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RCA Model 45×18 1940
1935年、RCAがオクタルベースの軍用メタル管(MT管)を開発したのを機に、その外被をガラスに置き換えた
グラスチューブ(GT管)が各社から発売され、民生用のラジオに一斉に採用されたのは、そのコンパクトさ、高性能ゆえです。
1940年製の本機は、真空管の小型手化と、もう一つのトレンド ”トランスレス化”によって非常にコンパクトに仕上がっており、
その合理的なレイアウトは全く隙が無く、まことに見事です。
さらに製作時期が、日米開戦以前であり、それは米国にとって比較的佳き時代であったことは重要です。
本機は、木工を駆使したラウンドコーナーのボディにオークの突板を纏い、簡素ながらも工芸品としての存在感を有します。
機能面では、プッシュボタンによる5局プリセットの機構が組込まれており、これは大変手の込んだ造りです。
その後の戦時体制下から大戦末期にかけて、一様にベークライトの素っ気ない工業製品と化した米国ラジオと比べて、
遊び心と贅沢さが際立ち、アメリカの古き佳き時代を感じさせてくれる Model 45×18
是非ともご検討ください。
機器概要
・標準型GT管トランスレス5球スーパーヘテロダイン
12SA7 (1stDET. OSC), 12SK7 (IF), 12SQ7 (2ndDET. AF), 50L6GT( OUTPUT), 35Z5G ( RECT)
・アース方式: フローティングアース
・キャビネット内蔵ループアンテナ方式
・トラッキングレス親子バリコン
・C同調式中間周波トランス(IF 455kHz)
・5局プリセット機構(プッシュボタン、ダイヤル針連動)
整備内容
・不良チュブラーコンデンサ交換
・電源ケミコン良否判定(マロリー製 チュブラー型ブロックコンデンサ20/30μF 健全良好につき継続)
・不良ボリュームコントロール500KΩ交換
・キャビネット美装
キャビネット天部、側部、正面上下トリム / ウレタンクリア
コントロールパネル / ウレタンクリア 艶消し
スピーカーグリル / ウレタンエボニー 艶消し
キャビネット内部、底部 英国オールドヴィラージュ社製 バターミルクペイント”Child Locker Red”
このラジオの隠れた部分には、元々赤色が塗られていました。その赤を再現しております。
・受信調整
IF調整、ANTトリム調整
プッシュボタン機構は、特定の局をプリセットしていません。方法も詳しく解らないので現状でスピードダイヤル的に使うのが
良いと思っています。
ループアンテナ装備の米国ラジオの多くは、鉄筋コンクリートマンションの居室内でも聴取可能です。
なかでも本機は抜群の高感度を有しており、戦前の米国GT管トランスレスの実力を今に知らしめる物となります。
但し、整備品とはいえ本機の構成部品は85年の経年につき、コンディションの変化もあり得ます。
ご理解の上のご入札をお願い申し上げます。