スウェーデン出身の鍵盤楽器奏者Maggi Olin(マギ・オリン)のリーダー作です。彼女は日本ではあまり知られていないようですが
、北欧コンテンポラリー系ジャズでは結構な重要人物であり、リーダー作はもちろん多くの若手ミュージシャンのプロデュース
を手がけるなど、いわば「姉御的存在」でもあります。系譜としてはBill Evansの流れを汲む清涼感あふれる透明性とリリシズズムが
売り物ですが、適度にポップな味わいが加わることで、とっつきやすい作風です。参加メンバーはHans Ulrik(sax)、Hans Anderson
(bass)、P.A.Tollbom(drums)、Torben Waldolff(guitar)というもろに北欧人脈です。本人は1988年にバークリー音楽院卒業とありま
すので、年齢的には中堅という感じでしょうか。地元ではマリア・シュナイザーと共演したり、女性ジャズミュージシャンだけで開催
されたフェスティバルなどを主催しています。サックス奏者のHans Ulrikはスウェーデン出身の鍵盤楽器奏者Lars JanssonとJohn
Abercrombieとの共演作に参加しています。
当欄の注目点はどうしてもギターに偏ってしまうのですが、デンマーク出身のTorben Waldolffのギターがなんと言っても鮮烈
なイメージを残しています。今回は3曲のみ参加ですが、相変わらず密集度が尋常でないソロワークでグイグイと引っ張りま
#2「Family Talk」はアメリカンカルテット時代のキース・ジャレットを思い出すような曲。リズム隊が大変強力です。曲途中から
Waldolffの息の長いソロが延々と続きますが、やはり尋常でないほどの饒舌さ。Pat Methenyをよりアグレッシヴにした感じとで
も言いましょうか。#6「Evicted」はややファック色が感じられるアップテンポな曲。Hans UlrikとWaldorffとの掛け合いが実に
攻撃的です。そしてWaldorffによる相変わらずの窒息寸前の高密集ソロ。#8「Working Child」はダンサブルな曲ですが、ここでも
Waldorffのギターが冴えわたっています。この人、基本はジャズなんですが適度にロックやプログレ的な雰囲気もちょいちょい入
れてくるんですよね。「コンテンポラリー系ジャズギターの進化型」と個人的にはとらえています。Hans Ulrikがソプラノサックス
を操りますが、なぜかハービー
1 Landofme
2 Family Talk
3 Sommaleika
4 Flowers
5 Dockedans
6 Evicted
7 Subnotic
8 Working Child
9 Loudscreamer
10 People In Sea