オランダのPhilips社が1950年頃から、主に自社の家庭用ラジオなどへの組み込みのために製造していた20cmフルレンジスピーカーユニット、9750/05の2本セットです。10年ほど前にオランダから中古を通販で購入したものになります。片方は1954年の製造、もう片方は1960年の製造と思われます。このスピーカーのフレームにはネジ止め用の穴がありません。純正かどうかは不明ですが取り付け用の金具を付属させます(写真9枚目)。
片方のユニットのコーン紙には補修跡があります。8枚目の写真でご確認ください。
■主な仕様
磁気回路:TICONAL(アルニコのPhilips商標) / 外磁式
特徴:ベークライト製デフューザー付き
外形:φ210 × 高さ120mm
公称:5Ω
重さ:1670 g
スペック値は分かりませんが実際に音を出してみると極めて高能率です。一般的に古いペーパーコーンのドイツ製ユニットなどが能率が高いとされていますが、私が今まで試したことのある多くのユニットの中でも一番高能率です。
アルニコ磁石ですが珍しい外磁式で、この磁気回路や板金のフレームは有名な9710と同一のようです。一方、コーンの中心にある9710のダブルコーンのように見える円錐は、ダブルコーンではなくベークライト製のデフューザーであり、磁気回路のポールピースにネジ止めされ固定されています。
ちなみにTICONALと言うのは、磁石の製造も自社で行なっていたPhilipsが自社製ALNICO磁石に付けた商標で、成分の頭文字を並べ替えてチタン(Ti)を足した綴りになっています。とは言っても、PhilipsのTICONAL磁石の全てにチタンが入っていたわけではなく、また他社のALNICO磁石でもチタンが入っているのも普通にあったようです。
製造されていた当時、このスピーカーユニットが搭載されていた例としては、1950年代前半に発売されたPhilips FX804A、というラジオグラムが挙げられます。
https://www.grammofoon.com/frameset.htm?https://www.grammofoon.com/Philips/Philips_FX804A.htm&ContentFrame
上のリンクのページの記載を見ると、FX804Aには9750/05が2本搭載されていたようです。
ラジオグラムとは、ラジオとレコードプレーヤーとスピーカーが家具調に一体になったオーディオ機器で、当時の家庭内の娯楽の中心機器でした。例えば、レコード再生界隈で有名なblogですが、下記リンク先のページにはバイオリニストのヨハンナ・マルツィがラジオグラムと思われる機器でレコードを再生しようとしてる写真が掲載されています。
http://blog.livedoor.jp/thorens/archives/51273018.html
以下音質について触れますが、個人の感想、と読み流してください。
能率が高いスピーカーというと、空港の天井に埋め込まれているような、力が漲ったボーカルが飛びかかってくるように出てくる、といったイメージを抱きがちですが、9750/05はちょっと異なります。低域側にも広域側にも大変レンジが広く、その分声の帯域は少し薄く感じられるほどです。ソースの種類による得手不得手は割とある方だと思いますが、何が得意で何が不得意なのか、簡単には言うことができない不思議さがあります。中域が薄いはずなのに妙にハマるボーカル曲があったりで予想ができません。よく言えば使いこなしがいのあるスピーカーと言ったところです。
ガラッと大きく変化するわけではありませんが、デフューザーの有無で若干表情が変わるので外して試してみるのも一興です。ただし、ポールピースにデフューザーが直付けされている構造上センターキャップが存在せず、ボイスコイルギャップが露出しています。鉄屑など磁性のあるゴミがギャップに入ってしまうと修理がおおごとになります。取り扱いには十分ご注意ください。
まずは裸の状態で音を出してみてください。9750/05の魅力はそれで十分に聴き取れると思います。ガチガチに共振を抑えるよりも薄板で作られた鳴りのいい箱が向いていると思います。海外のビンテージオーディオの議論などでは、後面開放でおおらかに使うスピーカー、といった話も出てきます。うまく鳴らして、マルツィが聴いたかもしれない響きをご堪能頂ければと思います。
写真をよくご覧いただき、是非ともよろしくご検討ください。
本出品スピーカーは、動作確認の上、よくありがちな白い布でスピーカー全体を覆った状態で発送します。この布の袋は、装着したままご利用いただけると思います。ボイスコイルギャップが露出している構造上、ちょっとしたお取り扱いの不注意が深刻なダメージを与えてしまいますので、返品は不可とさせていただきます。
なお、円滑にお取り引きさせていただくため、恐れながらご入札いただいた方の過去の評価履歴を拝見させていただいております。落札者都合キャンセルがある方、悪い評価が3%程度以上ある方、気になる評価コメントがある方、などからのご入札については、お断りなくご入札を削除させていただく場合があります。よろしくご了承ください。