絶版希少図録本 称名寺本 諸尊図像集 図像集 別尊雑記 一覧 重要文化財称名寺聖教 密教図像 真言宗 天台宗 加持祈祷 密教美術 仏画 日本の中世仏教美術 鎌倉密教 修法壇図 略次第他
神奈川県立金沢文庫
2011年
64ページ
約30x21x0.8cm
ソフトカバー
カラー・モノクロ
称名寺本の『諸尊図像集』 『図像集』 『別尊雑記』のうち、
現状で図像の掲載されているものを一覧できるようにしたもの。
資料は全て、重要文化財 称名寺聖教。
企画展「ほとけのずかん」に合わせて刊行された図録本。
巻頭に図像集についての総説1頁、
各資料の解説(年代、著編者、書写者、装丁、料紙、函番、本文残存状態、紙数、界線、行格、備考)3頁。
後の9~63頁まですべて図版で構成。小さいながらも、数百点の密教図像・尊像が収録されており、活字起こしは無いものの、『諸尊図像集』『図像集』はカラー図版。
裏書も多数掲載。図像集の図版内には梵号、密号、種子、三摩耶形、真言なども収載。
別尊雑記は経典の引用や真言にとどまらず儀式の略次第も含み、図像も「図像抄」掲載図に加えて異本が載せられ、一部修法の壇図なども掲載されています。活字の解説は少ないですが、大変貴重な資料本です。
【目次】
総説
資料
カラー図版
『諸尊図像集』
観音部
天部
『図像集』
五佛
佛頂
秘法
忿怒
天上
天下
モノクロ図版
『別尊雑記』
仏眼
薬師/善名称
六字経
文殊
随求
転法輪
烏蒭沙摩
聖天
弁才天
摩利支天
多聞天
主要参考文献
【はじめに】より
様々な願いを込めて人々が神仏に祈る姿は、現在でもよく見られる光景です。また密教では、人々の願いに応じて、古代から現在に至るまで、様々な修法が行われています。こうした長い歴史の中では、人々の多様な願いに応じるためや、他の宗派や流派に対抗するため、新たなほとけや修法が生み出されることすらありました。そして多種多様な形をもつようになったほとけの姿や修法を整理、蒐集する活動の中で生み出されていったのが、図像集と呼ばれる、「ほとけのずかん」だったのです。
横浜市金沢区にある称名寺では、鎌倉幕府の祈祷を行う寺院として活動するために、たくさんの図像が集められました。今回の展示では、現在も数多く伝来するこれらの図像集を一堂に展示します。その内容や姿の多彩さ、表現の魅力などを見て取っていただければ幸いです。
【資料】より一部紹介
諸尊図像集 〔刊写年代〕鎌倉時代 〔装訂〕巻子
〔料紙〕楮打紙
それぞれのほとけの姿を説く経典を引用し、併せて鮮やかな彩色を施した図像を載せた図像集。珍しい図像には、「法輪院本尊」といったようにその姿の典拠を記して掲載している。わずかながら裏書もみられるが、本文とは異なる経典からの引用や、別の図像の掲載にとどまっている。そのことから、ほとけの姿を収集することに重点の置かれた図像集と考えられる。
本書の編著者は不明ながら、図像に「別尊雑記」に収録されている「智泉様」を含むこと、心覚撰「諸尊図像」と共通する図像を含むことなどから、心覚の収集した図像群との親和性を指摘する意見がある。またやや寄り目がちで切れ長に表された目の表現は、称名寺本焔魔天曼荼羅の焔魔天に近いものが感じられる。
図像抄 〔著編者〕永厳、恵什 〔書写者〕釼阿
〔刊写年代〕鎌倉時代
〔装訂〕巻子 〔料紙〕楮打紙
まとまった図像集としては初のもので、全十巻であったことから、「十巻抄」とも呼ばれる図像集。鳥羽上皇の命により、保延五年から六年にかけて、平等房永厳の監修の下、勝定房恵什が編纂したと考えられている。写本は建久四年書写と推定される醍醐寺本をはじめ多数伝存するが、原本は失われている。その構成は、ほとけの名称の後に、サンスクリット語での名前や、シンボルである三昧耶形、行者が桔ぶ印や唱える真言などを記し、ほとけの図像を載せる形となっている。
称名寺に伝わる「図像抄」は、称名寺二代長老の釼阿が本文を記したとされ、七巻が現存する。そのうち図像を含むものは六巻で、いずれも淡彩が施されている。降三世明王の図像のように、高野山円通寺本などとは若干異なる一方で、称名寺光明院に伝わる黒漆塗厨子扉絵と共通するなど、称名寺界隈に伝来する絵画を考える上で重要な情報を含んでいる。
別尊雑記 〔著編者〕心覚 〔刊写年代〕鎌倉時代
〔装訂〕巻子 〔料紙〕楮打紙
常喜院心覚が編纂した図像集で、全五七巻であったことから「五十巻抄」とも呼ばれ、仁和寺に原本が四六巻分現存している。その構成は、成蓮院兼意の「成蓮抄」、成就院寛助の「別行抄」、勝定房恵什の「図像抄」、勝倶胝院実迎の「秘蔵金宝抄」、「玄秘抄」、「諸尊要抄」からの引用を順に載せ、勝定房説の後に図像を掲載している。
本文は、経典の引用や真言にとどまらず儀式の略次第も含み、図像も、「図像抄」掲載図に加えて異本が載せられ、修法の壇図が載せられることもある。ただ記述などに不統一性がみられることから、心覚存命中に完成しなかったとする説がある。
称名寺に伝わる「別尊雑記」は、15巻が現存し、そのうち11巻に図像が認められる。また九巻は、本文が非常に特徴のある字で書かれ、同一人物による書写と考えられる。
書写年代は不明ながら、称名寺が鎌倉幕府の祈祷寺院としての機能を充実させていく中で、称名寺本「覚禅抄」などと並んで収集されたと考えられる。
【図版】より一部紹介
『諸尊図像集』
観音部 如意輪観音部分 正観音 十一面観音 如意輪観音 如意輪観音十臂像 如意輪観音十二臂像 四天王寺救世観音 馬頭観音 智証大師請来馬頭観音 八臂馬頭観音 三面八臂馬頭観音 法成寺馬頭観音 一面四臂馬頭観音 三面四臂馬頭観音 三面ニ臂馬頭観音 一面四臂不空羂索観音 三面四臂不空羂索観音 三面六臂不空羂索観音 白衣観音 青頸観音 他
天部 四天王 毘沙門天 吉祥天 伎芸天女 弁才天 訶梨帝母 襄虞利童子 焔摩天 水天 地天 伊舎那天 火天 風天 梵天 日天 月天 尊星王 聖天 深沙神王 金翅鳥王 摩訶迦羅天 大黒天神 他
『図像集』
五佛 宝生如来 無量寿如来 不空成就如来 阿しゅく如来 大日如来 阿弥陀如来 他
佛頂 一字金輪 五秘密菩薩 他
秘法 金剛王 大随求菩薩 転法輪 大勝金剛 他
忿怒 不動明王 降三世明王 軍荼利明王 大威徳明王 金剛夜叉明王 烏枢沙摩明王 金剛童子 太元明王 大輪明王 他
天上 弁才天女 摩利支菩薩 訶梨帝母 氷掲羅天 妙見尊 北斗供法 焔摩天 襄虞利童女 宝蔵天女 深沙神 金翅鳥王 大黒天神
天下 十二天 火天 焔摩天 羅刹天 水天 風天 毘沙門天 伊舎那天 梵天 日天 月天 ほか
モノクロ図版
『別尊雑記』
仏眼 仏眼尊像部分
薬師/善名称
六字経 六字経法 次第 護摩壇図 小野流 護摩作法調伏行 支度
文殊 八字文殊曼荼羅部分
随求
転法輪
烏蒭沙摩
聖天
弁才天
摩利支天
多聞天 多聞天部分 ほか