
こちらは今では非常に入手困難な幻のミッキー漫画やべティ漫画など7作品収録されている戦前の漫画「ゴウケツ黒兵衛 ビックリマンガ」です。春江堂、昭和9年ー1934年初版。帷子ススム(カタビラススム)、鈴木としを、八代宗彦らの作品集めたもの。大野きよしも「ベティと花」の可能性あり。
90年以上前のものとしては概ね良い方です。落丁なし。8作品収録のため、厚みあります。
当時、榎本書店の漫画などに対抗して春江堂が出していたシリーズ。その中でもこれだけ作品が複数あるものは珍しいです。春江堂には当時、大野きよし、帷子ススム(カタビラススム)、八代宗彦、鈴木としを、吉田忠夫、若林利郎、加東てい象、林義雄(挿絵、絵本でよく知られる。当時は漫画も描いていた)、川上四郎(挿絵、絵本でよく知られるが、この時期だけ漫画も描いていた)ら多くの知られた漫画家が参加してました。
こちらは帷子ススム、鈴木としを、八代宗彦らのものをまとめたとみられるもの。帷子ススム「小狸小團平」(ユニークな忍術の動物もの、オバケ退治もあり)、「蛙の大将」。
鈴木としをー「珍勇黒兵衛」(田河水泡の「凸凹黒兵衛」をぱくったもの。ただし、作品はオリジナル。天下一になろうと武者修行に出る。とある狸をやっつけるも化かされて、、、。本物よりユーモア度合い高い)。「子象と子ザル」「熊ン坊とコン吉」、「コトリの散歩」など。
八代宗彦と鈴木としを(のちの絵本で知られる鈴木壽雄ー鈴木寿雄)の凶作と思われる「トンチミッキー」はミッキーが八代宗彦(当時多くのミッキーもの手掛けていたことで知られる)、ミッキーを喰らおうとしているコングーキングコングが鈴木としを。食べられようとしているミッキーの危機にミッキーの機転が炸裂する痛快な幻のミッキー漫画。
同種の「ミッキーの冒険」は大きく本に紹介されたこともある(「太陽 名作コミック集」ほか「太陽 子供の昭和史 昭和十年ー二十年」)。
「べティと花」作者は不明だが、八代宗彦は同時期に「ベティ」漫画も幾つも描いていたので可能性はあり。花を育てようと苦心するべティさん、果たして。なかなかユニークなベティさん見られます。同時期に大野きよしもべティ描いてました。
「クロンボノ冒険」は作者不明だが、おそらく鈴木としをと思われるもの(帷子ススムと共作の可能性あり)。クロンボによる冒険譚でヒョウやキングコングに襲われて大変な目に。オバケも出てきても痛快に切り抜ける作品。
「小狸小團平」と「クロンボノ冒険」は大きな薄い本で出されたこともあり(こちらだけでも数万円はする希少本)。「狸兵衛のお化退治」(こちらだけでも15000円でお譲りしたことあります)。
これだけ、まとめて見れるだけでも貴重です。お買い得な作品です。この当時のものは落丁もあり、基本まともな状態のものはほとんど出てこないのでちゃんとしたものは貴重です。今では1冊20万~ものによっては100万円以上する貴重な中村書店の函付きナカムラマンガ(一定数は出てきます)よりも同シリーズの現存数は少なく、ほとんど出てこないのでそろえるのは実質不可能なのですが同時代の作品としても価値ある1冊です。お楽しみいただければ、と思います。
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追加の写真アップしました。やや暗く映っているのは午後6時くらいに撮影したからで、実際には本はもっと明るめです、10枚目の写真の左下くらいに。