戦艦「大和」は、日本海軍の象徴としてその名を残し、第二次世界大戦の終焉を象徴する悲劇的な最期を迎えました。本書は、その誕生から最後の沖縄特攻までを、当時の関係者の証言や資料を基に詳細に描いた一冊です。著者・吉田俊雄は元海軍軍人であり、戦史研究者としても名高く、戦争の実相を冷静かつ丹念に描き出す筆致が特徴です。
本書の前半では、「大和」の設計と建造の背景が詳細に語られます。当時、日本はアメリカの強大な工業力に対抗するため、世界最大の戦艦を建造するという戦略を選びました。これにより生まれたのが、史上最大の46cm主砲を備えた戦艦「大和」です。しかし、その誕生には機密保持や予算の問題など、多くの困難が伴ったことが本書から読み取れます。
後半では、戦局の悪化とともに「大和」が実戦に投入される様子が描かれます。ミッドウェー海戦以降、航空機の時代へと移り変わる中で、「大和」はその巨体と火力を生かす場面をほとんど与えられないまま、ついに「沖縄特攻」という無謀ともいえる作戦に駆り出されます。本書では、この特攻作戦の詳細が、乗組員の証言を交えながら克明に描写されており、戦争の非情さが強く伝わってきます。
本書の優れた点は、単なる戦史の記録にとどまらず、「大和」という存在が戦争において果たした役割、そしてそれが象徴する日本の戦略的失敗について深く考察している点にあります。著者は戦艦「大和」の壮大さを称賛する一方で、その運用の不合理さや、戦局を見誤った日本軍上層部の問題にも鋭く切り込んでいます。
『特攻戦艦「大和」 その誕生から死まで』は、戦艦「大和」の歴史を通じて、日本海軍の栄光と限界、そして戦争の本質を考えさせる一冊です。戦史に興味がある人はもちろん、戦争の背景や意思決定の過程を知りたい読者にもおすすめできる内容となっています。単なる英雄譚ではなく、戦争とは何かを冷静に見つめ直す機会を与えてくれる貴重な書籍です。
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