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B6982 青き炎の追憶 逸品サファイア3.91ct 天然絶品ダイヤモンド0.83ct 最高級Pt900無垢リング サイズ12 重さ7.4g 縦幅16.8mm
B6982 青き炎の追憶 逸品サファイア3.91ct 天然絶品ダイヤモンド0.83ct 最高級Pt900無垢リング サイズ12 重さ7.4g 縦幅16.8mm [浏览原始页面]
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以下、所謂ブラクラ妄想ショートショートです~~中央宝石研究所ソーティング付。


青き炎の追憶

序章:令和の静寂
東京、白金。古いが手入れの行き届いた低層マンションの一室が、相原瑞希の仕事場兼住居だった。彼女はジュエリーデザイナーとして独立して三年、そこそこの評価は得ていたが、心のどこかに常に乾いた風が吹いていた。ミニマルで洗練されたデザインを得意としながらも、彼女の創り出すジュエリーには、彼女自身が最も渇望している「物語」が欠けていることを、誰よりも本人が一番理解していた。
「また、同じようなデザイン……」
ディスプレイに映し出された新作の3Dモデルを見つめ、瑞希は深いため息をついた。完璧なシンメトリー、計算され尽くした光の反射。だが、そこには魂がなかった。血の通った温もりが、人の心を揺さぶる熱が、決定的に欠落していた。
その虚無感は、彼女の出自とも無関係ではなかった。早くに両親を亡くし、唯一の肉親である祖母、千代に育てられた。千代は優しい人だったが、自身の過去については多くを語らなかった。瑞希が物心ついた頃には、千代の記憶はすでに少しずつ、美しい砂の城が波に浸食されるように曖昧になり始めていた。一族の歴史、祖父母の馴れ初め、その全てが霧の向こう側にあった。根無し草のような感覚が、常に瑞希の創造性の源泉を枯渇させていた。
そんなある雨の日、実家の整理をしていた瑞希は、祖母の桐箪笥の奥から、古びた黒漆の小箱を見つけた。蓋を開けた瞬間、息を呑んだ。
そこに鎮座していたのは、一つの指輪だった。
夜の湖面を思わせる、深く、静かなブルー。3カラットはあろうかという大粒のサファイアが、楕円形にカットされ、中央に据えられている。その周りを、まるで星の光輪のように、寸分の狂いもなく放射状に並べられたバゲットカットのダイヤモンドが取り囲んでいた。台座はプラチナ。重厚でありながら、繊細な細工が施されている。そのデザインは、瑞希が得意とするミニマリズムとは対極にある、圧倒的な存在感を放つクラシカルなものだった。
指輪の裏には、微かな刻印があった。「B6982」。製品番号だろうか。それ以外に手がかりはない。千代に尋ねても、ただ「綺麗ねぇ……」と微笑むだけで、その瞳は遠い過去のどこかを見つめているようだった。
瑞希は、まるで引力に引き寄せられるように、その指輪を自身の左手の薬指にはめてみた。サイズは12号。彼女の指には少し大きい。しかし、指にはめた瞬間、サファイアの冷たさが肌に触れたかと思うと、次の瞬間、まるで指輪が自身の心臓と共鳴するかのように、微かな熱を帯び始めた。
「すごい……」
仕事場に持ち帰り、専門のルーペで覗き込む。石の質、セッティングの精度、どれをとっても超一流の職人技であることは明らかだった。特にサファイアの内部には、まるで星雲のように微細なインクルージョンが浮かんでおり、それが石に神秘的なまでの深みを与えていた。縦幅16.8mmの堂々たる風格。重さ7.4g。その数字の一つ一つが、この指輪が辿ってきたであろう悠久の時を物語っているかのようだった。
瑞希は決意した。この指輪の物語を突き止めたい。それができれば、自分の中の何かが変わるかもしれない。自分自身の失われた物語を、取り戻せるかもしれない。
その夜、瑞希は作業台のライトの下で、一心不乱に指輪をスケッチしていた。デザインの意図を読み解こうと、あらゆる角度から光を当て、サファイアの奥に広がる宇宙を見つめていた。その深い青に見入るうち、瑞希の意識は次第に遠のいていった。デザインへの渇望、自身のルーツへの憧憬、そして孤独感。様々な感情が渦を巻き、指にはめたサファイアに吸い込まれていくような感覚に陥った。
「誰が、どんな想いで、これを……」
呟いたその時、指輪のサファイアが、閃光と呼ぶにはあまりにも静かで、しかし強烈な青い光を放った。目を開けていられないほどの光。瑞希は思わず目を閉じた。視界が真っ白になり、刹那、浮遊感に襲われる。次に目を開けた時、彼女は自分の仕事場にはいなかった。
第一章:昭和の残像
噎せ返るような白檀の香りと、ひやりと冷たい畳の感触。瑞希は混乱のあまり、しばらく身動きができなかった。自分がどこにいるのか理解できなかった。目の前には、見事な彫刻が施された黒檀の座卓。その向こうには、精緻な松の絵が描かれた金屏風が立てられている。障子の向こうからは、ししおどしが静かに時を刻む音が聞こえていた。
「……夢?」
だが、頬をつねると痛かった。絹の着物の袖が腕に触れる感触も、あまりにリアルだった。自分が着ているのは、いつものシンプルなカットソーではない。見たこともない、紫紺色の地に細やかな花模様が描かれた、上質な着物だった。
「お嬢様、どうかなさいましたか? ぼうっとされて」
不意に背後からかけられた声に、瑞希は飛び上がらんばかりに驚いた。振り返ると、そこにいたのは、白い割烹着を着た初老の女性だった。優しそうな目元をしているが、その眼差しにはどこか詮索するような鋭さがあった。
「お嬢様……? 私のことですか?」
「まあ、何を仰います。絢子お嬢様」
アヤコ? 瑞希は自分の名前ではないことに、さらに混乱した。状況を把握しようと周囲を見渡す。そこは広大な日本家屋の一室だった。磨き上げられた廊下、丁寧に手入れされた庭。ここは、令和の時代から切り取られたとは思えない、完璧な過去の世界だった。
鏡はないか。瑞希は必死に探した。部屋の隅にある姿見を見つけ、駆け寄って、そして絶句した。
鏡に映っていたのは、自分であり、自分でない誰かだった。顔の輪郭やパーツは紛れもなく瑞希のものだ。しかし、その表情、纏う雰囲気、そして結い上げられた日本髪が、彼女を全くの別人に見せていた。歳の頃は瑞希と同じ、二十代半ばだろうか。その瞳には、瑞希自身が抱える乾いた虚無感とは質の違う、深い憂いと諦念の色が浮かんでいた。
そして、鏡の中の自分の左手薬指には、あのサファイアの指輪が、まるで本来あるべき場所にあるかのように、しっくりと収まっていた。
「絢子お嬢様、間もなく野村様がお見えになります。旦那様も客間でお待ちですわ」
ノムラ様。ダんなサマ。断片的な情報が、瑞希の頭の中で恐ろしい仮説を組み立てていく。自分はタイムスリップしたのだ。そして、この「絢子」という女性の身体に入り込んでしまったのだ、と。
割烹着の女性――女中のキヨに促されるまま、瑞希は重い足取りで客間へと向かった。広い廊下を歩きながら、絢子の記憶の断片らしきものが、霧の中から浮かび上がるように脳裏をよぎった。
厳格な父。病弱な母。そして、政略結婚の相手である野村という男の、冷たい目の光。
客間に通されると、そこには二人の男性が座っていた。一人は、絢子の父であろう、威厳のある初老の男性。そしてもう一人、洋装に身を包んだ、三十代半ばと思しき男がいた。整った顔立ちをしているが、その表情は能面のように固く、感情が読み取れない。彼が、野村貴正。絢子の婚約者だった。
「絢子、来たか。貴正殿をお待たせして、申し訳ない」
父の言葉は硬い。瑞希は、絢子の身体が自然と畳に手をつき、深々と頭を下げるのに任せた。この身体は、この世界の作法を覚えている。
「さあ、こちらへ」
貴正の隣に座るよう促され、瑞希は息苦しさを感じながらそれに従った。貴正から、鋭い視線が投げかけられる。その視線は、瑞希を通り越して、彼女の左手の指輪に注がれていた。
「その指輪、気に入ってくれたかね」
「……はい。とても、素敵です」
かろうじて声を絞り出す。すると、貴正は満足げに、しかし笑みのない顔で頷いた。
「最高の職人に作らせたものだ。お前に相応しいと思ってな。そのサファイアの色は、セイロンの至宝と呼ばれている。周りのダイヤも、寸分の狂いもなく配置させた。我が野村家の嫁となるからには、常に最高のものだけを身につけてもらいたい」
彼の言葉は、愛情からではなく、所有欲と支配欲から発せられていることを、瑞希は直感的に理解した。この指輪は、絢子にとって、美しい鳥かごの錠前なのだ。
その時、瑞希の脳裏に、新たな記憶の断片が閃いた。それは、この指輪が絢子の元に届けられた日の光景だった。しかし、そこにいたのは貴正ではなかった。もっと若く、朴訥とした雰囲気の、しかしその目に熱い情熱を宿した青年の姿だった。彼は、職人なのだろうか。指輪を絢子の指にはめながら、何かを囁いた。その言葉は聞こえない。だが、彼の眼差しは、貴正のそれとは全く違っていた。それは、宝石に向けられたものではなく、絢子自身に向けられた、切実な想いの光だった。
瑞希は理解した。この指輪には、二人の男の想いが込められている。一人は、絢子を所有しようとする男。そしてもう一人は、絢子に想いを寄せる、名もなき職人。そして、この身体の持ち主である絢子は、後者の男に心を惹かれているのだ。
複雑に絡み合った人間関係の糸。その中心で輝く、青いサファイア。瑞希は、自分がただの傍観者ではいられないことを悟った。この指輪の物語は、まだ終わっていない。そして自分は、その渦中に放り込まれてしまったのだ。
第二章:二つの想い
絢子としての生活が始まって数日が過ぎた。瑞希は、キヨや他の女中たちの目を盗み、必死に情報を集めた。今は昭和の初期、世界が戦争の足音に怯え始める少し前。絢子の家、西園寺家は旧華族の家柄で、没落しかけた家勢を立て直すため、新興財閥である野村家との縁組を決めた。貴正は、その野村コンツェルンの若き総帥だった。全ては政略。そこに個人の感情が入り込む余地はなかった。
瑞希は、絢子の日記を見つけ、彼女の苦悩の深さを知った。日記には、貴正への恐れと、もう一人の男性への思慕が、切々と綴られていた。
その男性の名は、田中海斗。
海斗は、貴正が「最高の職人」と呼んだ男の弟子であり、実質的にあのサファイアの指輪をデザインし、製作した人物だった。貴正は、懇意にしている老舗宝飾店「銀星堂」に指輪を注文したが、店の老主人は、自身の右腕である海斗にその大役を任せたのだ。
海斗は、西園寺家に指輪の仮留めや調整のために何度か足を運んでいた。その際に、絢子と海斗は言葉を交わすようになった。海斗は、宝石について語る時、まるで恋人を語るかのようにその目を輝かせた。彼は、石の一つ一つに宿る物語を読み解き、それを最大限に輝かせることこそが自分の使命だと信じている、純粋な男だった。
絢子は、そんな海斗の情熱に、そして自分自身を一個の人間として見てくれるその誠実な眼差しに、次第に惹かれていった。海斗もまた、美しい鳥かごの中で憂いを帯びる絢子に、特別な感情を抱くようになっていた。あの指輪は、注文主である貴正の意向を反映しつつも、細部に海斗の絢子への密かなメッセージが込められていた。
放射状に広がるバゲットダイヤは、鳥かごの格子を突き破り、自由に羽ばたいてほしいという願い。そして中央のサファイアの、深く、どこまでも澄んだ青は、絢子の瞳の奥に宿る、決して失われることのない魂の高潔さを表現していた。それは、海斗から絢子への、声に出せない恋文だった。
瑞希は、どうにかして海斗に会う術はないかと考えた。そんな折、指輪の爪の僅かな緩みが気になると、貴正に申し出る機会があった。貴正は、すぐに銀星堂に連絡するよう命じ、数日後、海斗が西園寺家を訪れることになった。
応接間で、瑞希は心臓の鼓動が早くなるのを感じながら、海斗を待った。やがて、障子が開かれ、一人の青年が入ってくる。飾り気のない木綿の着物を着た、実直そうな青年。しかし、その瞳には、瑞希が絢子の記憶で見た通りの、熱い情熱の炎が揺らめいていた。
「西園寺お嬢様。本日はお呼びいただき、恐縮です」
海斗は深々と頭を下げた。瑞希は、言葉に詰まった。目の前にいるのは、歴史上の人物だ。自分の曾祖父母、あるいはそれよりさらに昔の人間かもしれない。だが、彼の存在感は圧倒的だった。
「……指輪の、ここの爪が少し」
瑞希は、絢子を演じながら、指輪を外して海斗に手渡した。海斗がそれを受け取る時、二人の指先が僅かに触れた。その瞬間、微かな電流のようなものが走り、瑞希は絢子の感情が自分の内側から奔流のように溢れ出してくるのを感じた。
愛おしい。会いたかった。この気持ちを、どうすれば。
海斗は、専門の道具を取り出し、黙々と作業を始めた。その真剣な横顔を、瑞希はじっと見つめた。この人が、あの指輪を創った。この指が、あの魂を揺さぶるような美を生み出したのだ。
「……このサファイアは、不思議な色をしていますね」
沈黙に耐えきれず、瑞希が口を開いた。
「まるで、夜明け前の空のようです。深い闇の中に、これから訪れる光の気配が感じられる」
その言葉に、海斗はピタリと作業の手を止め、驚いたように顔を上げた。
「……分かって、くださいますか」
彼の声は、喜びと驚きに震えていた。
「ええ。そして、周りのダイヤモンドは、その光が世界に広がっていく様を表しているかのよう」
それは、デザイナーとしての瑞希自身の解釈でもあった。海斗の瞳が、潤んでいるように見えた。
「その通りです。私がこの指輪に込めた想いは、それでした。野村様からは、ただ『権威と富の象徴』となるようなデザインを、とだけ言われましたが……。私は、この指輪を身につける方が、いつか、その権威の重圧から解き放たれ、自由に羽ばたける日が来ることを願って……」
そこまで言って、海斗はハッとして口をつぐんだ。身分違いの相手に、あまりにも踏み込んだ発言をしてしまったことに気づいたのだ。
「申し訳ありません。差し出がましいことを……」
「いいえ」
瑞希は、首を横に振った。
「あなたの想い、確かに受け取りました。この指輪は……私の、お守りです」
それは、絢子の心の声であり、瑞希自身の声でもあった。海斗は、瑞希の瞳をじっと見つめ返した。その眼差しは、二人の間に横たわる身分や時代の壁を越えて、魂の深い部分で通じ合っていることを物語っていた。
修理を終え、海斗が辞去する間際、彼は小さな声で囁いた。
「お嬢様。もし、どうしようもなく息苦しくなった時は、どうか、この指輪を見てください。この青は、貴女の心の自由の色です。誰にも、奪うことはできません」
その言葉を残し、海斗は去っていった。一人残された部屋で、瑞希は自分の指に戻された指輪をじっと見つめた。サファイアの青が、以前よりも一層、強く、深く輝いているように見えた。
しかし、この密かな交流は、貴正の知るところとなっていた。貴正は、絢子の全てを把握するために、女中のキヨを密偵として使っていたのだ。絢子の僅かな表情の変化、そして職人である海斗との間に流れた尋常ならざる空気。その全てが、貴正に報告されていた。
数日後、貴正が再び西園寺家を訪れた。その日の彼は、いつにも増して不機嫌だった。
「絢子。お前に、話がある」
人気のない茶室に二人きりになると、貴正は冷たい声で切り出した。
「銀星堂の職人風情と、随分と楽しげに話していたそうだな」
瑞希の心臓が、氷水で冷やされたように凍りついた。
「滅相もございません。指輪の修理のことで、少し……」
「言い訳は聞きたくない」
貴正は、瑞希の言葉を遮った。
「いいか、絢子。お前は間もなく、野村家の人間になる。野村の妻として、一点の曇りもない存在でいてもらわねば困る。下賤の者と馴れ合うなど、もってのほかだ」
彼は立ち上がると、瑞希の目の前に立ち、その顎を掴んで強引に上を向かせた。
「あの指輪は、俺がお前に与えたものだ。その意味を、よく考えろ。お前の価値も、お前の未来も、全て俺が決める。あの職人が込めた感傷的な想いなど、お前には必要ない」
恐怖で身体が震える。瑞希は、これが絢子が日常的に味わってきた絶望なのだと悟った。だが、その時、瑞希の心の中に、別の感情が湧き上がった。それは、令和の時代を生きる、自立した一人の女性としての、怒りの感情だった。
「……いいえ」
思わず、声が漏れた。貴正が、怪訝な顔で瑞希を見る。
「何だと?」
「この指輪の価値を決めるのは、あなたではありません」
瑞希は、貴正の手を振り払い、毅然として彼を睨みつけた。
「この指輪に込められた想いは、誰にも汚すことはできません。それは、作り手の魂そのものです。そして、それをどう感じ、どう受け止めるかは、私自身の心の問題です」
それは、絢子には決して言えなかったであろう言葉だった。瑞希の予想外の反抗に、貴正の顔が怒りで歪んだ。彼は、平手で瑞希の頬を打った。
パシン、と乾いた音が茶室に響く。頬に走る、燃えるような痛み。しかし、瑞希は決して目を逸らさなかった。その瞳の奥で、サファイアの指輪が、青い炎のように静かな光を放っていた。
第三章:運命の夜
貴正との一件以来、西園寺家の空気は鉛のように重くなった。絢子(瑞希)への監視は一層厳しくなり、自由な時間はほとんどなくなった。貴正は、結婚の日取りを早めることを一方的に決め、着々と準備を進めていった。
瑞希は、焦りと無力感に苛まれていた。自分はこのまま、絢子の絶望的な運命を見ていることしかできないのか。絢子と海斗の、踏みにじられようとしている想いを、ただ傍観するしかないのか。何のために、自分は過去に来たのだろう。
そんなある夜、瑞希の枕元に、一通の小さな文が置かれているのに気づいた。キヨの目を盗んで、絢子に同情的な若い女中がそっと届けてくれたものだった。それは、海斗からの文だった。
「来たる満月の夜、午前二時。裏庭の樫の木の下でお待ちしています。貴女を、この鳥かごから連れ出したい。我が命に代えても」
短い文面には、海斗の固い決意が滲んでいた。駆け落ちの誘いだった。
瑞希の心は激しく揺れた。これは、絢子が待ち望んでいた言葉のはずだ。しかし、瑞希は、この時代の駆け落ちが、どれほど無謀で、過酷な結果を招くかを知っていた。特に、野村家のような強大な権力を持つ家を敵に回せば、二人が安穏と暮らせる場所など、日本のどこにもないだろう。海斗の職人としての未来も、彼の家族も、全てが破滅するかもしれない。
だが、このまま貴正に嫁げば、絢子の魂は完全に死んでしまう。どちらが、彼女にとっての本当の幸せなのか。瑞希には、判断がつかなかった。
満月の夜が来た。屋敷中が寝静まった深夜、瑞希は、絢子が用意していたのであろう、小さな荷物を手に、そっと寝室を抜け出した。廊下を、息を殺して進む。心臓が、今にも張り裂けそうだった。
裏庭に出ると、月光が白々と地面を照らしていた。樫の木の影に、一つの人影が見える。海斗だった。
「絢子さん……!」
海斗が、安堵の表情で駆け寄ってくる。その手には、彼自身のささやかな荷物があった。
「来てくれたのですね。さあ、早く。夜が明ける前に、この町を出ましょう」
海斗が瑞希の手を取ろうとした、その時だった。
「見事な痴話劇だな」
暗闇から、氷のように冷たい声が響いた。貴正だった。彼の背後には、数人の屈強な男たちが控えている。キヨが、裏切りを貴正に密告していたのだ。
海斗は、咄嗟に瑞希を自分の背後にかばった。
「野村様……! どうか、お嬢様は……。全ての責めは、私が負います」
「お前のような下賤の者に、責めが負えるのか?」
貴正は、嘲るように言った。
「お前をそそのかした罪で、銀星堂は潰れるだろう。お前の家族も、路頭に迷うことになる。それでもいいのか?」
海斗の顔から、血の気が引いた。彼は、自分一人の情熱が、どれだけ多くの人を不幸にするかに気づいていなかったのだ。
「そして、絢子」
貴正の冷酷な視線が、瑞希を射抜いた。
「お前は、俺の顔に泥を塗った。だが、安心しろ。結婚は予定通り行う。そして、お前は一生、野村家の奥座敷から一歩も出ることなく、俺の人形として生きてもらう。それが、お前への罰だ」
絶望的な状況だった。海斗は唇を噛み締め、絢子(瑞希)はなすすべもなく立ち尽くす。二人の未来が、完全に閉ざされようとしていた。
その時、瑞希の脳裏に、自分がなぜここにいるのか、という問いが雷のように突き刺さった。自分は、令和の時代の人間だ。この時代の常識や限界に、縛られる必要はない。自分にしか、できないことがあるはずだ。
瑞希は、海斗の背後から一歩前に出た。そして、貴正をまっすぐに見据えた。
「待ってください、野村さん」
その落ち着いた声に、貴正も海斗も、虚を突かれたようだった。
「私は、あなたから逃げも隠れもしません。駆け落ちなどという愚かな真似も、もう考えません」
「絢子さん、何を……!」
「ですが」
瑞希は、海斗の言葉を遮り、続けた。
「私は、あなたの人形にはなりません」
瑞希は、自分の左手にはめられたサファイアの指輪を、貴正の目の前に突き出した。月光を浴びて、指輪が妖しいまでに青く輝く。
「あなたはこの指輪を、権威と富の象徴として私に与えました。ですが、この指輪を創った田中海斗さんは、全く違う想いを込めました。私の心の自由を願って」
瑞希の言葉は、静かだったが、その場にいる全ての者の心を貫く力を持っていた。
「私は、野村家の妻になります。ですが、それはあなたの所有物になるという意味ではありません。私は、一人の人間として、あなたと対等なパートナーシップを築きたいのです」
「パートナーシップ?」貴正が、初めて聞く言葉に眉をひそめた。
「そうです。私は、あなたの事業や社会的地位に、敬意を払います。妻として、あなたを支えましょう。その代わり、あなたも私の人格を尊重してください。私が、何に価値を見出し、何を美しいと感じるか。その心を、認め、守ってください」
そして、瑞希は海斗の方を向いた。
「海斗さん。あなたの想いは、確かに受け取りました。この指輪がある限り、私はその想いを決して忘れません。ですが、私たちは、愛する人たちを不幸にしてまで、自分たちの幸せを追求すべきではない。……あなたは、あなたの場所で、その素晴らしい才能を、もっと多くの人のために使ってください。あなたの創るジュエリーは、きっと多くの人を幸せにする力があります」
それは、恋人たちの甘い逃避行ではなく、もっと大きく、そして困難な道を選ぶという宣言だった。海斗は、瑞希の真意を悟り、涙を堪えながら、深く、深く頷いた。
貴正は、生まれて初めて経験する事態に、言葉を失っていた。目の前にいる女は、もはや彼が知っている、か弱く従順な絢子ではなかった。彼女は、自分の足で立ち、自分の言葉で未来を語っていた。その姿は、不思議な気高さと輝きに満ちていた。
長い沈黙の後、貴正は、低く、しかし以前のような冷たさのない声で言った。
「……面白い女だ。いいだろう。お前がそこまで言うのなら、試してみようじゃないか。お前の言う、その『パートナーシップ』とやらを」
それは、完全な勝利ではなかったかもしれない。しかし、絶望的な運命に、確かな亀裂を入れた瞬間だった。
その時、瑞希の指にはめられたサファイアの指輪が、これまでで最も強く、眩い光を放った。瑞希の意識が、急速に遠のいていく。ありがとう、絢子さん。ありがとう、海斗さん。あなたたちの物語は、決して悲劇では終わらせない。
終章:令和の光
気がつくと、瑞希は自分の仕事場の椅子に座っていた。窓の外は、すっかり明るくなっている。頬に、乾いた涙の跡があった。左手の薬指には、あのサファイアの指輪がはまっている。全ては、夢だったのだろうか。
しかし、瑞希の中には、確かな感触が残っていた。貴正の冷たい視線、海斗の温かい眼差し、そして、自分の口で未来を切り開いた、あの夜の確かな手応え。
瑞希は、まるで何かに導かれるように、パソコンを開いた。そして、震える指で検索窓に打ち込んだ。「宝飾職人 田中海斗」。
検索結果を見て、瑞希は息を呑んだ。
そこには、昭和初期から中期にかけて活躍した、一人の天才的な宝飾職人の生涯が綴られていた。田中海斗。彼は、若き日に野村コンツェルンの庇護を受け、自身の工房「青炎洞」を設立。伝統的な技巧とモダンな感性を融合させた彼の作品は、国内外で高く評価され、日本の宝飾史にその名を刻んだ。彼の作品は、どれもが依頼主の人生に寄り添い、その魂を輝かせるような物語性に満ちていたという。
さらに検索を続ける。西園寺絢子。野村貴正。
野村絢子となった彼女は、ただ財閥の奥様として過ごしたのではなかった。彼女は、若き芸術家たちのパトロンとして、その生涯を文化振興に捧げた。特に、宝飾職人、田中海斗の才能を早くから見出し、彼が世界に羽ばたくための支援を惜しまなかったと記されている。二人の間には、恋愛関係こそなかったが、生涯にわたる深い友情と尊敬の念で結ばれていた、と。貴正もまた、そんな妻の活動を黙認し、時には陰ながら支えたという。彼らの関係は、当時の上流階級では極めて珍しい、互いを尊重し合うパートナーとして知られていた。
そして、瑞希は、決定的な記述を見つけた。田中海斗の家族構成。その家系図を辿っていった瑞希は、その末端に、自分の祖母、千代の名前を見つけ、そして、その下に、自分の母の名を、さらにその下に、相原瑞希という自分自身の名前を見つけた。
海斗は、瑞希の母方の曾祖父だったのだ。
全てのピースが、繋がった。祖母が持っていたこの指輪は、海斗の最高傑作であり、彼の人生の転機となった作品。絢子が亡くなった後、様々な経緯を経て、巡り巡って海斗の子孫である祖母の元へと戻ってきたのだ。祖母の曖昧な記憶の奥にあったのは、一族に伝わる、この指輪の伝説だったのだ。
涙が、止めどなく溢れた。自分は根無し草などではなかった。自分の中には、誰にも屈しない自由な魂を信じ、それを美しい形に昇華させた、偉大な職人の血が流れていたのだ。自分に欠けていた「物語」は、こんなにも近くに、自分の血の中に、あったのだ。
瑞希は、作業台に向かった。もう、迷いはなかった。ディスプレイに、新しいデザイン画を描き始める。それは、これまでのような、冷たく無機質なものではなかった。
中央に、深い青の宝石を据える。それは、どんな困難の中でも失われない、心の自由の色。その周りを、放射状に広がる光のラインで囲む。それは、鳥かごの格子を突き破って羽ばたく、希望の翼。
デザインの名は、「青き炎の追憶」。
数ヶ月後。瑞希の個展は、大成功を収めた。彼女の新しいコレクションは、一つ一つに深い物語が宿っており、見る者の心を強く揺さぶった。多くの人々が、彼女のジュエリーを前に涙ぐみ、そして笑顔になった。
個展の最終日、瑞希は、車椅子に乗った祖母の千代を会場に招いた。
「おばあちゃん、見て。これが、私の新しい作品」
千代は、瑞希の作品を一つ一つ、愛おしそうに見つめた。そして、瑞希の胸元で輝く、あのサファイアの指輪に目を留めた。
「……綺麗な、青……。自由の、色ね……」
千代の瞳は、穏やかに澄み渡っていた。その言葉が、記憶の奥底から蘇ったものなのか、それとも、指輪が放つオーラを感じ取ったものなのか、瑞希には分からなかった。だが、どちらでも良かった。
瑞希は、そっと祖母の手を握った。自分たちの血に流れる、時を超えた物語。それは、決して派手な恋愛劇ではなかったかもしれない。しかし、それは、困難な時代の中で、それぞれの尊厳を守り抜き、互いを尊重し、そして未来へ美しいものを繋いでいこうとした、強く、気高い魂の物語だった。
瑞希は、左手の薬指で静かに輝くサファイアを見つめた。B6982。それは、単なる製品番号ではなかった。それは、絢子と海斗、そして瑞希自身の魂を繋ぐ、奇跡の物語の始まりの合図だったのだ。
令和の柔らかな光が差し込むギャラリーで、瑞希は、自分の人生が、そして自分の創り出すジュエリーが、ようやく本当の輝きを放ち始めたことを、確信していた。
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