図録・写真解説本 図像 密教図像 仏教美術 図像抄 不動明王図像 高雄曼荼羅図像 大元帥明王曼荼羅図 仁王経五方諸尊図 諸尊図像集 別尊雑記 覚禅鈔 兜率天曼荼羅 五大尊図像 五部心観 孔雀明王図像 十天形像 四天王 十二神将 善女竜王図像 九曜星 北斗曼荼羅図 蘇悉地儀軌契印図 妙見菩薩 十天形像 毘沙門天図像 北斗曼荼羅図 ほか
至文堂
1970年発行
106ページ
約23x18.5x0.8cm
監修 文化庁・東京国立博物館・京都国立博物館・奈良国立博物館
執筆・編集 浜田隆
巻頭口絵カラー 20図 本文モノクロ 129図
※絶版
本書は日本の仏教における「図像」イコノグラフィー、すなわち密教図像、密教絵画、白描画などにテーマを絞り、
密教図像を中心とした重要な図像129図を、図版解説とともに図像の歴史、意義、表現形式の変遷、時代別の様式の展開、日本絵画史上の位置づけ、図像の宝庫である東寺/教王護国寺、高野山、醍醐寺、仁和寺、高山寺、天台寺院の図像に整理分類し、掘り下げて詳細に論考したもので、本書の図版やデータは大変貴重な資料。
巻末には、「図像の鑑賞と応用」収録。図像集の古典について成立・内容のあらまし、諸伝本について列記し、真贋鑑識の要件についても触れながら、図像の正しい管理についても述べる。
東密・台密の主要な法流の系図、年記の明らかな図像を中心とした、主要図像および関連年表を掲載。
小ぶり・モノクロ図版とテキスト解説文が中心でありながら、図版数は多く二段組テキストで凝縮された内容。
仏教絵画・密教図像研究の第一人者による解説論考は、
内容充実、情報満載の研究書となるもの。
観想、日本の密教美術・仏教美術・仏像・仏画・仏像彫刻・作品制作・古美術鑑賞に欠かせない知識満載の大変貴重な絶版図録解説本。
【目次】
図像とはなにか
密教芸術と図像 図像の語源
図像の歴史
図像の歴史 密教図像の請来 図像転写の到来
図像のもつ役割と意義
図像の目的と役割 図像の現代的役割
図像の形式的変遷
図像に見る仏画形式の変遷
図像の様式的展開
白描画の伝統 請来された唐本図像 11世紀の図像 12世紀の図像 両界曼荼羅図像の転写 心覚と玄証 鎌倉時代初頭の図像 覚禅と覚禅鈔 13世紀後半以降の図像
図像の日本絵画史上の位置
仏画と図像 大和絵と図像
図像の宝庫
東寺 高野山 醍醐寺 仁和寺 高山寺 天台寺院の図像
図版目録
参考文献
索引
図像の鑑賞と応用
東密・台密の主要法流
主要図像および関係年表
【編者について】浜田隆/濱田隆
文化財調査官、東京国立博物館次長などをへて、昭和58年奈良国立博物館長、63年東京国立文化財研究所長。平成3年山梨県立美術館長などを歴任。
仏教絵画の研究・評論で知られ、密教絵画研究の第一人者。著作に「曼荼羅の世界」「極楽への憧憬」「密教美術大観 第1巻 両界曼荼羅」「日本古寺美術全集」など。東京大学文学部美学美術史卒。
【作品解説文 一部紹介】寸法掲載 ここでは略
第1図 四種護摩本尊并眷属図像(醍醐寺)
弘法大師時代には後世の密教では全く用いられなかった図ほが散見される。本図巻巻頭を飾るこの図像もその一つで、その激しい動勢の表現には後の日本的感覚の片鱗すらも認められず、インド直伝とも言うべき情熱的感覚がみなぎっているようである。本図巻の原本は弘仁十二年(821)弘法大師の弟子智泉が描いたもので、唐本図像中の代表的一本である。
第2図 仁王経五方諸尊図 西方(教王護国寺)
弘法大師請来図像中の代表的一本。原本はすでにないが、東寺と醍醐寺にすぐれた写本を伝え、共にきわめて力力量感のある筆致で、正確に写し取られており、唐本図像の特徴が随所ににじみ出ている。
全五幅からなり、これがどのような曼荼羅を構成したものか明らかでないが、弘法大師の密教思想を知る上でも重要な遺品である。
第4図 大元帥明王曼荼羅図(教王護国寺)
承和5年(838)帰国した常暁は我が国にはじめて大元帥明王の画像教本を請来した。本図はその中の大元帥本身将部曼荼羅に当たるものと思われ、その激越な評定や異相の形相に唐本図像の特色をいかんなく窺うことができる。この画像はその偉大な効験の故に平安時代以来国家的秘法の本尊として請用された。
ほか
【図像とはなにか】より一部紹介
―このように、仏像を識別する重要なポイントとしては、仏たちの相好(とくに表情)、印相(手の組み合わせ方)や持ち物、全体の姿勢などが規定され、信仰者のみならず、また仏を造る仏師たちもこれらの特徴を知悉することがなければ、仏教自身をりかいすることができないという状況に置かれることになったものである。
たとえば頭には螺髪、身には衲衣の質実な形姿が大日如来以外の一般の如来(仏)の特徴であるのに対して、頭には宝冠、身には瓔珞等の装身具を帯するのが菩薩の特徴であるがごとく、また一見菩薩のごとき出で立ちながら、忿怒の形相すざまじく、人を慴伏せしめる姿を示すのは明王というように規定され、さらに個々の尊像についても、たとえば右手に宝剣、左手に索をとるのが不動明王というように細目の規定がなされているのである(第22~25図)。
たとえ時代や作者を異にしようが、このようないくつかの特徴を把握しておれば、仏たちの識別にさして困難を感ずることはないのである。
印相や持物そは特定の共通の標識として存在するものであり、このような公約数的標識こそ仏教芸術における図像そのものなのである。さて、このような標識―同時に約束ごと―からさらに一歩を進めて、このような仏たちの個々の姿を、その標識を主体にして図解した一種の仏像の見取図が作られるようになり、これ自身が図像と呼ばれるようになったのである。それは本格的な信仰対象としての画像と異なり、多くは彩色を伴わない白描画―いわゆる白描図像―で、彩色を伴う場合でも墨線による素描が主体で、その上に淡い彩色が施される程度にすぎないので、本格的仏画とは異なる独自の芸術分野を開くことになったものである。
このように図像はもともと完成を日的とした本格的画像とは異なり、仏教の中でもとくに密教の分野で、記録伝承を目的とし、あるいは学問研究の対象として描かれてきたものである。したがってその筆者も本来絵画の道には全くの素人である密教の僧侶たちが主体であったから、それ自身はもとより芸術作品を意識したものではなく、また芸術の対象たりうるものでもなかった。
しかるに、図像の書写蒐集が木格化する平安時代の末ごろになると、これを行なう僧侶の技術が著しく向上するかたわら、専門の画師による図像の制作も行われるにいたり、図像の芸術的価値は急速に高まった。とくに本格的画像では色彩のかげにかくれがちな描線の妙味が図像によって明瞭に浮き彫りされ、やがては他の絵画分野、たとえば絵巻・水墨画の世界への影響も見られるなど、図像の芸術的地位は日本絵画史の上で無視しがたいものとなったのである。
(以下略)
【図版目録】一部紹介
表紙八大菩薩図像(虚空蔵菩薩-塔ホ扉絵) 醍醐寺
見返図像抄 吉祥天 円通寺
四種護摩本尊并眷属図像 醍醐寺
仁王経五方諸尊図(四方) 教王護国寺
八大菩薩図像(虚空蔵菩薩-塔本扉絵) 醍醐寺
大元帥明王曼荼羅図 教王護国寺
高雄曼荼羅図像 釈迦院中央 長谷寺
金胎仏画帖 大和文華館
高僧図像 維摩・文殊 仁和寺
図像抄 醍醐寺
図像抄 醍醐寺
孔雀明王図像 醍醐寺
火羅図 敬王護国寺
不動明王頭部および二童子図像(玄朝様) 醍醐寺
不動明王図像(円心様) 醍醐寺
不動明王図像(深賢筆) 醍醐寺
不動明王図像(信海筆) 醍醐寺
一切念誦行事勾当図像 仁和寺
蜜菩薩図像(唐本) 仁和寺
毘沙門天図像 千手観音像胎内納入品 興福寺
図像抄 迦楼羅 円通寺
諸尊図像集 訶梨帝母 称名寺
仏足石 薬師寺
高雄曼荼羅図像 大日如来 長谷寺
高雄曼荼羅図像 宝幢如米 長谷寺
高雄曼荼羅図像 文殊菩薩 長谷寺
別尊雑記 尊勝曼荼羅 仁和寺
胎蔵図像 奈良国立博物館
図像抄(第一巻 巻頭) 醍醐寺
空海請来目録巻頭巻末(最澄筆) 教王護国寺
十天形像 地天 醍醐寺
四種護摩本尊并眷属図像 兜跋毘沙門天 醍醐寺
文殊図像 五台山文殊(円仁請来様) 醍醐寺
五部心観 大日如来・阿しゅく如来・宝生如来・無量寿如来 園城寺
五大尊図像 金剛夜叉明王・降三世明王・不動明王 醍醐寺
図像抄 鳥枢沙摩明王 円通寺
別尊雑記 弁才天 仁和寺
覚禅鈔 兜率天曼荼羅 称名寺
覚禅鈔 智光曼荼羅 勧修寺
諸尊図像集 大東急記念文庫
孔雀明王図像 醍醐寺
普賢延命図像 醍醐寺
戒壇院脚子扉絵 金剛力士
別尊雑記 毘沙門天 仁和寺
別尊雑記千手観音二十八部衆(唐本) 仁和寺
戒壇院厨子扉絵 供養菩薩
十天形像 不動明王 醍醐寺
四種護摩本尊并眷属図像 普賢延命・七倶胝仏母(智泉様) 醍醐寺
四天王図像(百済河成様)大東急記念文庫
十二神将図像集(巨勢金岡様) 仁和寺
不動明王頭部及び二童子図像(玄朝様) 醍醐寺
不動明王図像(円心様) 醍醐寺
別尊雑記 大威徳明王(円心様) 仁和寺
不動明王図像(良秀様) 醍醐寺
四天王図像 毘沙門天頭部(成尋様) 仁和寺
九曜星図像 熾成光仏 醍醐寺
善女竜王図像 醍醐寺
麻布墨画菩醐 正倉院
五部心観 園城寺
大悲胎蔵三味耶曼荼羅 醍醐寺
金剛界三十七尊曼荼羅図像 羯磨部五尊と金剛鈴 青蓮院旧蔵
北斗法残欠 太陽・師子宮 教王護国寺
九曜星図像 紫気星・金曜 教王護国寺
高雄曼荼羅図像 七倶胝仏母 釈迦院中央諸尊 長谷寺
高僧図像 弘法大師・慈覚大師・奥書(観祐筆) 大東急記念文庫
北斗曼荼羅図(唐本 玄証所持本) 東京芸術大学
諸尊図像集(心覚筆 カ) 教王護国寺
十六善神図像(玄証筆 カ)東京国立博物館
仁王経五方諸尊図像 中方 教王護国寺
求聞持虚空蔵菩薩図像 醍醐寺
五大力菩薩図像 金剛吼 普賢院
毘沙門天図像 興福寺
覚禅鈔仁王経曼荼羅 教王護国寺
毘沙門天図像(信海筆) 醍醐寺
金剛童子図像(信海筆) 醍醐寺
理性院祖師像(勝覚筆) 醍醐寺
諸尊図像 法輪院虚空菩薩像 称名寺
飛天図 法界寺
達磨図(蘭渓道隆賛) 向嶽寺
達磨図(一山一寧賛) 東京国立博物館
版画著色不動明王像 (妙沢筆)
鳥獣人物戯画(甲巻)高山寺
鳥獣人物戯画(丁巻) 高山寺
華厳縁起 高山寺
華厳五十五所絵巻 東京国立博物館
明恵上人樹上坐禅像 高山寺
不助明王図像(長賀筆) 醍醐寺
蘇悉地儀軌契印図・奥書 教王護国寺
仁王経五方諸尊図 東方・南方・西方・北方 教王護国寺
大元帥明王曼荼羅(十八面三十六臂) 教王護国寺
大元帥明王曼荼羅(四面八臂)教王護国寺
大元帥明王図像(四面八臂) 教王護国寺
大元帥明王図像(六面八臂) 教王護岡寺
聖天図像(伝珍海筆) 教王護国寺
図像抄 妙見菩薩 円通寺
図像抄 宝楼閣曼荼羅 円通寺
五大力菩薩図像 雷竜吼・無畏十力吼 普賢院
五大力菩薩図像 砲王吼・無量力吼 普賢院
勤操僧正図像 醍醐寺
覚禅鈔 善光寺如来 勧修寺
五大尊図像 不助明王・軍荼利明王・大威徳明王及び奥書 醍醐寺
十天形像 水天 醍醐寺
十天形像 地天及び奥書 醍醐寺
四種護摩本尊并眷属図像 外金剛部院諸尊(知泉様) 醍醐寺
不動明王図像(円心様) 醍醐寺
不動明王図像(良秀橡) 醍醐寺
不動明王図像(鳥羽僧正様) 醍醐寺
不動明王図像(深賢筆) 醍醐寺
図像抄 馬鳴菩薩 醍醐寺
図像抄 第四巻奥書 醍醐寺
阿弥陀如来図像 仁和寺
一切念誦行事勾当図像 仁和寺
地蔵曼荼羅図像 仁和寺
毘沙門天図像 仁和寺
毘沙門天図像 仁和寺
高僧図像 行表和上・伝教大師・玄奘三蔵・鑑真和尚 仁和寺
弥勒菩薩画像集 久米寺像・元興寺金銅像・笠置寺石仏 仁和寺
十二神将図像集(巨勢金岡様) 仁和寺
別尊雑記 水月観音 仁和寺
別尊雑記 白衣観音・大威徳明王 仁和寺
梵天火羅九曜図 羅候星・火曜星 高山寺
伝法正宗定祖図 教王護国寺
禅宗六祖図 高山寺
北斗曼荼羅図 東京芸術大学
応現観音図像 大東急記念文庫
千手観音二十八部衆図像 東京国立博物館
三国祖師影 東京国立博物館
五部心観 四印会・一印会・善無畏・奥書 園城寺
胎蔵図像 大日如来・宝幢如来 奈良国立博物館
胎蔵旧図様
金剛界三十七尊曼荼羅図像 火輪王・水輪王 青蓮院旧蔵
ほか