Brand: -
Circa: 60s~70s
Color: Vicuna

スペシャルというでは言葉が足りません。
ヴィンテージロロピアーナのビキューナ100%生地を使用したビスポークコート。これがいかほどの商品なのか、ご覧になっている御仁には説明不要かと思いますので管見ながら所見のみ述べさせていただきます。

・生地について
ビキューナにも当たり外れがありますがこちらは大当たりです。ロロピアーナという品質証明もありますが、ハンガーラックからまみえる僅かな情報からですら、その毛並みの豊かさと輝き、ヌメりはいかにも雄弁です。お手元に到着した際には毛並みをブラシで逆立ててみて下さい。夕日に靡く黄金色の獅子の立髪のようです。これだけ古いロロピアーナのビキューナタグを目にしたことのある方は少ないと思います。古いカシミヤがなぜ上質なのか、その理由は今では多くの方に知れ渡っておりますがビキューナに関しても同様のことが言えるのかもしれません。サンプルがあまりにも少ないので一般化は難しそうですが、このコートに触ると古いビキューナの卓越に認識を傾けてしまうほど、この生地には強さがあります。

・仕立てについて
生地が究極なのであれば仕立てはそれに追いつかないといけません。日本のテーラーが群雄割拠した時代に、百貨店お抱えのテーラーは皇室御用達であったりとどこも素晴らしい仕事をしていますね。こちらはSOGO。詳述は難しいのですが、裏地の処理など写真では見えない部分にあまりにも丁寧な仕事がいくつも潜んでいます。お手に取った際にご確認してみて下さい。袖は空き見せ仕上げ。本切羽にしないでくれて本当に感謝です。+3cmほどは袖丈は出せそうです。ボタンはなんと鼈甲。透き通る琥珀色が宝石のようです。本鼈甲かどうかの判断は難しいのですが、当時ビキューナでコートをオーダーした方の拘り様を想像するしかありません。

・サイズ感について
これが非常に重要なのですが、非常に現代的なシルエットです。ビキューナのコートといえばバブル時代に誂えられたパワーショルダーのビッグシルエットが多く、お直しにも限度がありますので現代にも着用に耐えられる個体はそう多くありません。お探しの方は頷いていただけると思います。しかしながらこちらは恐らくバブル以前のお品。薄目の肩パッドに極ベーシックなウエストの絞り。紳士服の真髄に精通した標準体型の方が中庸を熟知してオーダーしたのでしょう。お直しなしで十二分に美しいシルエットです。寸法からもお分かりいただけるかと思います。サイズ感はイタリアサイズの44~46程度となります。

・状態について
完璧なコートですが状態まで完品とはなりませんでした。写真4枚目の左肩上部、写真5枚目の左脇腹にいずれも縦20mm横5mmほどの虫なめのお直しがございます。同様に3mmほどのものが背面、裾、腹部に確認できました。いずれも大きく目立つものではなく、着用時に指摘されたことはありませんでしたがご留意くださいませ。お直しに出せば完璧に近い形で綺麗にしてくれると思います。着用感自体は非常に少なく、エッジの毛足のスレもほとんどありません。

十年に一度の出物です。お探しの方は是非ご検討くださいませ。

実寸(cm)
肩幅47
身幅59
袖丈60
着丈102

ヴィンテージを中心に、クラシックかつアーカイブとして評価に値するレアピース/定番品を多数出品しております。

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