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E0215-2 珊瑚の涙、時を超えた愛の誓い 大粒天然珊瑚14.5~6.1mm SLVネックレス 長さ45cm 重さ43.2g 幅14.5mm 
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珊瑚の涙、時を超えた愛の誓い

序章:令和の静寂と記憶の欠片
東京、谷中。古い寺町の一角に、蔦の絡まる洋館を改装したジュエリーアトリエ「Aoi's Atelier」は、ひっそりと息づいていた。主である水野葵(みずのあおい)、28歳。彼女の創り出すジュエリーは、アンティークの部品や忘れられた宝石に新たな命を吹き込み、過去の物語を現代に繋ぐとして、一部の目利きたちの間で静かな評判を呼んでいた。
しかし今、葵の指は、自身の作品ではなく、ベルベットのクッションに鎮座する一連のネックレスの上を彷徨っていた。乳白色から、はにかむ乙女の頬のような淡いピンクへ。柔らかなグラデーションを描く大粒の天然珊瑚は、その一粒一粒が満月のように艶やかな光を宿している。6.1mmから最大14.5mmへと流れるように大きさを変えるその連なりは、一つの生命の軌跡のようでもあった。
「おばあちゃんの、たった一つの宝物…」
昨年、九十歳で大往生を遂げた祖母、ハナ。その形見として葵の手元に残されたのが、この珊瑚のネックレスだった。生前、祖母がこれを身につけている姿を、葵は一度も見たことがない。ただ、年に数回、梅雨の晴れ間の湿った風が心地よい日に、桐の箪笥の奥から古びた桐箱を取り出し、中のネックレスを柔らかい布で丁寧に、慈しむように磨いていた。その横顔は、遠い昔の誰かに語りかけるように、寂しげで、そしてどこか誇らしげだった。
「どうして着けないの?」幼い葵が尋ねるたび、祖母は決まってこう答えた。「これはね、私の心を守ってくれるお守りだから。一番大切なものは、そっとしまっておくものなのよ」その言葉の意味を、葵はまだ本当の意味で理解できていなかった。
葵自身の心は、ここ数年、分厚い氷に閉ざされたままだった。同じくジュエリー職人だった元恋人。互いの才能を認め合い、将来を誓い合ったはずだった。しかし、彼が葵のデザインを盗用し、コンペで賞を獲ったあの日から、葵の世界は色を失った。信じていた人からの裏切りは、彼女から人を愛する勇気と、自身の才能への自信を根こそぎ奪い去ったのだ。それ以来、彼女の作るジュエリーはどこか刹那的で、深い愛情をテーマにすることができなくなっていた。
その夜も、葵はアトリエの片隅にあるアンティークのソファで、デザイン画に行き詰まり、うたた寝をしてしまっていた。締め切りは近いのに、インスピレーションの泉は枯れ果てている。ふと、無意識のうちに握りしめていた珊瑚のネックレスが、じわりと人間の肌のような温もりを帯びた気がした。それは、まるで誰かの心臓の鼓動に呼応するかのように、とくん、とくんと微かに脈打っているかのようだった。心地よい重みが葵を深い眠りの淵へと優しく引きずり込んでいく。首元で珊瑚が放つ、甘く、懐かしい潮の香りに包まれながら。
第一章:昭和十六年、運命の港町
次に目を開けた時、葵の五感を満たしたのは、アトリE0215-2 大粒天然珊瑚14.5~6.1mm SLVネックレス 長さ45cm 重さ43.2g 幅14.5mm. これを主人公に、人間関係が入り組んだ、深いタイムスリップ小説を書いて。 必ず20000文字で。感情に訴えかける感動的な内容。令和の素敵なハッピーエンドのジュエリーストーリーを参照はなしでエの絵の具や金属の匂いではなかった。鼻腔をくすぐるのは、潮の香りと、木材の匂い、そして遠くから漂ってくる醤油の香ばしい香り。耳に届くのは、車のエンジン音ではなく、活気に満ちた人々の話し声、下駄の軽やかな音、そして港から響く、腹に染み渡るような汽笛の音だった。
「…ここは、どこ?」
混乱しながら体を起こすと、自分が寝かされていたのはソファではなく、畳の敷かれた日本家屋の一室だった。障子窓から差し込む光は柔らかく、部屋の隅には古風な鏡台が置かれている。自分が着ているのは、いつものリネンのワンピースではなく、しっとりと肌に馴染む、矢絣模様の銘仙の着物だった。
おそるおそる鏡台の前に座り、そこに映る自分を見て、葵は息を呑んだ。そこにいたのは、紛れもなく自分自身の顔。しかし、頬はもっとふっくらとして、瞳にはまだ何も知らない少女のような、天真爛漫な光が宿っている。そして、その少女の首元には、あの珊瑚のネックレスが、まるで以前からそこにあったかのように、当たり前に輝いていた。
「ハナ、何をぼんやりしているの。お父様がお呼びよ。支度が遅れたら、また叱られてしまうわ」
襖がすっと開き、割烹着を着た女性が顔を覗かせた。その顔立ちを見て、葵は古いアルバムで見た曽祖母の面影を即座に見て取った。そして、彼女が呼んだ名、「ハナ」。
(私が…おばあちゃんに?)
葵の頭の中を、目眩がするような理解が駆け巡った。これは夢ではない。自分は、若き日の祖母、ハナの身体の中に入り込んでしまったのだ。状況から察するに、時代は昭和の初期。時計の針は、大きく、そして乱暴に逆回転してしまったらしかった。
呆然とする葵を、母は訝しげに見つめた。「どうしたの、ハナ。顔色が悪いわよ。昨夜、遅くまで本を読んでいたからでしょう」有無を言わさず手を引かれ、葵は「ハナ」として一日を過ごすことになった。
水野家は、この港町で手広く貿易業を営んでおり、町でも指折りの名家だった。父は厳格で、母は貞淑。ハナは女学校を卒業したばかりの十八歳で、良家の子女として、何不自由ない暮らしを送っていた。しかし、その生活は、葵が知る「自由」とは程遠い、見えない決まりごとに雁字搦めにされた世界だった。ぎこちない着物での立ち居振る舞い、耳慣れない言葉遣い、女性が大きな声で意見を言うことすら憚られる空気。すべてが、令和から来た葵にとっては息苦しいものだったが、肌で感じる風の匂いや、人々の熱気、障子に映る木々の影の美しさは、紛れもなく現実のものだった。
その日の午後、ハナ(葵)は母に頼まれ、港に停泊しているイギリスの商船に、父からの届け物を渡しに行くことになった。モダンなパラソルを差し、桟橋を歩いていると、突風が吹き荒れ、彼女がかぶっていたカンカン帽がふわりと宙に舞った。
「あっ!」
帽子は蝶のようにひらひらと舞い、波間にぽちゃんと落ちていく。諦めて見送ろうとした、その瞬間だった。一人の青年が、荷揚げの手伝いをしていた手を止め、猛然と桟橋を駆け抜けると、躊躇なく海へとその身を躍らせた。逞しい腕が力強く水をかき、あっという間に帽子を掴むと、彼は濡れた黒髪を無造作にかきあげながら、太陽のように眩しい笑顔でハナを見上げた。
「お嬢さん、お怪我はありませんでしたか?」
その青年こそ、高嶺清斗(たかみねきよと)だった。この地で三代続く真珠養殖業「高嶺真珠」の跡取り息子。日に焼けた精悍な顔立ちに、真っ直ぐな強い意志を宿した瞳。その瞳に見つめられた瞬間、ハナ(葵)の心臓は、まるで止まっていた時間が再び動き出したかのように、大きく、激しく高鳴った。
これが、祖母ハナがその生涯で、ただ一度だけ愛した男性との、運命の出会いだった。葵は、この出会いが、やがて二人を待ち受ける悲劇の序章であることを、まだ知る由もなかった。
第二章:許されざる恋と真珠の夢
清斗は、ハナに濡れた帽子を手渡すと、にかっと笑った。「ご無事で何より。この辺りは風が強いですから、お気をつけて」その飾り気のない、しかし心の底からの優しさが伝わってくる言葉に、ハナ(葵)は頬を染めることしかできなかった。
届け物を終えた帰り道、ハナ(葵)は偶然にも清斗と再会する。彼は、港の片隅にある自身の小さな作業場で、一心不乱にアコヤ貝の世話をしていた。その真摯な横顔に、葵は心を奪われた。彼の指先は、まるで赤子を扱うかのように優しく、貝一つ一つに愛情を込めて語りかけているようにさえ見えた。
「高嶺真珠の、ご子息様…」
声をかけると、清斗は驚いたように顔を上げた。「ああ、さっきの帽子の…」彼は少し照れたように頭をかいた。
「すごいですね。こんなにたくさんの貝…」
ハナ(葵)の言葉に、清斗の瞳が熱を帯びた。「今はまだ小さいですがね。父は、ただ大きく、白い真珠を作ることを良しとしている。でも、俺は違うんです。俺は、誰も見たことがないような、虹色の光を宿した真珠を作りたい。そのためなら、どんな苦労も厭わない」
彼の言葉には、家業を継ぐという義務感ではなく、自らの手で美を創造しようとする芸術家のような情熱が溢れていた。未来から来た葵にとって、彼の生き方はあまりにも不器用で、しかし、だからこそダイヤモンドの原石のように眩しく見えた。
「あなたの作る真珠、きっと世界一になりますわ」
思わず、心の声が口から出ていた。その言葉に、清斗は虚を突かれたように目を見開いた。まだ誰も、彼の途方もない夢を本気で信じてはくれなかった。「お前にはまだ早い」「伝統を守ることが一番だ」と、父からも、周囲からも諭されるばかりだった。しかし、目の前のハナは、何の疑いもなく、そう断言してくれたのだ。
「…ありがとう。そんな風に言ってくれたのは、あなたが初めてです」
その日を境に、二人は人目を忍んで会うようになった。清斗はハナを自分の養殖場がある小さな入り江に舟で連れて行き、真珠への熱い想いを語った。ハナ(葵)は、未来の知識を、この時代の言葉に慎重に変換しながら、彼にアドバイスをした。貝の病気を防ぐための水質管理の重要性、異なる種類の貝を交配させることで生まれる新しい可能性、そして出来上がった真珠の価値を正しく伝えるための「物語」の重要性。それらは、清斗にとって、まさに目から鱗が落ちるような画期的なアイデアだった。
「ハナさん、君は一体何者なんだ?まるで未来を見ているようだ」清斗は感嘆の声を上げた。葵は「女学校で、海外の文献を少し…」と曖昧に笑って誤魔化したが、清斗が自分に寄せる信頼と尊敬の念が、彼女の心を温かく満たしていくのを感じていた。
葵は、清斗と過ごす時間の中で、自分が失っていたものを取り戻していくような感覚に陥っていた。人を信じる心、夢を応援する喜び、そして、誰かを純粋に愛おしいと思う気持ち。元恋人への憎しみで凍てついていた心が、清斗の情熱の炎でゆっくりと溶かされていくようだった。
しかし、二人の穏やかな時間には、常に黒い影がつきまとっていた。清斗には、佐伯莉子(さえきりこ)という許嫁がいたのだ。莉子の実家である佐伯商会は、町の有力者であり、高嶺真珠の販路を支える重要な得意先だった。この縁談は、二人の意思とは無関係に、家と家の利益のために結ばれた、政略結婚の典型だった。
莉子は、洗練された洋装に身を包み、常に毅然とした態度を崩さない、プライドの高い女性だった。彼女は、清斗が身分違いのハナと会っていることに、いち早く気づいていた。ある日、町の甘味処で偶然を装ってハナの前に座ると、莉子は扇子で口元を隠しながら、氷のように冷たい声で言った。
「水野のご令嬢。あまり、清斗様に近づかれない方が、ご自身のためかと存じますわ。あの方とわたくしは、家同士が決めた間柄。あなたのような方が入り込む隙は、どこにもございませんのよ」
莉子の瞳には、嫉妬と、そしてハナの家柄に対する侮蔑の色が浮かんでいた。貿易商として成功しているとはいえ、水野家は元々はこの土地の出身ではない。古くからの名家である佐伯家から見れば、「成り上がり者」に過ぎなかったのだ。
莉子の鋭い言葉が、ハナ(葵)の胸に突き刺さる。葵は、祖母がこんなにも辛く、屈辱的な恋をしていたのかと、胸が締め付けられる思いだった。だが同時に、政略結婚という道具にされながらも、必死で清斗を繋ぎ止めようとする莉子の孤独と純粋さも理解でき、複雑な感情に苛まれた。これは、単純な善悪で割り切れる物語ではない。誰もが、それぞれの時代の価値観の中で、必死にもがいていたのだ。
第三章:嵐の夜と珊瑚に込めた誓い
その年の夏、記録的な台風が町を襲った。ハナ(葵)は、屋敷の雨戸がガタガタと鳴る音を聞きながら、清斗の養殖場のことが気になって眠れずにいた。彼の夢が、情熱が、あの入り江に詰まっている。
嵐が過ぎ去った翌朝、ハナ(葵)はいてもたってもいられず、家族の制止を振り切って港へと走った。そこに広がっていたのは、悪夢のような光景だった。清斗が心血を注いで作り上げた養殖筏は無残に砕け散り、大切に育ててきた真珠貝のほとんどが、死骸となって浜に打ち上げられていた。
瓦礫の中に立ち尽くす清斗の背中は、あまりにも小さく、頼りなかった。町の誰もが「高嶺真珠もこれで終わりだ」「跡取りの道楽が身を滅ぼした」と囁き、遠巻きに眺めているだけだった。
「清斗さん!」
ハナ(葵)は、泥濘に足を取られながら、彼のもとへ駆け寄った。振り返った清斗の瞳は、絶望の色に染まっていた。「…終わった。俺の夢は、全部、終わってしまった」
「ううん、まだ終わりじゃないわ!」ハナ(葵)は、彼の冷たくなった手を強く握りしめた。「まだ使える貝もあるはず。それに、この経験は決して無駄にはならない。もっと嵐に強い筏の作り方を考えればいい。私に、手伝わせて!」
その声には、理屈を超えた強い力が宿っていた。それは、未来を知る者としての確信と、愛する人を救いたいという一心から生まれた、魂の叫びだった。清斗は、ハナの真剣な瞳を見つめ返すうちに、失いかけていた心の光を、少しずつ取り戻していった。
その日から、二人の無謀な挑戦が始まった。ハナは、父の書斎から貿易に関する資料を持ち出しては、海外の造船技術や気象学の知識を独学で学び、清斗に伝えた。未来の科学知識をそのまま話すことはできない。だから葵は、この時代の人間が理解できる言葉と論理に必死で変換し、「海外の書物にはこう書いてあった」と説明した。清斗も、彼女の斬新なアイデアに驚きながらも、持ち前の行動力で次々と形にしていった。
周囲の冷ややかな視線も、莉子からの執拗な嫌がらせも、二人にとってはもはや障害ではなかった。泥と汗にまみれながら、同じ目的に向かって力を合わせる時間は、二人にとって何物にも代えがたい、幸福な日々だった。
養殖場がようやく復興の兆しを見せ始めた、ある月の美しい夜。清斗は、ハナを小さな伝馬船で沖へと連れ出した。月明かりが海面に銀色の道を創り出し、世界に二人しかいないような静寂が、あたりを支配していた。
「君に、見せたいものがあるんだ」
そう言うと、清斗は躊躇なく夜の海へとその身を投じた。ハナは息を呑んで見守る。しばらくして、ざばっという音と共に海面に顔を出した彼の掌には、見たこともないほど大きく、そして深く、柔らかな桃色を湛えた珊瑚の原木が握られていた。水滴がきらめき、月光を浴びて、それはまるで生きている心臓のように見えた。
「これは…?」
「この入り江の、海の底深くに眠っていたものだ。嵐が、奇跡的にこいつを俺たちの前に運んできてくれたのかもしれない」清斗は、船に上がりながら言った。「この海で一番美しいものだ。君の肌の色によく似ている。これで、ネックレスを作りたい。君への、感謝と…俺の、誓いの証として」
「誓い…?」
「ああ」清斗は、ハナの濡れた髪をそっと指で梳いた。「俺は、君と生きていきたい。どんな困難があっても、必ず君を迎えに行く。この珊瑚に、そう誓うよ」
それは、決して結ばれることのない運命にある二人が、唯一交わすことのできた、魂の婚約の儀式だった。葵は、今、自分がこの時代に来た本当の意味を悟った。この瞬間に、この誓いの言葉に、立ち会うために。自分が首にかけているネックレスの一粒一粒に込められた、清斗の揺るぎない愛情と、祖母ハナの切ない想い。その記憶の重みが、ずしりと葵の心に響いた。
第四章:引き裂かれた運命と最後の約束
奇跡的な復興を遂げた清斗の養殖場は、以前にも増して活気づき、彼の作る真珠の評判は、やがて町の内外に広まっていった。しかし、光が強まれば、影もまた濃くなる。その成功は、清斗とハナを引き離そうとする者たちの嫉妬と憎悪の炎に、油を注ぐ結果となってしまった。
決定的な引き金を引いたのは、莉子だった。彼女は、二人が夜の入り江で密会しているという事実を、誇張と嘘を交えて双方の両親に告げ口したのだ。さらに、水野家と佐伯家の間には、葵の知らなかった根深い確執が存在していた。先代の頃、ある大きな取引を巡って対立し、その結果、佐伯側に大きな損失が出たことがあったのだ。佐伯家は、水野家を今もなお恨んでいた。
ハナと清斗の関係は、もはや単なる若い男女の恋愛問題では済まされなくなった。それは、二つの旧家の面子と、町の商業的な力関係を揺るがす、一大スキャンダルへと発展した。
「二度と高嶺の若様と会うことは許さん!」
父の怒声が、屋敷中に響き渡った。ハナは、家の一室に閉じ込められ、外に出ることを固く禁じられた。窓の格子から見えるのは、切り取られた灰色の空と、遠くに見える海だけ。葵は、ハナの身体を通して、絶望と悲しみが魂を蝕んでいくのを感じていた。愛する人に会えない苦しみ、未来を奪われた無力感。それは、かつて自分が味わった失恋の痛みとは比べ物にならないほど、深く、鋭いものだった。
そんな監禁生活が数日続いたある夜、部屋にそっと差し入れられた夜食の盆の下に、一通の手紙と、小さな布の包みが隠されているのに気づいた。屋敷の女中が、不憫に思ったハナのために、密かに運んでくれたのだ。震える手で手紙を開くと、そこには清斗の力強い筆跡で、ただ一言、こう書かれていた。
「明後日の満月の夜、午前二時。入り江の樫の木の下で待っている。必ず迎えに行く。信じてくれ」
そして、包みを開けた瞬間、ハナ(葵)は息を呑んだ。中には、あの夜の珊瑚で見事に磨き上げられた、一連のネックレスが、柔らかな光を放って横たわっていた。一粒一粒が、清斗の指先によって、愛情を込めて形作られたのが分かった。それは、どんな高価な宝石よりも美しく、そして温かい、彼の魂そのものだった。
ハナは、ネックレスを強く握りしめ、涙を流した。行こう。清斗さんのもとへ。この窮屈な世界から、二人で抜け出すんだ。
駆け落ちを決意した日の夜、ハナは屋敷の者たちが寝静まるのを待ち、荷物をまとめた。胸には、清斗から贈られた珊瑚のネックレスを、お守りのように忍ばせた。しかし、約束の時刻が近づき、部屋を抜け出そうとしたその瞬間、ハナは激しい眩暈と吐き気に襲われた。視界が歪み、世界がぐにゃりと溶けていく。
(いや…行かなくちゃ…清斗さんが、待っている…)
必死に意識を繋ぎ止めようとするが、身体は鉛のように重く、言うことを聞かない。遠ざかっていく意識の向こうで、誰かが自分の名前を呼んでいる気がした。
次に葵が目覚めた時、彼女は令和の自分のアトリエのソファの上にいた。
頬を伝う、生々しい涙の跡。窓の外は、白々と明け始めていた。まるで、あまりにもリアルで、長い夢を見ていたかのようだった。しかし、首元で確かな重みを持つ珊瑚のネックレスが、そしてその珊瑚が帯びている、嵐の夜の海の匂いと、清斗の掌の温もりが、あれが決して夢ではなかったことを、雄弁に物語っていた。
「清斗さん…」
葵の口から、無意識にその名が漏れた。祖母が、愛する人と結ばれるはずだった、運命の夜。自分は、その一番大事な瞬間に、この時代に強制的に送還されてしまったのだ。残されたハナは、一体どうなったのか。清斗は、樫の木の下で、どれほどの時間、彼女を待ち続けたのだろうか。
葵の胸を、どうしようもない罪悪感と、心を抉るような切なさが突き刺した。
第五章:残された日記と真実の探求
令和の時代に戻った葵の心は、空っぽの抜け殻のようだった。祖母の悲恋を、自らの五感で追体験してしまった衝撃は、あまりにも大きかった。自分の失恋の痛みなど、取るに足らないちっぽけなものに思えた。それと同時に、人を愛することの、身を焦がすほどの素晴らしさと、そのどうしようもない痛みを、魂のレベルで理解した。
仕事は全く手につかなかった。葵は、まるで何かに導かれるように、実家の物置の奥深くへと足を運んだ。そこにあるはずだ。祖母が遺した、真実の欠片が。
埃をかぶった桐の箪笥の中から、葵は一冊の古びた日記帳を見つけ出した。それは、祖母ハナが女学生時代からつけていたものだった。震える手でページをめくると、そこには、瑞々しい筆致で、清斗との出会いから、秘密の逢瀬、そして引き裂かれるまでの日々が、克明に綴られていた。
『高嶺清斗様。なんと、真っ直ぐな瞳をなさった方だろう。あの方の語る真珠の夢は、まるで夜空の星のように、キラキラと輝いていた』
『今日も、入り江で二人きり。彼が私のために舟を漕いでくれる。その逞しい背中を見ているだけで、私の心は幸せで満たされる』
『莉子様のお言葉が、氷の刃のように胸に突き刺さる。私たちは、決して許されない運命なのでしょうか』
日記は、駆け落ちを決意した夜で終わっていた。しかし、その数年後、日付が飛んだ最後のページに、年老いた祖母のものと思われる、震える文字で追記がなされていた。
『清斗さん、ごめんなさい。あの夜、私はあなたの元へ行くことができませんでした。突然の病に倒れ、目を覚ました時には、全てが終わっていました。父が、あなたには「ハナは病で死んだ」と伝えたと聞きました。そして私は、父が決めた遠い親戚の元へ嫁がされました。あなたを待ちぼうけにさせ、嘘をついたまま逝かせてしまった私を、どうかお許しください。でも、あなたが命を懸けて贈ってくれたこの珊瑚のネックレスがある限り、私の心は、永遠にあなたのそばにあります。いつか、この愛の証が、時を超えて、誰かの心を照らす光となりますように』
日記を読み終えた葵は、嗚咽を漏らした。駆け落ちの夜、ハナは本当に病で倒れてしまったのだ。そして、家の名誉を守ろうとした父親によって、二人の仲は残酷に引き裂かれ、清斗はハナが死んだと信じ込まされてしまった。なんと悲しい、すれ違い。
祖母は、清斗と結ばれなかった後も、生涯彼を愛し続けていたのだ。そして、その愛の記憶が結晶となったこのネックレスを、未来の孫である自分に託したかったのだ。祖母が伝えたかったメッセージ。それは、たとえ結ばれなくても、人を愛した記憶は決して消えることなく、時を超えて誰かの心を温め、未来を照らす光になるということ。そして、愛することを恐れてはいけないということ。
「おばあちゃん…」
葵は、珊瑚のネックレスを胸に抱き、声を上げて泣いた。それは、祖母の悲しみを悼む涙であり、そして、自分自身の凍てついた心が、ようやく完全に溶け出したことへの、感謝の涙でもあった。
葵は、さらに真実を知りたいと思った。清斗は、その後どうなったのか。莉子は? 高嶺真珠は? 彼女は、図書館の郷土資料室に通い、古い新聞や名士録を調べ始めた。
そして、一つの記事を見つけ出す。それは、戦後、日本の復興期に、世界的な品評会で最高賞を受賞した真珠に関する記事だった。その真珠の名は「常世の虹(とこよのにじ)」。そして、その制作者として、高嶺清斗の名が記されていた。記事には、若き日の清斗の写真も添えられていた。ハナ(葵)が知る、あの太陽のような笑顔とは違う、どこか哀しみを湛えた、穏やかな表情だった。
記事によると、彼は生涯独身を貫き、ただひたすらに、誰も見たことのない美しい真珠を作ることに人生を捧げたという。そして、「常世の虹」は、彼が若き日に亡くしたという、最愛の女性に捧げられたものだと書かれていた。
さらに調べていくと、佐伯莉子が、戦後の混乱期に、傾きかけた高嶺真珠を、自身の才覚と実家の財力で最後まで支え続けたことも分かった。彼女は、清斗とは結婚しなかったが、生涯、彼の事業の最も良き理解者であり、パートナーであり続けたという。莉子もまた、自分なりの形で、清斗を愛し抜いたのだ。
全ての真実を知った時、葵の心には、不思議なほどの静けさが訪れていた。悲劇ではあったかもしれない。しかし、そこには、それぞれの形で愛を貫いた、三人の人間の、気高く、美しい生き様があった。
葵は、涙を拭うと、決意に満ちた表情でアトリエの作業台に向かった。
終章:ternit - 永遠なるもの
数ヶ月後、葵のアトリエで、新作ジュエリーコレクションの発表会が開かれていた。古い洋館の趣と、モダンな照明が見事に調和した会場は、多くの人々で賑わっていた。その中央、ひときわ強いスポットライトを浴びたショーケースの中に、一つのネックレスが、圧倒的な存在感を放って飾られていた。
それは、祖母の形見である珊瑚のネックレスを、葵がリデザインしたものだった。大粒の珊瑚の優美な連なりはそのままに、その一粒一粒の間に、夜空の星屑のように、極小のダイヤモンドが繊細なプラチナの糸で繋がれ、セッティングされている。そして、クラスプ(留め金)の部分には、寄り添うように羽を休める二羽の鳥のモチーフが、驚くほど緻密な彫刻で施されていた。過去の物語を、その痛みも、輝きも、全て優しく抱きしめながら、未来への揺るぎない希望を感じさせる、力強くも優しいデザインだった。
そのネックレスには、「ternit(エテルニテ) - 永遠」という名が付けられていた。
スピーチのためにマイクの前に立った葵は、少し震える声で語り始めた。
「このネックレスは、私の祖母が遺した、一つの愛の物語からインスピレーションを得て生まれました。それは、結ばれることのなかった、切ない恋の物語です。しかし、たとえ離れ離れになっても、互いを想う心、そして遺された愛の証は、時を超えて、こうして新しい命を得ることができるのだと、私は信じています。このジュエリーが、皆様の心の中にある、大切な誰かへの想いを、永遠に繋ぐ光となることを願って」
葵のスピーチに、会場は温かい拍手に包まれた。その聴衆の中に、一人の男性が、じっと葵を見つめていた。彼の名は、神崎海斗(かんざきかいと)。最近、葵が谷中の歴史的建造物の保存プロジェクトで知り合った、若手の建築家だった。彼は、古いものに敬意を払いながら、そこに新しい息吹を吹き込むという、葵とよく似た哲学を持っていた。彼の持つ、真っ直ぐで誠実な瞳は、不思議と、あの昭和の海で出会った清斗を思わせた。
発表会が終わり、人々が帰路につく中、海斗は葵のもとへ歩み寄った。
「水野さん、素晴らしいスピーチでした。そして、あのネックレス…まるで魂が宿っているようだ。あなたのジュエリーには、いつも過去と未来を繋ぐ、温かい物語を感じます」
「ありがとうございます。神崎さんも、古い建物を大切になさっていますものね。どこか、通じるものがあるのかもしれません」
はにかみながら答える葵の胸には、もうかつてのような臆病な心はなかった。祖母と清斗が、その人生を賭して教えてくれた、人を愛する勇気。莉子が示した、愛の形の多様性。その温かい光が、葵の心を確かに照らしていた。
「もし、迷惑でなければ…」海斗は少し躊躇いがちに切り出した。「今度、あなたのインスピレーションの源になったという、お祖母様の物語、もっと詳しく聞かせていただけませんか。そして、できれば…あなたの物語も」
その優しい申し出に、葵は、心の底から湧き上がるような喜びを感じながら、満面の笑みで頷いた。
「はい、喜んで」
窓から差し込む柔らかな午後の光が、ショーケースの中の「ternit」をキラキラと照らし出す。それはまるで、昭和の海で果たされなかった約束が、七十余年の時を超え、令和のこの場所で、ようやく成就したことを祝福する、永遠の光のようだった。
葵の新たな恋が、そして、過去から未来へと繋がる、新しい愛の物語が、今、静かに、そして確かに始まろうとしていた。
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