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発売日： 2001/01/25
製作年： 1997
製作国： 日本
収録時間： 83分
出演者： 哀川翔 ダンカン 大杉漣 菅田俊 寺島進 中村久美 梶原聡 阿部サダヲ 佐倉萌 小川亜美
監督： 黒沢清
製作： ----
脚本： ----
原作： ----
詳細： ----
字幕： ----
音声： ----
シリーズ： ----
メーカー： パイオニア
ジャンル： サスペンス
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全体状態評価「A」・経年劣化「小」・カバーイタミ「小」・版面スリキズ「無」
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殺された娘の復讐を果たした新島は、生きる目的を失い、ただ淡々とした日々を送っていた。そんな時、同級生だった岩松に再会、誘われるままにビジネスとして殺しを行っていく。ある日、新島は組織の上部・依田に岩松の監視を命令される。岩松を裏切る自分に嫌悪感を抱きながらも、依田に説得され監視を続ける新島。やがて岩松が暴力団・金政会の会長と接触していることが発覚する。岩松が仕事にかなりのストレスを感じていることを知った新島はカタギになってやり直すことを進めるが、岩松はなかなかその踏ん切りがつかない。その事を隠した報告書を依田は信用し、新島は組織のボス・日沼と会い、そこで金政会の会長を殺すように命令される。だが、岩松の裏切りにより計画は失敗、日沼から岩松を殺す命令が下される。新島が事務所に戻るとすでに岩松の姿はなく、依田も殺されていた。湖で見つけた岩松から日沼を殺すことを告白された新島は、岩松を殺す。そして、新島の前には新たな絶望が現れるのだった。 『ＣＵＲＥ キュア』で各方面から絶賛を浴び、その演出力を高く評価された黒沢清監督。『ドレミファ娘の血は騒ぐ』『地獄の警備員』『勝手にしやがれ！！』シリーズ、『復讐』シリーズ等で、映画ファンを魅了し続け、『ＣＵＲＥ キュア』（第10回東京国際映画祭正式出品作・最優秀男優賞受賞/ロッテルダム映画祭正式出品作/ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭正式出品作）で内外の話題をさらい、国内のみならず海外でも次代を担う監督として、今一番注目されている奇才だ。本作は、前作『蛇の道』と連作ながら、全く異なった趣の作品に仕上げている。 復讐を果たし、生きる目的を失った男のその後を描いたドラマ。監督は「蛇の道」の黒沢清。脚本は西山洋一、黒沢清、撮影は「2／デュオ」の田村正毅。主演は「蛇の道」の哀川翔、「みんな～やってるか！」のダンカン。 【超大傑作『蛇の道』の続編にして、前作以上に狂ってる傑作。】 ジャンルとしては犯罪映画だが、大杉漣が出てくる場面はコメディとして撮ったり、かと思えば突如Jホラーになったり、実はやりたい放題な映画。しかし、幽霊表現がやりたいから、犯罪モノに無理やり入れてしまうような自由奔放さは、90年代のVシネだからこそ成立していたのであって、今の日本映画ではこういう映画が撮られることはないんだと思うと悲しい。 【黒澤清の映画は、中間テストだと思う。】 例えばこれからいろんな映画を100本観た後に、この映画を観たら違う何かが見えるだろう。 それぐらい考え抜かれているのは俺みたいなもんでもわかる。 この映画は3回目だが最後のほうは相変わらず意味がわからない。 ただ、映画の楽しさが目一杯詰まっているので満足感がいつもある。 【ＷＯＷＯＷ「特集：哀川翔の３０年」で初めて知りました、この作品。】 番組ガイドに「蛇の道」とほぼ同時並行で撮られたって書いてあったけど、哀川翔が新島って役名で娘を殺されたって設定が同じなだけの別モノでした。「蛇の道」よりホラー感はなくなったけどジャンル何？といわれると難しい。 変わらないのはラストの愕然とする感じ（￣□||||！！ 哀川翔は塾講師だろうが設計士だろうが哀川翔でした。。。 「蛇の道」に柳ユーレイ、今作はダンカンとなんだか北野映画みたい。こっちは大杉漣も出てくるし（車が行ったり来たりするシーンは目を丸くしました（＠＠）。 2シーンほどえらく画質が落ちた（無理やり引き伸ばして粒子が粗くなった感じ）のが気になりました。 あとポスター（ジャケット）が全然イメージと違う（－－） 「ある男がスカイダイビングをした。途中で男はパラシュートをしていないことに気づいた。男は気が狂うほどの恐怖を味わって失神した。ふと目をあけると男はまだ空を落ち続けていた。もう気が狂うことも失神することもなかった」 この台詞に尽きますな。 【復讐シリーズ第4弾…】 といっても娘を殺された復讐は冒頭に終わってしまい、その後主人公（哀川翔）はひたすら空っぽの人生を生きるのみ。旧友（ダンカン）に誘われるまま人殺しに手を染めてゆく。 途中、山の斜面での組織のボスの菅田俊と主人公との意味不明の鬼ごっこを大俯瞰で延々撮ったり、歩道を歩く主人公に車道から声をかける大杉漣とのやりとりを横移動で行きつ戻りつ撮りながらギャグをカマしたり、扉の向こうに死んだはずの女の子が…といったJホラーをぶち込んだりと、脚本も担当する黒沢清のやりたい放題で、黒沢清が好きな人にはたまらないと思う。 【哀川翔の無表情な演技もあって正直よくわからんけど、確かに面白い。】 横移動縦移動また横移動と運動でみせていくんだけど、実のところは全く空虚な動きでそれが笑えてかつ不気味なところ。立ち止まって流れに任せるかと思えば追いかけてみたりで、ようやく最後に対象に追いつく。でもやはりそこに何があるわけでもなく、そもそも何かを求めていたわけでもないのか。もはや行為そのものが目的化した復讐が存外呆気なく達成された後には虚無だけが残り、もう追いかけても追いかけても何も無いということならなるほど『蛇の道』の続きなのか。 【タイトルが出るまでの僅か数分のこの密度は凄まじい。】 オープニングのクロスカッティングの畳み掛け、ジーという生音ノイズをブツ切りにして繋ぐ淡々とした日常の羅列にゾクゾク。めちゃくちゃ楽しい。尖りまくってて最高。 化石掘りのおっさん役でまた菅田俊が出てきて嬉しい。声がいいわー。味がある。役者が皆素晴らしい。これまで女優さんは４作通じてあまり個性がなくただ綺麗な人、というだけで物語を構成する記号のように見えていたが、今作の女の子は印象的だった。 奥さんとの夕食シーンやこれまで使った俳優を別のキャラで起用しているところなど、シリーズの中で敢えて繰り返しを用いることで"復讐とは"という意図をさらに引き立てているような。 ワンカットの鬼ごっこや行ったり来たりの大杉漣も面白いが釣りのシーンも良い。 突然のホラーというか、怖がらせるわけではなくインパクトを与えるためだろう娘とシルエットのカットが凄い。強烈にゾクッとする。 クライマックスの石投げ追いかけっこがめちゃくちゃ怖い。カット割らずにカメラも移動して回し続けているから本物のような錯覚が生まれる。マジで石投げてガツッと当たったんじゃないかと。こわ。 余りにも突き抜け過ぎててちょいと滑稽になるところもあるけど"復讐"というテーマで展開してきたドラマの結末としてのオチ方も、実験的とも言える個性的な演出表現で楽しませてきた総決算としても素晴らしかった。 【バックドロップとおいかけっこ】 見所は、湖畔のバックドロップと山の中のおいかけっこ。この美しさに魅了されればよい映画だと思います。画質のザラザラ感や阿部サダヲの若さも要注意ですが。ストーリーがあるようでないのは最後のオチのせい。復讐と殺人の関連などいかに深読みしていたか、に気付かされて茫然とするオチです。 【これはホラーではない。ただの「事実」だ。】 そこに幽霊がいる。 幽霊とは・・・「死の世界」のこと。この世ではない、あの世である。 死んだ娘、殺された娘は幽霊になった。 夫は殺された娘の復讐を果たした。 妻は平然を装っているが、ある時は娘の部屋を指さしておびえている。 夫もそれを見た。だからこそ復讐を成し遂げる事が出来たのである。 幽霊は恐ろしい。死の世界は確実にいつか、見る。 しかしこの映画の恐ろしさは、そういうことではない。 そこに幽霊はいなかったのだ。 娘は殺された時に、終わっていた。「その先」も「そのあと」もない。そこで終わりだ。 夫が復讐に精を出そうが、妻が頭から布団をかぶりブルブル震えようが、娘は見ていない。そのことを知るはずもない。もう、終わっているのだ。 夫がそのことに気づいたとき、開放と絶望を手に入れた超人へと進化するのである。 【難解な映画ですが、とても面白かったので、私なりの解釈を書いてみたいと思います。】 まず主人公である新島が、娘をさらって殺した犯人に復讐を果たすシーンから映画が始まります。そこで念願の復讐を果たしているはずであるのに、新島は追い詰められたような、苦悩の表情を浮かべます。彼は唐突に「飛行機から飛び降りた男の話」を犯人に語りますが、この飛び降りた男とは明らかに新島自身であり、この話が示唆するのは、自分は復讐を実行することによって、ある種の精神的な死を迎え、生き続ける限りその虚無に対峙し続けることになるだろう、という新島の絶望に満ちた予感です。 つまリ復讐の実行によって、新島自身の一部が死ぬことになり、彼はその虚無の到来を恐れているわけです。なるべく復讐を長引かせようとしたのは、それを少しでも先延ばしにしたかったからで、犯人にどうして自分に捕まったのかと難詰気味に尋ねたのは、捕まってほしくなかったという心情の吐露であると思います。 そしてやむなく復讐を終えた新島に、耐え難い虚無が訪れます。そこに高校の同級生を名乗る岩松が突然現れ、新島は岩松と共に、非現実的な殺し屋の仕事を始めることになります。そこで新島は全く動じることなく殺しの仕事に手を染めていきますが、そこで行われる殺しは、全てが無抵抗な標的の処刑という形で行われ、これは冒頭で行われた、新島による犯人の処刑の反復になっています。岩松たちが最初の殺しの標的の身元を何度も執拗に確認するのは、冒頭の新島が犯人に身元の確認を行うシーンと対応し、そこではその際に新島が抱いていた不安が反映されています。殺人の手口が、岩松の疑似家族的共同体の一員であるミキという女を標的に抱かせて隙を作るという形をとるのも、実はその殺しが復讐であることを意味していると思います。 また「血に変わる」酒を酌み交わすシーンが暗示するように、岩松という存在は、実はもう一人の新島自身であるわけです。彼は弱くて意気地がなく、生き生きとした感情を持っている新島であり、冒頭の復讐を通じて新島が摩耗していったように、殺し屋の仕事を続けるうち、岩松も次第に弱っていくことになります。 つまりここでは新島自身の主観的な精神世界が展開され、そこでかつての復讐劇が幾度も再演されているわけです。冒頭では暗く圧迫感のあった新島の自宅に、岩松との仕事が始まった頃から明るく開放的に日差しが射し込み始めるのは、新島がその精神世界で再び自己の一部である岩松を見出し、かつての全体的自己を取り戻せるのではないかという希望を抱いたことを象徴していると思います。 しかしその一方で、新島から切り離された弱い新島自身である岩松は、復讐劇が何度も再演される中、新島の苦痛を一身に引き受け、精神的に限界を迎えます。岩松はヤクザから勧誘されて組章のバッジを受け取りますが、岩松がヤクザになって仕事を放棄することは、新島自身の復讐の放棄を意味しています。そして新島は岩松を生き延びさせるために、仕事から逃げ出すことを許してしまいます。 そこで新島は娘の幽霊を見るわけです。娘の幽霊は、新島が犯人の死体を埋める際に視線を感じた、白い布のかかった何かの形をとって現れます。娘の幽霊は、妻が娘の部屋を片付けてその存在を忘れることが決してできなかったのと同様に、新島に復讐の放棄ができないことを改めて思い知らせます。 そこで新島は単独でヤクザの組長を殺す仕事をこなそうとするわけですが、復讐の象徴である仕事を最後まで遂行するためには、弱い自分である岩松の死は避けられないわけです。そこで岩松は組長殺しを偽装して逃げ延びようとし、弱く復讐から逃げ出そうとする自分と、復讐を遂行しようとする自分の対立関係が明らかとなり、そこで新島は岩松を殺さざるを得なかったわけです。 仕事の元請けである化石掘りの男は、新島の精神的な死である岩松の処刑を新島自身に命じる一方で、「虚無は不幸ではない」と新島に語ります。渡された化石は、自己の一部が死に、虚無とともに生きねばならない新島自身の象徴です。つまり岩松との仕事の顛末は、新島が自分自身の精神的死を受け入れ、新しい人生を始めるために必要な心的過程であったわけです。 そして虚無を受け入れた新島には復讐の意味も失われ、殺した犯人は蘇り、かつて娘の視線を感じた白い布を被った何かは、単なる棒杭に姿を変えてしまいます。妻が食事中に突然嘔吐したのは、夫との情緒的つながりが完全に失われ、その内面が見知らぬ別の何かに変わっていることを感じ取ったからであると思います。 タイトルの「蜘蛛の瞳」は、復讐相手を手中に捕らえ、なぶり殺した「蜘蛛」である新島の空虚なまなざしであり、この映画がその瞳に映る精神世界であることを意味していると思います。難しいですが、面白い映画だと思いました。 |
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