基本情報|Release Information
都市の冬と記憶のエピローグ
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レーベル:Express(Toshiba EMI Ltd.)
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品番:ETP-90310
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フォーマット:LP, Stereo, Gatefold
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国:Japan
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リリース年:1984年12月1日
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タグ:City Pop, Synth-pop, Japan, 1980s, Studio Work, Female Vocal
作品の解読|Decoding the Work
このアルバムは、1984年の都市の記憶装置であり、冬の午後に落ちる長い影のように、聴く者の感情に静かに延びていく。松任谷由実の16作目にあたる本作『NO SIDE』は、「試合終了」を意味するラグビー用語をタイトルに冠し、終わりゆくものへの惜別と、それを抱きしめる肯定の美学を描いた詩的なポップアルバムである。
タイトル曲「ノーサイド」は、単なるスポーツのメタファーを超え、競技と感情、闘争と共感、勝敗と赦しといった複層的テーマを、静謐なアレンジとスロウなメロディに封じ込めている。
松任谷正隆によるプロダクションは、ドラム、ホーン、シンセサイザー、ストリングスなどの重層編成を用いながらも、それらを決して過剰にせず、音響的ミニマリズムと都市的センチメントの交差点を巧みに探り当てている。Jake H. Conceptionのサックス、Louis Johnsonのベース、Bernie Grundmanのマスタリングという国際的な制作陣も、80年代日本ポップの世界標準化という背景を反映している。
中でも「DOWNTOWN BOY」は、Billy Joel「Uptown Girl」への女性的応答とも言われる構造を持ち、英米ポップとの対話性を備えたユーミン特有の文学性を発露するトラックである。音楽とは距離であり、物語であることを、この曲は証明している。
『NO SIDE』は、単なる一時代のヒット作ではない。制度としてのJ-POPがもっとも美的に機能した瞬間を記録したアルバムであり、またそれがいかに高度に演出された「記憶のシステム」であったかを物語る証言でもある。
状態詳細|Condition Overview
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メディア:VG+(目立つ傷なく、全体的に良好な再生)
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ジャケット:VG+(天辺に軽微な汚れ、その他状態良好)
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付属品:帯・8ページカラーインサート(歌詞・クレジット)付属
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