商品はF-toys(エフトイズ・コンフェクト)から2013年に発売された『日本の航空機コレクション 1/300 SCALE』から『1.US-2 B.試作2号機』になります。
外箱開封済み、ブリスター未開封の新品になります。リーフレットもあります。
ブルーインパルスの様な白青塗装のUS-2試作2号機になります(イメージは日本刀らしいです)。
垂直尾翼の下の胴体の尾部に『海上自衛隊』と描いてあるので、2008年1月からの塗装になります。
試作2号機は2004年春のロールアウトから2007年12月まで尾部に『US-1Akai』と描かれたままでした。
その後、2010年12月まで白青塗装でしたが、12月中旬に量産型03号機と同じ洋上迷彩に塗り直されました。
ロールアウトしてから6年間、割と長い間、試作機塗装のままでした。
◆趣味のUS-2試作2号機
試作1号機の製造開始から半年後の2002年2月から試作2号機の組み立てが始まります。US-2の試作2号機ではなく、US-1A改の2号機としての製造です(機内の銘板にUS-1A改と書いてあるのだそうな)。
2004年の春にロールアウト。6月30日に初飛行。
地上でエンジンがオーバーヒートして飛べない問題は試作1号機によって2003年に解決してたので、試作2号機は最初から飛べる状態で完成します。
その後、新明和工業の社内試験を経て12月7日に防衛省に納入。
試作1号機同様、TRDI(技術試験本部)の配属となり、1号機と共に運用テストに入ります。
耐寒試験が青森県の八戸基地で、横風試験が鹿児島県の鹿屋基地で、耐暑試験が沖縄県の那覇基地で、荒波試験が豊後水道で、と日本各地で様々なテストを行ったのですが、2号機が出来たので、分担して効率よく試験が出来るようになりました。
2006年9月29日に型番がUS-1A改からXUS-2に変更。
2007年10月29日にUS-2に変更。
2008年1月に第71航空隊(岩国航空基地)に部隊配属。先に配属されていた試作1号機と共に2機体制で救難活動に入ります。
この時、尾部の『US-1Akai』のマーキングが『海上自衛隊』に変更された模様。
試作機カラーリングのまま部隊配備されてたのですが、2010年12月に量産型の03号機(2009年に部隊配備)と同じ洋上迷彩に塗り直されました。
試作1号機と2号機はUS-1A改として製造された為、量産型の03号機以降のUS-2とは細部のパーツ類が異なるらしく、メンテナンスマニュアルで、01号機と02号機だけ補修パーツが別扱いになってます。
試作1号機は退役しましたが、試作2号機はUS-2『02』号機として現在も活躍中です。
◆趣味のUS-2
救難飛行艇US-1は、第2次世界大戦中の名機『二式大艇』の子孫に当たる世界最高性能の水陸両用飛行艇です。
でも運用開始から20年経ち、流石に旧式化してきたので、次世代機の開発をする事に・・・ならなかった!
海上自衛隊はUS-1の後継の救難機として当時アメリカで開発中だった最新鋭のV-22オスプレイを採用する事しました。
飛行機モードで現場に急行し、ホバリングしてロープを降ろして要救助者を引き上げる計画です。
が! オスプレイは事故が多発して開発が難航(今でも米軍のオスプレイが事故で時々落ちてるが・・・)。
しかもエンジンを立てたヘリモードの時には、地面で火災が発生するレベルの高温のジェット排気が下向き行くので、ホバリングしながら救助とか無理じゃね!?
という話になり、US-1Aを更に改良して、新型救難機を作る事になりました。その方がお金もかからないし、「完全な新型機を作ります!」よりも予算も通しやすいから。
なので、『US-1A改』というコードネームで開発が始まります。
まあ、実の所、機体底部以外、完全な新設計になったのだが。
まずエンジンをロールスロイス社で開発中だったターボプロップエンジンに変更して馬力アップ!
更にエンジンを左右で逆回転にしてトルクを打ち消し、US-1Aで問題だった左旋性を解消!
機体構造はアルミ合金から、炭素繊維複合材に変え、軽量で頑丈にします。
操縦は油圧から、コンピューターを介したフライバイワイヤに変更。これに伴い自動操縦装置も装備。
胴体を完全与圧化し、高空での飛行を可能に!
これで現場の望む世界最高性能の飛行艇の完成です!!!
が、これら全部を実現すると、開発費用が1000億円を超え、とても予算が通らない。
しかもUS-1Aの退役時期は決まってるので、開発期間も限られてる。
なので予算を削れるだけ削り、限られた期間の中でUS-2は開発されました。それでも世界最高性能なのが凄いのだが!
まず、一番お金の掛かる複合材ですが、計画では主翼や尾翼なども複合材化して機体を軽量化、底部の船底も複合材化して強靭さを上げる予定だったのですが、予算削減の為に翼端のフロートのみが複合材になりました(これで数百億円安くなった)。
ちなみに何でフロートが複合材なのかというと、着水時に一番衝撃の掛かるパーツで、一番腐食に弱く、それでいて一番重要なパーツだから。US-2は水上では船なので、フロートが破損して横波を食らうと機体がひっくり返るのです。
次に操縦系ですが、計画では4台のコンピューターを搭載する4重のフライバイワイヤだったのですが、1系統減らして、3重のフライバイワイヤ+油圧コントロールになりました。
ただし、BLC(高揚力装置)を持つ飛行艇のコンピューター化はUS-2が世界初なので、プログラムやアクチュエーターなど、全部一からの開発で大変だったらしいです。
US-2は時速90kmで離着水可能な凄まじいSTOL性能を持ってますが、飛行機はゆっくり飛ぶと安定性が凄く悪くなります(自転車と同じ)。しかも海難救助で出動する際は、少しでも波が少ない海面を探す為に、着水するまでの間、ゆっくり飛んでます。このため、パイロットに熟練の腕が求められてました。
操縦系にコンピューターを入れる事で、主に低速時の操縦補正をコンピューターが行う事でパイロットの負担が減りました。
また元々軍用機として開発されたUS-1は与圧キャビンではなかった為、高空を飛べず(機体性能的には飛べるのだけど、上空は凄く寒く、気圧が低く乗員や患者に酸素マスクが必要になるので実際には無理)、低気圧を迂回する必要がありましたが、US-2は胴体の前半分が与圧なので、雲の上を飛び、患者を迅速に運ぶことが可能になりました。
巡航高度は2万フィートでUS-1Aの2倍の高度を飛行できます。
そして何で前半分かというと、全部与圧にするよりも安くなるから。本来は全部与圧にしたかったのですが、予算が~。
で、与圧の胴体は、圧力に耐えるように旅客機の様に断面を丸く作るのが理想なのですが、下半分が船になってるUS-2では簡単に丸く出来ないので、大変苦労して設計したのだそうな。
真正面から見た時に、US-1Aは箱型胴体ですが、US-2は胴体側面が丸くなってます。これは胴体前部が与圧キャビンになってるからで、US-1Aとの見た目上の差の一つになってます(※この模型でもちゃんと再現されてます)
US-1Aのプロペラは4つとも右回転してるため、反作用で機体は左に回ろうとし、勝手に左旋回しようとする機体の癖がありました(零戦と同じ)。
通常、機体の左右にプロペラを持つ双発機などは、左右のプロペラを逆回転させてトルクを打ち消すのですが(オスプレイがこの方法)、右回転と左回転の2種類のエンジンが必要になり、製造コストが上がるとゆー。
US-2でも当初、右回転と左回転の2種類のエンジンを使う計画だったのですが、予算削減の為に中止になり、US-1Aと同じく、全部右回転のエンジンを使う事になりました。
昔のイギリスの飛行艇、スーパーマリン・ウォーラスはエンジンを機首に対して斜めに搭載してトルクを打ち消してましたが、US-2もこれと同じようにエンジンを右に3度傾けて搭載する事でトルクを打ち消し、機体の左旋性を克服しました。しかも安く!(※この模型でも再現されてます。エンジンポッドがちゃんと斜めになってます。これ、間違いじゃないのよ)
このように新技術と新設計の塊のUS-2は今でも世界最高性能を発揮し、3mの高波に着水可能(※実際の運用では4mの海に降りたのだそうな)。
離水距離280m、着水距離330m。
巡航高度2万フィート以上。航続距離4700km以上。
飛行艇はロシアや中国、カナダも作ってますが、その中でも群を抜いた性能です。
飛行場のある離島は日本に7つしかないのですが、海面に降りられるUS-2は261の島に救助に行けます。
これまでに1000回以上出動し、1000人以上を救助してる名機です。
現在までに8機が量産され救助任務に就いてますが、製造コストの高騰により2023年に調達打ち切りが決まりました。
が! 現在量産中で将来的に海上自衛隊の主力になる最新鋭のもがみ型護衛艦には軍医が乗ってません(少人数運用艦だから)。航海中にケガ人や急病人が出たらどうにもならないとゆー(戦闘艦がそれで良いのだろうか?)。
なので、US-2は更に製造が続けられる事になりました。船で出たケガ人や病人を運ぶのにも必須の飛行艇なのです。
1/300なので全長は約11cm。
部品の差し替えで、タイヤを出した着陸状態と、タイヤを格納した着水&飛行状態のどちらかを選べます。
黒い台座も付属します。
写真の1枚目は、ブリスターと箱とリーフレット。
写真の2枚目は、組立見本。
写真の3枚目は、ブリスターの上から。
写真の4枚目は、リーフレット。