『紫式部』とお呼ばれ遊ばされておりますのに」
紫式部。
その言葉は、健司の頭の中で何度も反響した。平安時代。源氏物語の作者。日本の文学史に燦然と輝くその名前。自分が、あの紫式部に? 京都の銭湯の水風呂から、平安京の、かの女流作家に転生してしまったというのか? 左手のリングが、現実と非現実の狭間で、確かな存在感をもって冷たく輝いていた。それはまるで、遠い未来からの標(しるべ)のようでもあり、この不可思議な運命を繋ぎ止める錨のようでもあった。
健司の、いや、紫式部としての数奇な運命が、今、幕を開けようとしていた。アクアマリンの青が、新たな主の瞳の奥で、未来と過去を映すかのように揺らめいた。
第二章:宮廷の彩り、秘めたる心の揺らぎ
意識がはっきりとしてくるにつれ、健司――今は紫式部、いや、藤原香子としての自分を受け入れざるを得なかった――は、自分が置かれた状況の異常さと、同時に奇妙な現実感を噛み締めていた。四十八歳のサラリーマンの記憶と経験を持つ、平安時代の女流作家。まさに奇想天外だが、左手の指にはめられたリングだけが、二つの世界を繋ぐ確かな証のように、静かな光を放っていた。
香子が仕えるのは、一条天皇の中宮である藤原彰子(しょうし/あきこ)。彰子の父は、時の最高権力者、藤原道長。この時代の女性としては異例なことに、香子は漢籍にも通じた才媛として知られ、道長自らがその才能を見込んで彰子の女房兼家庭教師として宮中に召し出したのだった。
「式部、今宵も月が美しいのう」
縁側で月を見上げる彰子の隣に、香子は静かに控えていた。まだ十代半ばの彰子は、少女のあどけなさを残しながらも、中宮としての品格と聡明さを備えていた。健司の記憶にある歴史知識では、彰子は後に国母となる人物だ。
「まことに。まるで磨き上げられた銀鏡(ぎんきょう)のようでございます、中宮様」
香子は、自然と平安の言葉遣いが出てくる自分に驚きつつも、言葉を選んで答えた。指のリングが、月光を受けて淡く青い光を反射する。その光景は、かつて健司が眺めた京都の夜空の月や、梅湯のタイルに反射する灯りをどこか彷思い出させた。
宮中での生活は、華やかであると同時に、息詰まるような緊張感に満ちていた。女房たちの間には、目に見えない序列と複雑な人間関係が渦巻いている。彰子への忠誠、同僚たちとの協調、そしてライバルたちからの嫉妬や牽制。それは、健司が経験した会社の派閥争いや出世競争とはまた異なる、より直接的で、感情的なものだった。
特に香子の才能を快く思わない者もいた。清少納言という、才気煥発な女性が著した『枕草子』が評判を呼んでいたが、彼女は既に宮中を去り、今は香子が「才女」としての注目を集めていた。それは栄誉であると同時に、風当たりの強さも意味した。
ある日、他の女房たちと和歌の会が催された。題は「恋」。皆がそれぞれの思いを三十一文字に託す中、香子の番が来た。健司の心には、恋愛経験などとうに遠い記憶の彼方だったが、紫式部としての感性が、自然と歌を紡ぎ出す。
「めぐりあひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲がくれにし 夜半の月かな」
(やっと逢えたのに、あれが貴方だったのかどうかも分からないうちに、雲に隠れてしまった夜更けの月のように、貴方はあっという間に去ってしまった)
歌が詠み上げられると、一座はしんと静まり返った。それは、健司自身の心境――突如として現れたこの世界、掴みどころのない運命、そして元の世界への微かな郷愁――を映し出したかのようだった。同時に、それは恋の儚さ、人の心の移ろいやすさという普遍的なテーマをも捉えていた。
「……見事な歌でございます、式部殿」
最初に口を開いたのは、彰子付きの年長の女房、少納言の乳母(めのと)だった。彼女の目には、賞賛と共に、どこか香子の内面を見透かすような深みがあった。
指のリングに視線を落とす。アクアマリンの青は、時に健司がいた現代の空の色を思い出させ、時に平安京の澄んだ夜空の青と重なった。このリングは、ただの装飾品ではない。それは健司のアイデンティティの一部であり、紫式部としての新たな人生における羅針盤のようなものだった。
藤原道長もしばしば彰子の御所を訪れ、香子に声をかけることがあった。
「式部よ、お主の才は彰子のため、いや、この国の宝となるやもしれぬ。何か思うところがあれば、遠慮なく申すがよい」
道長の言葉には威圧感と共に、どこか人間的な温かみも感じられた。彼は香子の才能を高く評価し、それ故に期待も大きかった。その期待に応えなければならないというプレッシャーが、香子の肩に重くのしかかる。
健司としての記憶は、この平安の世では役に立たないことばかりのように思えたが、意外なところで活かされることもあった。例えば、人間関係の機微を読む力。営業マンとして培ってきた観察眼は、女房たちの間の微妙な力関係や、貴族たちの本音と建前を見抜くのに役立った。また、現代の物語や映画で触れた多様な人間ドラマの知識は、人々の感情の動きをより深く理解する助けとなった。
夜、一人文机に向かうとき、香子は時折、左手のリングを右手でそっと撫でた。アクアマリンの冷たい感触が、思考をクリアにしてくれる気がした。母は、このリングにどんな思いを込めていたのだろうか。そして、なぜ自分はここにいるのだろうか。
答えはまだ見つからない。しかし、香子の中で何かが動き始めていた。それは、この世界で生きる意味を見出したいという切実な願いであり、健司としての過去と、紫式部としての現在を結びつけようとする試みだった。そして、その心の揺らぎこそが、やがて不朽の物語を生み出す源泉となることを、彼女はまだ知らなかった。梅湯の温冷浴が生み出した奇跡は、壮大な物語の序章に過ぎなかったのだ。
第三章:蒼き石の導き、物語の胎動
平安京での日々は、水が流れるように過ぎていった。香子――健司の魂を宿す紫式部――は、宮廷の複雑な人間関係の網の目を巧みに泳ぎながら、中宮彰子への忠勤に励んでいた。彰子はその聡明さで香子の異質さ(時折見せる現代的な思考の片鱗)をそれとなく受け止め、むしろそのユニークな視点に興味を示しているようだった。
「式部、そなたの話を聞いていると、時折、まるで千年先の世を見ているかのような気がするのじゃ」
ある午後、彰子は庭に咲く撫子の花を眺めながら、ぽつりと言った。香子はドキリとしたが、平静を装って微笑んだ。
「恐れ入ります。わたくしなどは、中宮様のお側でお仕えできるだけで、夢のような心地でございますれば」
左手のリングが、陽光を受けてキラリと輝いた。その青は、どこまでも深い海のようであり、また、手が届かない天空のようでもあった。健司だった頃に母の遺品として見つけたディオールのリング。それは今や、香子にとって単なる装飾品ではなく、二つの世界を繋ぎ、そして彼女自身の内面を映し出す鏡のような存在となっていた。
藤原道長は、娘である彰子の教育と、彼女のサロンの充実ぶりに満足していた。彼は香子の文才を特に高く評価しており、しばしば彼女に「何か新しい物語を紡いでみてはどうか」と促した。当時、宮廷では物語が流行しており、特に女性たちの間では手写本が回し読みされ、批評し合うのが常だった。
「今の世には、まこと心揺さぶる物語が少ないように思う。式部よ、そなたならば、きっと素晴らしいものを書けよう」
道長の期待は、香子にとって大きなプレッシャーであると同時に、創作への強い動機付けともなった。健司だった頃、彼は小説など書いたこともなかった。せいぜい、営業日報や企画書をまとめる程度だ。しかし、紫式部としての身体と感性は、まるで水を得た魚のように、言葉を、物語を渇望しているのを感じた。
そして、何よりもインスピレーションを与えてくれたのは、健司としての四十八年間の記憶だった。現代社会の複雑な人間関係、報道される様々な事件、映画やドラマで描かれる愛憎劇。それらは平安の貴族社会とは異なるようでいて、人間の本質的な感情――愛、嫉妬、野心、別離、執着――においては驚くほど共通していた。
夜、一人灯火のもとで文机に向かうとき、香子はまず左手のリングをじっと見つめた。アクアマリンの深く澄んだ青。それは時に、健司が最後に見た梅湯の水風呂の青と重なり、不思議な静寂と集中力をもたらした。ダイヤモンドのきらめきは、まるで物語の登場人物たちの魂の輝きのようにも見えた。
「もし、この世で最も美しく、最も才能に恵まれた皇子がいたとしたら…」
そんな着想が、ふと浮かんだ。その皇子は、誰からも愛されるが故に、数奇な運命に翻弄される。彼の周りには、様々な身分の美しい女性たちが現れ、それぞれに複雑な愛の物語を織りなす…。
ペン、いや、筆が進んだ。健司だった頃の論理的な思考と、紫式部としての豊かな感受性が融合し、次々と登場人物たちが生まれ、動き出した。主人公の光源氏、彼の永遠の憧れである藤壺の宮、愛らしい若紫、情熱的な六条御息所…。彼女たちの喜び、悲しみ、苦悩が、香子の筆を通して生き生きと描き出されていく。
特に、登場人物たちの内面描写には、健司としての経験が活きた。中年男性として生きてきたからこそわかる、言葉にできない孤独感や、達成されない願望の痛み。それらが、光源氏や彼を取り巻く女性たちの心理描写に深みを与えた。例えば、光源氏が若き日の過ちを悔い、孤独に苛まれる場面では、健司自身の過去の後悔や、ふとした瞬間に感じる寂寥感が投影されているかのようだった。
物語は、彰子をはじめとする宮中の女房たちの間で、少しずつ評判となっていった。
「式部様の物語、実に面白うございます。まるで、本当にそのような方がいらっしゃるかのようで…」
「光源氏様の苦悩、女心ながら、胸に迫るものがございますわ」
ある時、道長が彰子の御所を訪れた際、香子が執筆中の物語の一節を耳にした。それは、光源氏が須磨へと流離する場面。栄華を極めた男が全てを失い、孤独と向き合う様が描かれていた。
「…ほう、これは面白い。して、この物語の名は何というのじゃ?」
道長は興味深げに尋ねた。
香子は少し考え、そして答えた。
「まだ定まってはおりませぬが…『源氏の物語』とでも、仮に呼んでおります」
その言葉を発した瞬間、左手のリングが再び強く輝いたように感じた。アクアマリンの青は、まるで須磨の海の青さを映しているかのようだった。健司がかつて写真で見た、瀬戸内海の穏やかで、しかしどこか物悲しい海の景色が、ふと心に浮かんだ。
物語は、香子の内なる宇宙そのものだった。健司としての過去の記憶、紫式部としての現在の経験、そしてアクアマリンのリングが象徴する二つの世界の架け橋。それら全てが渾然一体となり、壮大な物語世界を形作っていた。梅湯の温冷浴がもたらした奇跡の転生は、日本文学史上に残る傑作の誕生へと、確実に繋がり始めていたのだ。香子は、この物語を書き上げるという使命感を、日増しに強く感じていた。それは、自分がこの時代に生かされている意味そのもののように思えた。
第四章:水底の青、永遠なる物語
『源氏物語』は、たちまち宮廷の内外で大きな評判を呼んだ。彰子中宮はもちろんのこと、時の帝である一条天皇もその物語の虜となり、藤原道長に至っては「この物語を読まぬ者は、まことの教養人とは言えぬ」とまで公言するほどだった。香子――紫式部――の名は、不朽の物語の書き手として、平安の世に確固たる地位を築きつつあった。
しかし、名声が高まるにつれて、香子の心には新たな葛藤が生まれていた。自分は本当に紫式部なのだろうか。それとも、彼女の身体を借りた田中健司という名の、未来から来たおじさんなのだろうか。物語が完成に近づくにつれ、その問いはより切実なものとなっていった。
ある夜、香子は夢を見た。それは、懐かしい京都の風景だった。梅湯のレトロな看板、番台のおばちゃんの笑顔、そして湯気に満ちた浴室。熱い湯と冷たい水風呂を交互に楽しむ、いつもの自分。田中健司としての、ありふれた日常。夢の中で、健司は水風呂に沈んでいく。その水の色は、左手のリングのアクアマリンと同じ、深く吸い込まれるような青だった。
ハッと目を覚ますと、頬に涙が伝っていた。平安京の夜明け前の静寂の中、香子は左手のリングを見つめた。ディオールの刻印はもはやほとんど見えず、完全にこの時代の工芸品のように馴染んでいる。しかし、その中心で輝くアクアマリンの「サンタマリアカラー」だけは、変わらぬ鮮烈さで彼女の魂に語りかけてくる。それは、失われた過去への郷愁であり、同時に、この世界で生きる意味を問い続ける道標でもあった。
「式部、少し顔色が優れぬようじゃが、大丈夫かえ?」
彰子中宮が心配そうに声をかけた。物語の完成が近いことを知る彼女は、香子の心労を気遣っていた。
「…恐れ入ります。少々、夢見が悪かっただけでございます」
香子は穏やかに微笑んだ。彼女はもう、自分の出自について思い悩むことをやめようとしていた。田中健司であった記憶も、紫式部としての今の生も、全てが自分自身なのだと。そして、それらが融合したからこそ、『源氏物語』という奇跡が生まれたのだと。
物語の最終巻を書き上げる日々は、まさに心血を注ぐ作業だった。光源氏の栄華と苦悩、彼を取り巻く女性たちの愛と悲しみ、そして人の世の無常。それら全てを、香子は自身の全存在をかけて言葉に刻みつけていった。健司として生きた四十八年間の人生観、現代社会で目の当たりにした人間の業、それらが平安の雅な言葉遣いと融合し、普遍的な人間ドラマとして昇華されていく。
特に、物語の終盤、光源氏亡き後の宇治十帖では、登場人物たちのより内省的で複雑な心理描写が際立った。それは、健司が抱えていた中年特有の孤独感や、人生の黄昏に対する諦観にも似た感情が、香子の筆を通して新たな命を得たかのようだった。読者は、そこに描かれる人々の心の機微に、時代を超えた共感を覚えた。
ついに、『源氏物語』全五十四帖が完成した日。香子は一人、月明かりの差す部屋で、積み上げられた原稿の束を前に座していた。やり遂げたという達成感と共に、形容しがたい虚脱感が彼女を包んでいた。
ふと、左手のリングに目をやる。アクアマリンの青は、いつにも増して深く、静かに輝いていた。まるで、全てを見届けた証人のように。香子はそっとリングを指から外し、両手で包み込むように握りしめた。
「ありがとう…」
それは、このリングを遺してくれた母への感謝であり、この数奇な運命を導いてくれた何かへの感謝であり、そして、物語を書き終えるまで自分を支えてくれた、もう一人の自分――田中健司への感謝でもあった。
その瞬間、再びあの梅湯の水風呂にいた時のような、強烈な浮遊感と眩暈が香子を襲った。視界が白く染まり、周囲の音が遠のいていく。アクアマリンの青い光が、彼女の意識を包み込んでいく…。
次に気がついた時、田中健司は梅湯の休憩用の椅子に座っていた。
「…あれ?」
体はびしょ濡れで、心臓が早鐘を打っている。周囲には、いつものように湯上がりの客たちが談笑している。時計を見ると、水風呂に入ってから数分しか経っていない。
「夢…だったのか?」
あまりにも鮮明で、長い長い夢だった。平安京の風景、彰子中宮の優しい笑顔、道長の鋭い眼差し、そして『源氏物語』を書き上げた達成感…。
慌てて左手を見る。そこには、何の変哲もない、節くれだった中年男の手があるだけだった。あの美しいディオールのリングは、影も形もない。
「…そうか、やっぱり夢だったんだな」
健司は、どこか安堵し、同時に言いようのない喪失感を覚えた。銭湯を出て、夜空を見上げる。京都の空は、あの夢で見た平安京の空よりもずっと明るく、星の数は少ない。
数日後、健司は母の遺品のリングを宝石店に鑑定に出した。結果は、「最高品質のサンタマリア・アクアマリンとダイヤモンドを使用した、20世紀後半のディオールのアンティークリング。極めて価値が高い」というものだった。
健司はリングを受け取り、自宅の机の引き出しに大切にしまった。時折、それを取り出して眺める。深く澄んだ青は、あの夢で見た平安の空の色、そして『源氏物語』の世界へと彼を誘うかのようだった。
彼は変わらず営業課長として働き、週末には梅湯に通った。しかし、彼の内面には確かな変化が訪れていた。日常の風景が、以前よりもずっと豊かに、深く感じられるようになったのだ。人の心の機微に敏感になり、言葉の裏にある感情を読み取ろうとするようになった。そして何よりも、彼は物語を読むことが好きになっていた。特に、古典文学を。
ある休日、健司は図書館で『源氏物語』を手に取った。ページをめくるうちに、彼は不思議な感覚に襲われた。物語の登場人物たちの感情が、まるで自分のことのように理解できるのだ。光源氏の苦悩、女性たちの喜びや悲しみ…。それは、ただの読書体験を超えた、魂の共鳴のようなものだった。
読み進めるうちに、健司はふと気づいた。物語のいくつかの場面、登場人物のふとしたセリフや情景描写が、あの夢の中で自分が「書いた」ものと驚くほど酷似していることに。
「まさか…」
健司は息をのんだ。あの夢は、本当にただの夢だったのだろうか。それとも…。
確かなことは分からない。しかし、健司の心の中には、あの蒼いアクアマリンの輝きと共に、壮大な物語を生きた記憶が、確かに息づいていた。京都の銭湯の温冷浴が繋いだ、時を超えた奇跡。それは、平凡なサラリーマンの心に、永遠に消えることのない、美しい物語の種を蒔いたのだった。そして、引き出しの中のディオールのリングは、その秘密をただ一人知るかのように、今日も静かに青い光を放ち続けている。それは、かつて一人の姫君の指を飾り、不滅の物語の誕生に寄り添った、蒼き星影の記憶そのものだったのかもしれない。

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