1972年アメリカ映画「メカニック」のオリジナル・サウンドトラック盤。
アーサー・ビショップは殺し屋である。といっても怒りにまかせたり、享楽のためにそれを行ったりするのではない。あくまでも仕事として「組織」からの依頼を請け負い、ターゲットを速やかに暗殺する。まさに「メカニック」と呼ばれるにふさわしいプロフェッショナルな殺し屋だった。その手口も巧妙で、相手の家族構成や健康状態、そして生活習慣などを研究し、それぞれにとって最も不自然でない形で、事故や病死に見せかけて殺していく。事件とすら認知されないので警察に目をつけられることもない。その暮らしぶりは一見すると優雅にも見えた。ロサンゼルス郊外の大豪邸に住み、年代物のワインを嗜みながらクラシックレコードに耳を傾け、まれに高級コールガールと一夜を楽しむ。しかし、孤独そのものでもあった。身寄りは一切なく、屋敷に住まわす使用人の姿もない。そんなたった一人だけの世界の中で、日々身体を鍛え、体術を学び、仕事に必要なスキルに磨きをかける。あるとき、ビショップがいつものように「組織」からの依頼書に目を通すと、そこには知った顔写真が入っていた。亡き父の友人で自分も少なからず世話にはなってきたハリー・マッケンナである。ハリーも「組織」の一員であるが、何らかの不始末をしでかしたことは、本人からも相談されていた。しかし依頼は絶対であり、ビショップもその命を奪った。ハリーの葬儀で家を訪ねたビショップは、息子のスティーヴに目を止める。独り親の父を失い、しかも明確な目的を持たずに無為な生活を送るスティーヴを見た彼は、自分の素性を明かし、仕事を手伝わないかと持ちかける。彼がそんなことをしたのは、自分の父親を思い出したこともあった。ビショップの父もまた同じ「組織」に身を置き、非常に力を持つ人間だったが殺し屋の手にかかって命を落とした。スティーヴの境遇も父を失った年頃もよく似ている。多くを語らない二人ではあるが、組織から次々と依頼される暗殺をこなす中で徐々に絆を強め、スティーヴも殺し屋としての哲学を学び、スキルを身に付けていく。その頃、ビショップは「組織」からの呼び出しを受け、至急イタリア・ナポリでの暗殺を実行するよう依頼される。
監督:「脱走山脈」「栄光への賭け」「スコルピオ」「シンジケート」「狼よさらば」のマイケル・ウィナー。
出演:「荒野の七人」「大脱走」「さらば友よ」「ウエスタン」のチャールズ・ブロンソン、「史上最大のスーパー・チャンピオン」「爆走トラック'76」「世界が燃えつきる日」TV「超音速攻撃ヘリ エアーウルフ」のジャン=マイケル・ヴィンセント。
音楽:「ワイルドバンチ」「わらの犬」「スコルピオ」「アウトロー」「ジュニア・ボナー 華麗なる挑戦」「ダーティハリー3」「ガントレット」のジェリー・フィールディング。
生前、上質なB級作品を提供し続けたマイケル・ウィナー、私が好きな監督の一人です。その彼の作品の中でも、最もスタイリッシュで、カッコよく、ストーリー的にも面白いのが、この「メカニック」ではないでしょうか。現に、彼の作品の中で、唯一リメイクされたのが、この「メカニック」。ジェイソン・ステイサムが主役でした。ジェリー・フィールディングの職人気質な、場面場面に合わせた、ピンと張りつめた緊張感溢れるスコアも最高!ライナーノートも、愛情たっぷりに創りこまれていて、この映画へのリスペクトを感じます。サントラ・ファンにとっては、家宝になる一品だと思います。
2012年に、1200枚限定で発売され、完売・廃盤になった物の、新品未開封盤になります。
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