商品はF-toys(エフトイズ・コンフェクト)から2013年に発売された『日本の航空機コレクション 1/300 SCALE』から『1.US-2』のシークレットの『S.試作1号機(US-1A改)』になります。
外箱開封済み、ブリスター未開封の新品になります。ノーマルとシークレットの両方のリーフレットもあります。
日本の航空機コレクションのUS-2には、試作1号機と試作2号機、洋上迷彩の3種類がラインナップされてますが、シークレットも試作1号機でカラーリングもノーマルの試作1号機と同じです。
では何が違うのかというと、垂直尾翼の下の胴体に『US-1Akai』と書いてあるのです。ノーマルの試作1号機だと『海上自衛隊』となってます。
ロールアウトしてから海自に納入されるまでの約1年間、この塗装でした。
あと自衛隊に納入されるまでの『US-1Akai』の時は、機首の右側に長いピトー管が設置してありました。この模型ではそこまで再現されて無いので、伸ばしランナーを接着して完成度を上げてください。
また尾部の『US-1Akai』の部分はデカールなので、試作2号機の方に貼ると、試作2号機カラーの『US-1Akai』になります(試作2号機も自衛隊に納入されるまでの間、『US-1Akai』だったから)
◆趣味のUS-2試作1号機
1996年に救難飛行艇US-1Aの後継機としてUS-1A改の開発が始まりました。
7年の開発期間を経て、2003年4月に試作1号機がロールアウト。US-1A改の試作1号機ロールアウト式典が行われました。この時点では型番はUS-1A改なので、垂直尾翼の下に『US-1Akai』と書いてありました。何で『海上自衛隊』と書いてないかというと、まだ自衛隊に納入されて無いから。
じゃあ、何で完成後、すぐに納入されなかったのうかというと、試作1号機は完成したけど、まだ飛べなかったから!(飛べない飛行機を納入されても自衛隊も困る)
設計され、エンジンや翼、油圧系、コンピューター系、与圧系、と各部のテストが繰り返され、ようやく実機が完成したものの、実機ならではのトラブルが続出し、完成から初飛行まで何と8か月も掛かってます。
最大の問題が、地上でエンジンを回して駐機しているだけでエンジンがオーバーヒートするとゆー!(ヤバ過ぎて飛ばせない)
問題が発生したエンジンを取り外して試験してもオーバーヒートしないのに、機体に組み込んだら100%オーバーヒートするという意味不明なトラブルが発生しました。
この原因究明に時間が掛かり、初飛行はおろか、地上走行や海上試験も出来ないとゆー。
原因は機体の微妙な振動でした。地上でエンジンを回してると、機体が物凄く微妙に(2~4cmぐらい)ゆっくりと横揺れしてたのです。これはおそらくエンジンが機体に対して斜めに取りつけられてるから起こった現象ではないかと思われます。
で、この揺れのせいでオイルが波打って熱を持ち、ジェネレーター(発電機)が過熱。エンジンがオーバーヒートするとゆー。
このエンジンのオーバーヒート問題は潤滑油の流路を再設計するとこで解決。
ようやく12月に初飛行します。
しかし実際に飛ばしてみると、更にトラブルが続出し、安全に飛べないとゆー。
まず新規に導入した電波高度計が作動しませんでした。更にフライバイワイヤによる自動操縦装置をオンにすると、機体が自動的に右に傾くとゆー・・・。
また飛行中にエンジンを停止すると、プロペラが停止した後、逆回転を始めるとゆー。
世界初の飛行艇のフライバイワイヤなので仕方がないものの、主にコンピューターのプログラムの問題で、テスト飛行を繰り返しながらトラブルを洗い出しつつ、プログラムを組みなおし、ようやく安全に飛べるようになり、翌2004年の3月に海上自衛隊に納入されます。
そして今度は自衛隊で実際に使用する為の各種試験が行われました。耐暑試験、耐寒試験、横風試験、荒海試験などの実際に使用する際の試験が行われ、そこでも予想もしなかったトラブルが!
US-2は海難救助機なので、空を飛んで、海に降りて、側面のドアを開けてモーター付きのゴムボートを出し、要救助者を救助するのですが、海面に降りると、機体側面の温度が100℃を超え、熱くてドアが開けられん! とゆー。
地上では、排気は機体の底面より下の地面に沿って後ろに流れるのですが、海上だと海面に沿って排気が流れます。海の上に浮かんでいるときは側面ドアのちょい下辺りに海面がある為、排気が胴体側面を直撃するとゆー。
US-2機体の形や大きさはベース機のUS-1Aと同じなのですが、エンジンがパワーアップしてます。で、大出力エンジンなので排気量も多くなってます。なので側面ドアが、US-1Aよりも過熱するとゆー・・・。
この問題はエンジンダクトに整流ファンを取り付けて、排気が胴体側で滞留しないようにすることで解決。
その他にも、胴体の前半分だけを与圧にしたので、気圧差でドアが開かないなどの与圧系の問題も出たので、これも解決。あとは実際に運用する際のコンピューターのプログラムにやっぱり問題が出たので、これらを修正し、3年後の2007年、ようやくUS-2として部隊運用出来るところまで完成!
2007年3月に、洋上迷彩に塗り直されてUS-2の01号機として岩国基地の第71航空隊に配属されました。
その後、部隊配属されてから17年間(初飛行から21年間)、救難活動に従事。
2024年の8月に1号機は除籍され、除籍式典が行われました。
記念すべきUS-2の01号機なので、本来ならば、博物館に飾られるはずだったのですが、新造される10号機を安く仕上げるために01号機から使える部品を取って、10号機の部品にする為、01号機は解体される予定です。
◆趣味のUS-2
救難飛行艇US-1は、第2次世界大戦中の名機『二式大艇』の子孫に当たる世界最高性能の水陸両用飛行艇です。
でも運用開始から20年経ち、流石に旧式化してきたので、次世代機の開発をする事に・・・ならなかった!
海上自衛隊はUS-1の後継の救難機として当時アメリカで開発中だった最新鋭のV-22オスプレイを採用する事しました。
飛行機モードで現場に急行し、ホバリングしてロープを降ろして要救助者を引き上げる計画です。
が! オスプレイは事故が多発して開発が難航(今でも米軍のオスプレイが事故で時々落ちてるが・・・)。
しかもエンジンを立てたヘリモードの時には、火災が発生するレベルの高温のジェット排気が下向き行くので、ホバリングしながら救助とか無理じゃね!?
という話になり、US-1Aを更に改良して、新型救難機を作る事になりました。その方がお金もかからないし、「完全な新型機を作ります!」よりも予算も通しやすいから。
なので、『US-1A改』というコードネームで開発が始まります。
まあ、実の所、機体底部以外、完全な新設計になったのだが。
まずエンジンをロールスロイス社で開発中だったターボプロップエンジンに変更して馬力アップ!
更にエンジンを左右で逆回転にしてトルクを打ち消し、US-1Aで問題だった左旋性を解消!
機体構造はアルミ合金から、炭素繊維複合材に変え、軽量で頑丈にします。
操縦は油圧から、コンピューターを介したフライバイワイヤに変更。これに伴い自動操縦装置も装備。
胴体を完全与圧化し、高空での飛行を可能に!
これで現場の現場の望む世界最高性能の飛行艇の完成です!!!
が、これら全部を実現すると、開発費用が1000億円を超え、とても予算が通らない。
しかもUS-1Aの退役時期は決まってるので、開発期間も限られてる。
なので予算を削れるだけ削り、限られた期間の中でUS-2は開発されました。それでも世界最高性能なのが凄いのだが!
まず、一番お金の掛かる複合材ですが、計画では主翼や尾翼なども複合材化して機体を軽量化、底部の船底も複合材化して強靭さを上げる予定だったのですが、予算削減の為に翼端のフロートのみが複合材になりました(これで数百億円安くなった)。
ちなみに何でフロートが複合材なのかというと、着水時に一番衝撃の掛かるパーツで、一番腐食に弱く、それでいて一番重要なパーツだから。US-2は水上では船なので、フロートが破損して横波を食らうと機体がひっくり返るのです。
次に操縦系ですが、計画では4台のコンピューターを搭載する4重のフライバイワイヤだったのですが、1系統減らして、3重のフライバイワイヤ+油圧コントロールになりました。
ただし、BLC(高揚力装置)を持つ飛行艇のコンピューター化はUS-2が世界初なので、プログラムやアクチュエーターなど、全部一からの開発で大変だったらしいです。
US-2は時速90kmで離着水可能な凄まじいSTOL性能を持ってますが、飛行機はゆっくり飛ぶと安定性が凄く悪くなります(自転車と同じ)。しかも海難救助で出動する際は、少しでも波が少ない海面を探す為に、着水するまでの間、ゆっくり飛んでます。このため、パイロットに熟練の腕が求められてました。
操縦系にコンピューターを入れる事で、主に低速時の操縦補正をコンピューターが行う事でパイロットの負担が減りました。
また元々軍用機として開発されたUS-1は与圧キャビンではなかった為、高空を飛べず(機体性能的には飛べるのだけど、上空は凄く寒く、気圧が低く乗員や患者に酸素マスクが必要になるので実際には無理)、低気圧を迂回する必要がありましたが、US-2は胴体の前半分が与圧なので、雲の上を飛び、患者を迅速に運ぶことが可能になりました。
巡航高度は2万フィートでUS-1Aの2倍の高度を飛行できます。
そして何で前半分かというと、全部与圧にするよりも安くなるから。本来は全部与圧にしたかったのですが、予算が~。
で、与圧の胴体は、圧力に耐えるように旅客機の様に断面を丸く作るのが理想なのですが、下半分が船になってるUS-2では簡単に丸く出来ないので、大変苦労して設計したのだそうな。
真正面から見た時に、US-1Aは箱型胴体ですが、US-1は胴体側面が丸くなってます。これは胴体前部が与圧キャビンになってるからで、US-1Aとの見た目上の差の一つになってます(※この模型でもちゃんと再現されてます)
US-1Aのプロペラは4つとも右回転してるため、反作用で機体は左に回ろうとし、勝手に左旋回しようとする機体の癖がありました(零戦と同じ)。
通常、機体の左右にプロペラを持つ双発機などは、左右のプロペラを逆回転させてトルクを打ち消すのですが(オスプレイがこの方法)、右回転と左回転の2種類のエンジンが必要になり、製造コストが上がるとゆー。
US-2でも右回転と左回転の2種類のエンジンを使う計画だったのですが、予算削減の為に中止になり、US-1Aと同じく、全部右回転のエンジンを使う事になりました。
昔のイギリスの飛行艇、スーパーマリン・ウォーラスはエンジンを機首に対して斜めに搭載してトルクを打ち消してましたが、US-2もこれと同じようにエンジンを右に3度傾けて搭載する事でトルクを打ち消し、機体の左旋性を克服しました。しかも安く!(※この模型でも再現されてます。エンジンポッドがちゃんと斜めになってます。これ、間違いじゃないのよ)
このように新技術と新設計の塊のUS-2は今でも世界最高性能を発揮し、3mの高波に着水可能(※実際の運用では4mの海に降りたのだそうな)。
離水距離280m、着水距離330m。
巡航高度2万フィート以上。航続距離4700km以上。
飛行艇はロシアや中国、カナダも作ってますが、その中でも群を抜いた性能です。
飛行場のある離島は日本に7つしかないのですが、海面に降りられるUS-2は261の島に救助に行けます。
これまでに1000回以上出動し、1000人以上を救助してる名機です。
現在までに8機が量産され救助任務に就いてますが、製造コストの高騰により2023年に調達打ち切りが決まりました。
が! 現在量産中で将来的に海上自衛隊の主力になる最新鋭のもがみ型護衛艦には軍医が乗ってません(少人数運用艦だから)。航海中にケガ人や急病人が出たらどうにもならないとゆー(戦闘艦がそれで良いのだろうか?)。
なので、US-2は更に製造が続けられる事になりました。船で出たケガ人や病人を運ぶのにも必須の飛行艇なのです。
部品の差し替えで、タイヤを出した着陸状態と、タイヤを格納した着水&飛行状態のどちらかを選べます。
黒い台座も付属します。
写真の1枚目は、ブリスターと箱とリーフレット。
写真の2枚目は、組立見本。
写真の3枚目は、ブリスターの上から。
写真の4枚目は、シークレットリーフレット。