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輸入本です / ジャケットほか状態良好です / 外装に多少ダメージがございます / 書き込み等なし /
巻末の主な録音リストに著者のセンスが光る ロシアンピアニズムとのからみ記述も多少あり (記述内容からコルトー鬼推しの著者だと思われる)
■規格番号 073999315394
■参考価格 Amazonマーケットプレイスを出品時 (2025 10/11) 検索してみたところ
最低価格 10228円 (海外セラー販売品 送料込み)で出品されておりました
◆収録内容ほか◆
AMAZONレビュアーさんのもの
題名のとおり,フランスにおけるピアニスト,ピアニズムについて,歴史的視点から描いた本です。
筆者はチャールズ・ティンブレル(米国のピアニスト,音楽学者)で,ピアノ音楽全般に及ぶ該博な知識を持っており,史料や録音を基に個々のピアニストのスタイルに関する詳細な分析を行っています。
あらゆる芸術が往々にしてそうであるように,直線状の歴史的発展を遂げたわけではないフレンチ・ピアニズムの歴史をなるべくありのまま記述できるような構成上の工夫がなされています。第1章は,19世紀末までのピアニズムの歴史が,楽器製作・教育システム・作曲家・演奏家・教育者・教育論それぞれの多角的視点により,編年体で書かれています。第2章は,フィリップ,ロン,コルトー,レヴィら,20世紀初頭に活躍したピアニストたちについて,伝記的記述のほか生前の彼らと親交のあったピアニストたちによる円卓形式の討論を交えて記述されています。第3章はナット,カサドシュ,フェヴリエ,ペルルミュテール,ロリオら大戦後に活躍したピアニストたちについて前章と同様の形式で記述されています。第4章は,サンカン,バルビエ,バルビゼ,コラール,ルイサダ,グリモーら現役のピアニストへのインタビューが収められています。そして第5章では,フレンチ・ピアニズムとコンセルヴァトワールにおける音楽教育の現状,および今後の見通しに関する部分です。巻末の付録には,インタビューを受けたピアニストの伝記,ディスコグラフィーやコンセルヴァトワールの教授たちや教本のリストがついています。とにかく取り上げられているピアニストの数が非常に多く,情報量が豊富です。インタビューに参加したピアニストだけでも50人を数えるほどです。
この本の中心的な歴史観を要約すると,フレンチ・ピアニズムはラモーやクープランらのクラヴサン音楽の伝統のなかから生まれ,明快さ・優美さ・繊細さ・上品さと高度に訓練された指先だけを用いる洗練された技術を特徴とするjeu perl'と呼ばれるものであり,それはマルグリット・ロンとその弟子たちにより完成されたが,コルトーやナット,サンカンらによりドイツやロシアのピアニズム,管弦楽的な色彩法,文学的ロマンティシズム,あるいは解剖学的知識に基づいたテクニックの分析などが持ち込まれ,旧来のフレンチ・ピアニズムはより多彩で豊かな表現力を手に入れ,グローバリズムの潮流によって,他のピアニズムと融合していったというものです。
自分の好きなピアニストがどの系譜に属しているのかを調べると面白いと思いますし,それぞれのピアニストの多様な考えは自分のピアノ演奏を見直す良い機会になるかもしれません。実際,私はまたピアノを弾きたいと思うようになりましたし,自分が習っていた先生の言っていたことが今更ながら理解できました。意外に面白かったのが,この本の背表紙を飾るジャン=フィリップ・コラールのインタビューです。彼の演奏は非常に堅実かつ上品で,自己主張は控えめのように感じていたのですが,気持ちいいほどに言いたいことを言っています。(インタビュアーである筆者が「あなたはまるで名教師みたいですね」と言うほどです)
ただ,残念な点はその情報量の大きさが災いし,この本の大部分が知識の羅列に終始しているということでしょうか。
どうかよろしくお願いいたします
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