Benny Golson - Gettin' With It / Prestige LPJ-80023 (Japan, 1974)

【概要｜Overview】

• Format｜形式：Vinyl, LP, Album, 33rpm
• Label｜レーベル：Prestige / New Jazz
• Catalog No.｜品番：LPJ-80023
• Country｜製造国：Japan
• Year｜リリース年：1974年頃（日本プレス）

【構造｜Auditory Architecture & Perceptual Drift】

【文脈｜Contextual Field Notes】

【状態｜Media, Pressing & Condition】

• メディア（盤）：NM（Near Mint）
  盤面は非常に良好な状態で、目立つ傷やノイズは確認されません。
• ジャケット：EX（Excellent）
  軽微なシール痕があるものの、全体的に良好な状態を保っています。
• インサート：付属
  日本語による解説が記載されたインサートが付属しています。

【留意事項｜Terms & Logistics】

• 発送：匿名配送（おてがる配送ゆうパック80サイズ）
• 支払：!かんたん決済（落札後5日以内）
• 同梱対応：可能です（取引ナビにてご相談ください）
• 注意事項：中古盤の特性上、微細なノイズや個体差にご理解のある方のみご入札ください。商品説明と著しく異なる重大な欠陥を除き、ノークレーム・ノーリターンでお願いいたします。運送中の破損・紛失については配送業者の補償対応範囲内での処理とさせていただきます。当方では直接の補償は行いませんので、ご了承ください。

各曲の演奏分析とメンバーの役割

1. 「Baubles, Bangles & Beads」 ゴルソン編曲のスタンダード曲で、冒頭からカーティス・フラーのトロンボーン（ミュート使用）が太く柔らかな音色でテーマを彩ります。トミー・フラナガンのピアノもアップテンポで発想豊かなソロを披露し、続いてゴルソンのテナーサックスが持ち前の図太いトーンで加わって曲を盛り上げます。ドグ・ワトキンスのベースとアート・テイラーのドラムは堅実なリズムを提供し、全体のグルーブをしっかりと支えています。
2. 「April in Paris」 バラード調のスタンダード曲で、ゴルソンのテナーは優しくメロディーを紡ぎ出し、その穏やかなトーンとわずかなビブラートが曲の雰囲気を暖かく保ちます。アドリブに入ってもその柔和な調子を維持しており、聴き手も思わず微笑んでしまうようなリラックスしたムードが漂います。テイラーのブラシさばきはきめ細やかで、この曲のハイライトの一つとなっています。フラナガンのピアノは控えめながらも端正なバッキングを施し、ワトキンスのベースも安定したピッチで静かに脈打っています。
3. 「Blue Streak」 ゴルソン作のオリジナルで、タイトル通り疾走感あるアップテンポのハードバップ・ナンバーです。この曲ではメンバー全員が勢いよくスウィングし、特にフラーのトロンボーンとフラナガンのピアノが熱のこもった力演ソロを聴かせます。ゴルソンのテナーも負けじとファーストコーラスから切り込んでおり、テイラーとワトキンスのリズム隊が強力なドライブ感で演奏を押し進め、演奏全体を引き締めています。
4. 「Tippin’ On Thru」 ゴルソン作のミディアム・テンポ曲で、軽快に“足取り軽く（tippin’）”スウィングするような陽気なストラット調のナンバーです。メンバーはリラックスしつつも躍動感あるプレイを展開し、ゴルソンとフラーはメロディアスなユニゾンや掛け合いで息の合ったフロントラインを聴かせます。フラナガンのピアノ・ソロは軽やかさの中にブルースフィーリングを滲ませ、ワトキンスとテイラーの土台が終始スウィング感をキープして曲を楽しく前進させます。
5. 「Bob Hurd’s Blues」 アルバム最後を飾る12分超えのゴルソン作ブルースで、じっくりとしたテンポの中でメンバー全員がソロ回しを行う白熱のジャム・セッションです。ゴルソンはソウルフルなテナーでブルースの旨味を表現し、フラーも豪放なトロンボーン・ソロで応えます。各メンバーが順に自己表現の場を与えられており、誰も出しゃばることなくバンド全体で盛り上げていきます。ワトキンスのウォーキング・ベースは地に足の着いたグルーヴを提供し、テイラーもスネアやシンバルで盛り上げどころを作りながらスウィングをキープします。終盤には全員で盛り上がり、聴く者の足を踏み鳴らしたくなるような痛快なブルースとなっています。

オリジナル盤と日本盤（東芝EMIプレス）の音質・仕様比較

• オリジナル盤 (1960年 Prestige/New Jazz 8248): オリジナルの米国盤（ニュージャズ紫ラベル深溝モノラル盤）はルディ・ヴァン・ゲルダーの録音による力強く前に出るサウンドが魅力です。初期プレスは音に躍動感と迫力があり、当時の空気感を濃密に伝えます。ただしプレス材質にはリサイクル・ヴィニールが使われることもあり、盤面ノイズの個体差がある点はコレクター間でも指摘されています。ステレオ録音も行われており、後年Prestigeからステレオ盤もリリースされましたが、モノラル盤はより塊感のあるサウンドでハードバップの熱気を伝えてくれます。ジャケットはラミネート加工のコーティング仕様で、ライナーノーツは英語（執筆：ジョー・ゴールドバーグ）です。
• 日本盤再発 (1974年 東芝EMI/ビクター Jazz Right Nowシリーズ LPJ-80023): 1974年に日本で発売された再発LP（Jazz Right Nowシリーズ, 型番LPJ-80023）はステレオ音源を使用し、高い盤質で定評があります。日本盤は静寂性に優れた良質なヴィニールにプレスされており、オリジナル盤に見られるチリ音が極めて少なくSN比に優れています。一方で音質面では米オリジナルに比べるとやや大人しく「前に出すぎない」傾向があり、オリジナルの持つ押し出しの強いサウンドと比べて僅かにおとなびた印象との指摘もあります。しかしこれはマスタリングの傾向の違いによるもので、トーン自体はクリアーでバランスが良く、各楽器の定位も明瞭です。ジャケットもオリジナルデザインを踏襲していますが、帯や日本語表記など国内盤ならではの仕様となっています。総じて、日本盤LPJ-80023は音質面で非常に良好であり、オリジナル盤のエネルギーを保ちつつ静寂性と安定感を向上させた再発盤と言えます。オリジナルの持つ「歴史的な空気感」と比較して厳密な好みは分かれるものの、本作を楽しむ上で日本盤も十分に高い満足感を与えてくれるでしょう。