ビリー・ジョエル、エルトン・ジョン、スティング、ボノらがレナード・コーエンの曲をカヴァーしたオムニバス盤
試聴のみ。大変綺麗な状態です。
邦盤。歌詞、対訳、解説、帯付き。
サンプル。
豪華キャストのトリビュート盤 レナード・コーエン(Leonard Cohen)は、これまで何度か取り上げているように(参考過去記事(1) ・(2) )、1934年、カナダ出身の詩人にして、カリスマ的なシンガーソングライターである。そんなレナード・コーエンの代表曲を超有名どころが多く参加して吹き込まれたトリビュート盤が、1995年に発表さのこの『タワー・オブ・ソング~レナード・コーエンの唄』というオムニバス・アルバムである。 実は、この他にもコーエンのトリビュート盤は存在するが、本盤はとにかくメンバーが豪華である。ドン・ヘンリー(イーグルスの主要メンバー)、エルトン・ジョン、ボノ(U2)、スティング、ピーター・ガブリエル(元ジェネシス)、スザンヌ・ヴェガといった、多くの人に馴染みの豪華キャストが名を連ねている。 ぶっちゃけた話、本盤全体を通した音楽的な統一性はない。ピーター・ガブリエルにスザンヌ・ヴェガ、ビリー・ジョエルにトーリ・エイモス、ドン・ヘンリーにトリーシャ・イヤーウッドみたいにして参加アーティストを並べてみれば、はなから共通しない音楽性みたいなものが見えてこない方が不思議だろう。 では、全編を通した統一性がないから面白くなくて聴く価値のない盤かと言えば、話はまったく別だと思う。それどころか、これだけ個性豊かな豪華キャストが演じ、それでいてことごとく見事な演奏に仕上がっているのは、一聴の価値ありだ。1曲1曲の演奏、歌唱、アレンジ、トータルな出来具合は、世間に多く流通している一般的なオムニバス盤のそれよりもずっと高いと言っていいと思う。 おそらく“優れた寄せ集め盤”になった理由は二つある。一つは、言うまでもなく、個々のアーティストの力量である。けれども、もう一つ忘れてはならないのは“素材の良さ”だろう。レナード・コーエンの曲は、コーエン自身が演じている時の詩人的(作品によっては暗く孤独な雰囲気の弾き語り的)演奏ではあるのだが、このアルバムに収められた各曲を聴くと、それを演じる人の個性に沿って、アダルト・ロック調(例えばドン・ヘンリー)、ロック・ポップ調(例えばエルトン・ジョン)、独特の個性を持った女性ヴォーカル系(例えばトーリ・エイモスやスザンヌ・ヴェガ)、美しい系の女性ヴォーカル(トリーシャ・イヤーウッド)にも…といった具合に多様なアレンジに適応しうるということがわかる。その意味では、まったくジャンル違いと言われるかもしれないが、同じく曲のよさを誇る吟遊詩人トム・ウェイツ(Tom Waits)と、レナード・コーエンの間には、意外な共通性があるかもしれないと思わされたりもする。 最後に、どうでもよいけど気になっている細かい点を二つほど。一つめはライナー(歌詞カード)に載っている各アーティストの写真の一枚について。ボノの写真の背景には「10円 ラッキー」と「元祖 ビデオ ビニ本」という文字の看板が見える。最初はどこなのだろうと思ったけれど、「歌舞伎町・・・(以下、判読不能)」という文字も見えるので、日本の新宿で撮った写真ということだろうか。あともう一つは、ジャケットのデザインそのもの。確かこのアルバムを初めて見た時(リリース当時)は、女性のイラストのジャケットの記憶があるのだが、現在、CDで手持ちの盤(US盤と思しき盤)は、タイトルと参加アーティスト名の文字だけが記されたシンプルで味気ないジャケット。どちらも特段に趣味のいいものではない(と個人的には感じる)ので、どっちでもいいのだけれど、いったいどちらがオリジナルなのだろう。[収録曲]1. Everybody Knows / Don Henley2. Coming Back to You / Trisha Yearwood3. Sisters Of Mercy / Sting & The Chieftains4. Halleluiah / Bono5. Famous Blue Raincoat / Tori Amos6. Ain't No Cure For Love / Aaron Neville7. I'm Your Man / Elton John8. Bird On A Wire / Willie Nelson9. Suzanne / Peter Gabriel10. Light As The Breeze / Billy Joel11. If It Be Your Will / Jann Arden12. Story Of Issac / Suzanne Vega13. Coming Back To You / Martin Gore1995年リリース。