シャシュン・ニェンギュ入門 - Introduction to Shashun Nyangyuの説明

■ゾクチェンの教え

チベットの「ボン教」の最重要経典『シャンシュン・ニェンギュ』の日本語訳を公開！！（直接チベット語から日本語に翻訳）
『シャンシュン・ニェンギュ』は他に類を見ない、とてもユニークでピュアなゾクチェンの教えが説かれています。
「『シャンシュン・ニェンギュ』に日本語でアプローチできるようになったのは、欣快これに過ぎることはない。」 国立民族学博物館名誉教授　長野泰彦先生　「推薦の言葉」より

「『シャンシュン・ニェンギュ』は瞑想のテキストであるのと同時に、高度な思想書であり哲学書でもあります。千年以上も前に書かれた古い文献でもあり、遥か昔のシャンシュン王国やチベットの文化的な文脈の上で記述されています。

読者に『シャンシュン・ニェンギュ』の価値とその魅力を知っていただくために、各章の内容に対応した読みやすくわかりやすい解説を新たに書き下ろし付け加えました。」 （「あとがき」より）
「シャンシュン・ニェンギュ」は「シャンシュンの聴聞相続」の意であり、ボン教独自の瞑想やゾクチェンにかかる根本原理を書き記したものです。
28年以上に渡ってゾクチェン瞑想を修行し続け、13年以上に渡り日本でゾクチェンの教えを伝授している著者が単行本としては初めて直訳による日本語訳で「シャンシュン・ニェンギュ」を紹介し、その内容を詳細に解説します。
チベット、ボン教、ゾクチェン、シャンシュン王国、ゾクチェン、 古代チベットの歴史なども詳しく解説。必携の一冊が登場！

「シャンシュンそのものに関する研究は近年長足の進歩を遂げたとは言えないが、シャンシュンから発したポン教の文化と哲学は確実にチベットの脈絡の中で伝承され、進展している。特に『ゾクチェン』は大隆盛を遂げ、チベット仏教のいくつかの宗派や中国禅に強い影響を与え、入り込んでさえいる。『心の自然な光明』に裏打ちされた成就のあり方はユニバーサルな哲学になりつつある。
その典型である『シャンシュン・ニェンギュ』に日本語でアプローチできるようになったの は、欣快これに過ぎることはない。」 長野泰彦国立民族学博物館名誉教授による「推薦の言葉」より

「ゾクチェンは日本語では『大いなる完成』や『大円満』と呼ばれています。一般的なチベット仏教の思想と瞑想がインドで生まれチベットに伝来したのとは異なり、ゾクチェンはチベットから見て西方向にあたる地域からチベットに伝来したといわれています。

ボン教にも顕教と密教があります。ボン教で密教に入門するときには、密教の瞑想をする許可を得る特殊な儀式である灌かんじょう頂を授けてもらった後、本尊の姿やマンダラを心に浮かべる瞑想をしていきます。つまり密教の瞑想は灌頂と、本尊やマンダラを観想するイメージ力に支えられているのです。
ところがボン教のゾクチェンでは、灌頂を授かる必要もなく、本尊やマンダラをイメージすることなく、ただ心の本性に留まる瞑想をしていきます。心の本性とはいわば、私たちの本来の心の姿です。思考やイメージから離れ、本来の心の姿をむき出しにするのがゾクチェン瞑想の特徴と醍醐味です。」 （以上、本文より）

■目次

第1章　見解の概略による禅定瞑想の修行方法
第2章　心から心へと直接的に次々と悟りの心を伝授した九仏に関する短い伝記
第3章　尊師タピリツァが教えを説き始めた物語
第4章　九回の丁寧なご挨拶
第5章　ラマと弟子の再会
第6章　タピリツァに捧げる祈願文
第7章　ボン教が滅亡しない理由

■著者紹介

★箱寺孝彦（はこでら・たかひこ）
1969年生まれ。1995年からネパールのボン教僧院でヨンジン・テンジン・ナムタク・リンポチェの指導のもとゾクチェンの瞑想修行を始める。2009年からチベット語経典を日本語に翻訳するプロジェクトを進めると同時に、日本でゾクチェンを含むボン教の瞑想指導を始める。
著書：電子書籍『ゾクチェン瞑想修行記』（2015）、『ゾクチェン瞑想マニュアル』（ナチュラルスピリット、2019）訳書：電子書籍『光明の入口』（2016）、『虹の身体の成就者たち―― ボン教のゾクチェン「体験の伝授」の系譜と教え』（ナチュラルスピリット、2021）