バーンスタイン
&ウィーン・フィル、
フィッシャー=ディースカウ
ヴェルディ:
歌劇『ファルスタッフ』全曲
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン:ファルスタッフ)
ローランド・パネライ(バリトン:フォード)
グラツィエッラ・シュッティ(ソプラノ:ナンネッタ)
イルヴァ・リガブーエ(ソプラノ:フォード夫人)
ヒルデ・レッセル=マイダン(アルト:メグ)
レジーナ・レズニック(メゾ・ソプラノ:クイックリー夫人)
フアン・オンシーナ(テノール:フェントン)
マレイ・ディッキー(テノール:バルドルフォ)
ゲルハルト・シュトルツェ(テノール:カイウス医師)
エーリッヒ・クンツ(バリトン:ピストーラ)、他
ウィーン国立歌劇場合唱団
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
レナード・バーンスタイン(指揮)
1966年3月、4月
ウィーン、ゾフィエンザール、ステレオ(アナログ/セッション)
バーンスタインが、1966年に音楽の都ウィーンに乗り込んで録音した、『ファルスタッフ』録音史上に残る名盤が最新のリマスターで蘇ります。カラヤンが辞任した後、世界的なスター指揮者を探していたウィーン国立歌劇場にとって、バーンスタインはまさに理想的存在でした。彼はその期待に応え、1966年3月、ヴィスコンティによる新演出の『ファルスタッフ』で大成功を収めました。その上演と並行してキャストはそのままに、ゾフィエンザールに移した録音されたのが本作で、バーンスタインにとっても初のオペラ録音(そして結果として生涯唯一のヴェルディ・オペラ録音)となった記念的アルバムです。この後、バーンスタインはウィーンの寵児となり、亡くなるまでこの街と密接な関係を保ち、ウィーン・フィルと数多くの名演・名盤を生み出すことになりますが、その発端となったのがこの『ファルスタッフ』の成功だったのです。
何といっても躍動感のあるフレッシュな演奏によって、圧倒的な生命力を作品にもたらしたバーンスタインの指揮が圧巻です。ウィーン・フィルも引き締まった響きを持ってその熱い指揮に応えています。題名役のディートリヒ・フィッシャー=ディースカウの緻密な歌唱は哲学的ともいえるユニークなファルスタッフ像を創造し、史上最高のフォードと称えられたパネライの名唱、メグを歌うシュッティの可憐さも耳に残ります。脇を固めるレズニック(クイックリー夫人)、シュトルツェ(カイウス)、クンツ(ピストーラ)の芸達者ぶりも見事です。
本作は、バーンスタインがCBSの、ウィーン・フィルがデッカの専属契約アーティストであったため、録音自体は、プロデューサーのエリック・スミスが率いるデッカのスタッフによって行なわれました。ショルティの『指環』以来(数か月前には『神々の黄昏』の録音が行なわれ、『指環』録音が完結していました)、この名ホールの音響を知り尽くし、「ソニックステージ」としてオペラの収録にも長じたデッカの名エンジニアによって、歌手・オーケストラ・合唱団のバランスも完璧なまでに保たれ、バーンスタインのビビッドな解釈が余すところなく刻み込まれた名録音が誕生したのです。CD初期のリマスター以来、久しぶりのオリジナル・アナログ・マスターからのリマスターによって、アナログ全盛期の音の輝きを取り戻しています。(SONY)