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F2924 悠久の虹を宿す石 美しい天然アイアンオパール55.676ct ルース 新品 日独ソーティング付
F2924 悠久の虹を宿す石 美しい天然アイアンオパール55.676ct ルース 新品 日独ソーティング付 [浏览原始页面]
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### 悠久の虹を宿す石 **序章:令和の静寂** 天音海里(あまね かいり)のアトリエは、静寂に満ちていた。都心にありながら、大通りから一本入った路地に佇むその場所は、時間の流れが少しだけ緩やかになるような錯覚を覚える。海里はジュエリーデザイナーとして、そして宝石鑑定士として、独立して三年になる。彼の創り出すジュエリーは、石そのものが持つ物語を丁寧に掬い上げ、現代的なデザインに昇華させることで、口コミで静かな人気を博していた。 その日、彼の元に一つの小包が届いた。差出人は、三ヶ月前に亡くなった祖母、節子(せつこ)の遺品整理を請け負った弁護士からだった。海里は祖母っ子だった。物心ついた頃から、節子の膝の上で鉱物図鑑を眺めるのが何よりの楽しみだった。彼がこの道に進んだのも、祖母がいつも語ってくれた「石にはね、地球の記憶が詰まっているのよ」という言葉が原点にある。 小包を開けると、中には桐の小箱が一つ。蓋を開けた瞬間、海里は息を呑んだ。 そこに鎮座していたのは、一つの大きなルースだった。長さは指先から手首ほどもあり、滑らかな曲線を描いて先端が鋭く尖った、涙の雫を極限まで引き伸ばしたようなフォルム。地色はチョコレートブラウンの濃淡が複雑に絡み合った鉄鉱石(アイアンストーン)で、その表面には、まるで古代の地図に刻まれた川の流れのように、青、緑、赤、オレンジの鮮烈な光の破片が、網目状にびっしりと浮かび上がっていた。 「ボルダーオパール…、それもアイアンオパールか…」 海里は震える手でそれを取り上げた。ずっしりとした重みが心地よい。55.676カラット。添えられた日独宝石研究所のソーティングレポートが、その石が天然のオパールであることを無機質に証明していた。商品管理番号だろうか、「F2924」と印字されている。 祖母がこんなにも見事なオパールを所有していたとは、初耳だった。節子は華美な装飾品を好む人ではなかった。海里の記憶にある祖母は、いつも質素で、それでいて凛とした空気を纏う女性だった。 海里は石を光にかざした。アトリエの柔らかな照明を受けて、オパールの遊色がまるで生命を得たかのように瞬く。深い青は夜空の星雲、燃えるような赤は夕焼け、鮮やかな緑は雨上がりの森。その色彩の洪水は、見る角度を変えるたびに表情を変え、石の中に一つの宇宙が封じ込められているかのようだった。 その美しさに魅入られ、無意識に指で石の滑らかな表面をなぞった、その瞬間。 ——ザァッ、と耳元で風が鳴るような音がした。 視界がぐにゃりと歪む。目の前の作業台も、窓の外の景色も、全てが色褪せたセピア色の霧に溶けていく。代わりに、潮の香りと、着物の衣擦れの音が、すぐそばで感じられた。 『宗次郎(そうじろう)さま、本当に…本当に、行ってしまわれるのですか』 若い女性の、悲しみを堪えるような声が響く。海里は声のした方を見た。しかし、そこには誰もいない。いるはずがない。なのに、声の主の感情——愛する人を送り出す寂しさと、未来への微かな希望が入り混じった、切ない想い——が、奔流のように海里の心に流れ込んできた。 『必ず帰る。この石に誓って。千代(ちよ)、これは俺たちの未来の約束だ。この石が持つ虹の色すべてを集めたような、そんな幸せをお前と築く。だから、待っていてくれ』 今度は、固い決意を秘めた若い男の声。その声とともに、力強い大きな手が、今まさに海里が手にしているオパールを、そっと誰かに手渡す光景が幻のように浮かび上がった。受け取ったのは、白い繊細な指。その指先が、名残を惜しむかのように石を撫でる。 ふっと、幻は掻き消えた。 海里はアトリエの床に座り込んでいた。手にはまだ、生暖かさを残しているかのようなオパールが握られている。額には汗が滲み、心臓が激しく鼓動を打っていた。 「…なんだ、今のは…」 ただの白昼夢か。しかし、あまりにも鮮明な体験だった。声の響き、感情の波、そして、幻の中で見たオパールは、間違いなくこのF2924だった。 宗次郎と、千代。 聞いたことのない名前。だが、その響きは不思議と胸の奥に沁みた。 この石は、ただ美しいだけの宝石ではない。海里は確信した。祖母が固く口を閉ざして隠し持っていたこの石には、時を超えた誰かの記憶が、想いが、宿っているのだ。そして、それはどうしようもなく、天音家の血脈に繋がっている気がしてならなかった。 海里の日常は、この日を境に、悠久の時を旅する虹色の石に導かれ、大きく、そして静かに変わり始めた。 **第一章:過去からの呼び声** オパールとの奇妙な邂逅から数日、海里は仕事に集中できずにいた。デザイン画を描こうとペンを握っても、浮かんでくるのはあの幻の光景ばかり。宗次郎という男の決意に満ちた声。千代という女の悲しげな瞳。まるで自分の記憶の一部であるかのように、それらの断片が頭の中を巡っていた。 「石が記憶を持つ…なんて、非科学的すぎる」 自嘲気味に呟きながらも、彼は否定しきれなかった。宝石鑑定士として、科学的な視点で石と向き合ってきた。組成、屈折率、比重。それらのデータが石の価値を決める。だが、彼がジュエリーデザイナーとして大切にしてきたのは、数値では測れない石の「個性」や「物語」だった。このオパールは、その極致にいる存在なのかもしれない。 海里は、この石の来歴を調べることを決意した。手がかりは、ソーティングレポートと、祖母の遺品だけだ。彼は実家にもう一度足を運び、祖母の部屋を改めて探してみることにした。 埃っぽい屋根裏部屋。節子が大切にしていたであろう古い文箱が、箪笥の奥から見つかった。中には、黄ばんだ封筒の束、古びた写真、そして小さな布の袋が入っていた。 写真の一枚に、海里は目を奪われた。セピア色の写真には、紋付袴の凛々しい青年と、白無垢姿の美しい女性が写っている。結婚式の写真だろう。女性は、海里の曾祖母にあたる人物だった。名前は…千代。 「千代…!」 海里の心臓が跳ねた。幻聴で聞いた名前と同じだ。では、隣にいる青年が宗次郎なのだろうか。写真の裏には、か細い文字で『大正三年 吉日』とだけ記されていた。曾祖父の名前は、確か昭一(しょういち)だったはず。宗次郎という人物は、一体誰なのか。 封筒の束を手に取った。それは、千代が誰かに宛てて書いた手紙の下書きのようだった。しかし、どれも途中で書くのをやめたのか、文章が完結していない。 『宗次郎様、お元気でいらっしゃいますか。横浜の港は、今日も異国の香りに満ちております。貴方様が旅立たれたあの日から、もう半年の月日が流れました。…』 『…先日、貴方様から頂いた約束の石を眺めておりました。陽の光にあてると、まるで貴方様の熱い眼差しのように、赤い光が強く瞬きます。私は、この石を胸に、貴方様のお帰りを…』 手紙は、どれもオーストラリアにいるらしい宗次郎という人物への、ひたむきな想いを綴ったものだった。だが、どの手紙にも、海里が知りたかった宗次郎の素性や、二人の関係を決定づけるような記述はない。そして、これらの手紙が投函された形跡はなかった。 その時、文箱の底にあった小さな布袋に気づいた。中から出てきたのは、古びた新聞の切り抜きだった。大正七年付の、小さな死亡記事。 『…渡豪中の邦人、スペイン風邪に罹患し客死。横浜出身、貿易商見習い、高千穂宗次郎(二十四歳)…』 高千穂宗次郎。 海里は息を止めた。この記事が事実なら、宗次郎はオーストラリアで亡くなり、千代の元へは帰れなかったということになる。そして、千代は別の男性、海里の曾祖父である昭一と結婚した。 「約束は…果たされなかったのか…」 海里は、胸が締め付けられるような痛みを感じた。あのオパールは、果たされなかった約束の象徴として、千代の手元に残されたのだ。そして、その悲しい記憶とともに、天音家の片隅で眠り続けてきた。 彼はアトリエに戻り、もう一度オパールを手に取った。今度は覚悟を決めて、目を閉じる。 再び、あの感覚が彼を襲った。 今度の幻は、雨の日の縁側だった。千代が一人、膝の上でオパールを握りしめている。その瞳からは、大粒の涙がとめどなく溢れていた。新聞の切り抜きが、傍らに置かれている。 『嘘…嘘ですわ、宗次郎さま…あんなに、必ず帰ると…』 千代の絶望が、海里の心を抉る。彼女は裏切られたと思っていたのではない。約束を信じ、待ち続けていた相手が、この世からいなくなってしまったという、どうしようもない喪失感に打ちひしがれているのだ。 『この石は…貴方様の魂そのもの。もう誰にも渡さない。誰にも見せない。私の胸の奥深くに、貴方様と一緒に…』 千代はそう呟くと、オパールを固く、固く握りしめた。その瞬間、オパールの表面を走る青い光が、ひとき-わ強く閃いたように見えた。それはまるで、千代の悲しみに呼応する涙の輝きのようだった。 幻から覚めた海里の頬にも、一筋の涙が伝っていた。彼は、ただの傍観者ではいられなかった。百年近くもの間、この石に封じ込められてきた千代の悲しみと、宗次郎の果たせなかった想いを、どうにかして昇華させてやりたい。そんな思いが、強く込み上げてきた。 だが、どうすればいいのか。過去は変えられない。 途方に暮れた海里は、大学時代の友人で、現在は郷土史家として博物館に勤める白鷺柚月(しらさぎ ゆづき)に連絡を取ることにした。歴史の専門家である彼女なら、何か糸口を見つけてくれるかもしれない。 「大正時代の、オーストラリアに渡った貿易商の話? 面白そうじゃない」 電話の向こうで、柚月は快活な声で応じた。海里は、オパールの不思議な体験については伏せ、あくまで「祖母の遺品から出てきた古い手紙を調べていて、気になった」という体で相談した。 「高千穂宗次郎、ね。分かったわ。当時の渡航記録とか、貿易会社の資料を当たってみる。何か分かったら連絡するわ」 柚月の力強い言葉に、海里は少しだけ安堵した。一人では抱えきれない重い記憶の扉を、彼女となら開けるかもしれない。彼は机の上のオパールを見つめた。その複雑な模様は、まるで解き明かされるのを待つ、壮大な歴史の地図のように見えた。 **第二章:重なる時間、交差する想い** 柚月からの連絡は、一週間後に来た。「面白いものが見つかったわ」という弾んだ声に、海里は逸る心を抑えながら博物館へと向かった。 柚月が待っていたのは、資料室の奥まった一角だった。彼女が指し示したのは、古い貿易会社の社史と、当時の船の乗客名簿だった。 「高千穂宗次郎、確かにいたわ。横浜の小さな貿易商の次男で、野心家の青年だったみたい。新しい事業の足がかりとして、当時需要が伸びていた羊毛貿易と、それから…これを見て」 柚月が広げたのは、宗次郎が会社に提出した事業計画書の写しだった。そこには、羊毛と並んで「豪州産宝石類の輸入販売」という項目があった。特に、オパールに大きな可能性を見出していたことが、熱のこもった文章から伝わってくる。 「彼はただの貿易商じゃなかった。宝石の原石を輸入して、日本で加工し、新しいデザインの装身具として売り出すという、当時としてはかなり先進的なビジョンを持っていたのよ」 「ジュエリーデザイナーの…先駆けみたいな人だったのか」 海里は呟いた。宗次郎という人物に、奇妙な親近感を覚える。 「そして、これが決定的よ」と柚月は一枚の紙を差し出した。それは、宗次郎がオーストラリアから横浜の千代宛に送った手紙の記録だった。正式なものではなく、彼の私的な日記に挟まっていたメモのようだった。 『千代へ。約束の石を見つけた。クイーンズランドの奥地で、雷に打たれたような衝撃を受けた。この石で、君を飾る首飾りを創る。デザインはもう頭の中にある。帰国したら、一番に君に贈ろう。俺の未来、そのすべてを懸けた誓いの証として』 「首飾り…」 海里は、自分のアトリエにあるデザイン画に目をやった。彼もまた、あのオパールを見た瞬間から、そのフォルムを活かしたペンダントのデザインを無意識に描いていたのだ。時を超えて、宗次郎と同じインスピレーションを感じていたのかもしれない。 「でも、スペイン風邪で亡くなったのなら、この手紙も、首飾りも、千代さんの元には…」 「ええ」と柚月は頷いた。「公式な記録では、彼の遺品は現地の領事館が処理し、実家に送られたとあるけれど、個人的な手紙やスケッチブックのようなものがどうなったかまでは分からない。でも、千代さんが彼を待ち続けていたこと、そして別の男性と結婚したことは、君から聞いた話と一致するわね」 調査は行き詰まったかに見えた。宗次郎の想いは、確かに存在した。しかし、それは千代に届くことなく、時の流れの中に消えてしまった。 その夜、海里はアトリエで再びオパールを握りしめた。今度は、宗次郎の想いを感じたい。そう強く念じた。 視界が白く染まり、次に色を取り戻した時、彼は灼けつくような太陽の下に立っていた。赤茶けた大地がどこまでも続いている。オーストラリアの鉱山だ。目の前で、屈強な男が掘り出したばかりの鉄鉱石の塊をハンマーで割る。 パカリ、と割れた石の中から、あのオパールが姿を現した。まだ磨かれる前の、荒々しい姿。だが、その内部に宿る虹色の輝きは、隠しようもなく溢れ出ている。 『…これだ』 隣に立つ宗次郎の、感嘆と興奮に満ちた声が聞こえる。海里は、宗次郎の目を通して、その光景を見ていた。宗次郎の心臓の高鳴りが、自分のもののように感じられる。 『この石は、千代のようだ。控えめな見た目の奥に、情熱的で、多彩な心を隠している。そうだ、この石は千代そのものだ』 宗次郎は、なけなしの金をはたいてその原石を買い取った。そして、港町の安宿で、夜な夜な自分で石を磨き始めた。不器用な手つきで、何度も指を切りながら。その脳裏に浮かんでいるのは、横浜で待つ千代の笑顔だけだ。 場面が変わる。船の薄暗い一室。宗次郎は激しく咳き込み、熱に浮かされている。スペイン風邪だ。意識が朦朧とする中、彼は必死にペンを握り、スケッチブックに何かを描いている。それは、オパールを使った首飾りのデザイン画だった。雫型のオパールを中央に配し、その周りを、夜明けの光を模したような繊細なプラチナの線が取り囲むデザイン。 『千代…すまない…約束を…』 彼の意識は、そこで途切れた。 海里は、現実世界に戻っても、しばらく動けなかった。宗次郎の無念が、愛する人への想いが、百年という時を超えて、痛いほど伝わってきた。彼は約束を破ったのではない。死の瞬間まで、約束を果たそうとしていたのだ。 そして、海里はもう一つの記憶の断片に気づいていた。宗次郎が見たオパール、そして千代が見たオパール。彼らは、同じ石を見ていながら、その輝きに違う意味を見出していた。宗次郎は未来への希望の虹を、千代は叶わなかった約束の悲しみの涙を。 この石は、持ち主の心を映す鏡なのかもしれない。 海里の中で、一つの決意が固まった。 「俺が創る。宗次郎さんが創れなかった、あの首飾りを」 それは、単なる模倣ではない。宗次郎の想いと、それを知らずに待ち続けた千代の想い、二つの引き裂かれた魂を、百年後の今、一つに繋ぎ合わせるための儀式のようなものだった。 彼は柚月に電話をかけ、これまでの不思議な体験をすべて打ち明けた。オパールを通して過去の記憶を見ることを。最初は驚いていた柚月だったが、海里の真剣な声と、これまでの調査結果との整合性に、次第に彼の話を信じ始めた。 「すごい話ね…まるで、君がその石に選ばれたみたい」 「俺に何ができるか分からない。でも、やらなきゃいけないんだ。宗次郎さんのデザイン、幻で見ただけだけど、鮮明に覚えてる。それを形にしたい。そして、この石に宿る悲しみを、解放してやりたいんだ」 「手伝うわ」と柚月は即答した。「宗次郎さんのスケッチブック、もしかしたらまだどこかに残っているかもしれない。実家のご子孫を探してみましょう。高千穂家は、今も横浜で貿易会社を続けているはずよ」 二人の歯車が、大きく噛み合った瞬間だった。過去を解き明かし、未来を創るための、長い旅が始まろうとしていた。海里は作業台の上のオパールに語りかけた。 「待っていてください、宗次郎さん、千代さん。あなたたちの物語は、まだ終わっていない」 石は、静かな青い光を放ち、彼の言葉に応えているように見えた。 **第三章:昭和の残照** 高千穂家へのアプローチは、柚月の尽力によって意外なほどスムーズに進んだ。宗次郎の兄の家系が今も会社を経営しており、アポイントを取ることができたのだ。現当主は、宗次郎から見て甥の孫にあたる人物で、温厚な初老の紳士だった。 海里と柚月は、高千穂家の応接室で、百年前に途絶えたはずの物語について語った。大叔父である宗次郎が、スペイン風邪で亡くなった悲劇は、家の中でも語り継がれてはいたが、彼が宝石に情熱を傾け、特定の女性に誓いを立てていたことまでは誰も知らなかった。 「宗次郎大叔父の遺品ですか…。確か、古いトランクが一つ、蔵の奥に眠っていたはずです。誰も開けたことがなかったので、何が入っているか…」 当主の許可を得て、海里たちは埃をかぶった革のトランクと対面した。錆びついた錠前を壊して蓋を開けると、防虫剤の匂いとともに、大正時代の空気が流れ出してくるようだった。中には、洋書や衣類に混じって、一冊のスケッチブックが奇跡的に残されていた。 ページをめくった海里は、息を呑んだ。そこに描かれていたのは、幻で見たものと寸分違わぬ、あのオパールの首飾りのデザイン画だった。繊細で、力強く、そして愛情に満ちた線。デザイン画の横には、小さな文字でこう記されていた。 『我が至宝、千代へ。悠久の虹を宿す石に、永遠の愛を誓って』 「…あった」 海里の声は震えていた。これは、宗次郎が千代に届けたかった、愛の言葉そのものだ。スケッチブックには、他にも様々なジュエリーのデザインが描かれており、宗次郎の類稀なる才能を物語っていた。もし彼が生きていれば、日本のジュエリーの歴史は少しだけ違ったものになっていたかもしれない。 しかし、海里にはまだ一つの疑問が残っていた。なぜ、曾祖母の千代は、この想いを知らないまま、別の人生を歩むことになったのか。そして、このオパールは、天音家にどうやって受け継がれてきたのか。 その答えは、天音家の中にこそあるはずだ。海里は、再びオパールを手に取った。今度は、千代が亡くなった後の時間を探る。祖父の昭彦(あきひこ)、祖母の節子(せつこ)の時代へ。 ——視界は、戦後の混乱がまだ残る、昭和三十年代の風景に変わった。 若い頃の祖父、昭彦が、亡くなった母・千代の遺品を整理している。箪笥の奥から、布に固く包まれたオパールを見つけ、その異様な美しさに目を見張る。 『母さん、こんなものを持っていたのか…』 昭彦は、母がこの石を時折、誰にも見せず一人で眺めては、静かに涙を流していたことを知っていた。それは、父・昭一に対する裏切りのように感じられ、昭彦にとって複雑で、少しだけ苦い記憶だった。彼は、この石が母の「秘密」の象-徴だと感じていた。 生活は苦しい。これを売れば、いくらかの足しになるだろう。昭彦は一度、質屋に持っていこうとする。しかし、店の前まで来て、どうしても足が中に入らなかった。母が命ある限り手放さなかった石。その重みが、彼の足を縫い付けていた。 結局、彼は石を持ち帰り、妻の節子——若き日の海里の祖母——に見せた。 『節子、これは母さんの形見なんだが…どうも曰く付きみたいでな。俺には、どう扱っていいか分からん』 節子は、その美しいオパールを手に取り、じっと見つめた。彼女には、この石が放つ、深い悲しみのオーラが感じ取れたようだった。 『あなた。これは、お義母さまが、とても、とても大切にされていたものでしょう。お金には換えられませんわ。私たちが、大切に持っていましょう。お義母さまの心を、私たちが預かるんです』 節子の言葉に、昭彦は救われたような顔をした。こうして、オパールは千代から節子へと、その背景にある物語を語られることなく、ただ「大切で、悲しい石」として受け継がれたのだ。 そして、時はさらに流れる。 海里がまだ幼い頃。祖母の節子の部屋。節子は、机の引き出しの奥から、そっとオパールを取り出す。その石を、慈しむように手のひらで包み込み、窓から差し込む月明かりにかざしている。 『可哀想に…。百年近くも、たった一人で待ち続けて…。あなたの本当の想い、いつか誰かがきっと…。この子が…海里が、その心を解き放ってくれるかもしれないわね…』 節子は、海里が宝石に特別な興味を示していることに気づいていた。彼女は、オパールの記憶を直接見ることはできなかった。しかし、石に宿る深い感情を、その優しい心で感じ取っていたのだ。そして、いつかこの石の物語を解き明かす者が現れることを、孫である海里に託そうとしていた。 だから、彼女は海里に石の存在を明かさず、自分が亡くなった後、彼の元に届くように手配していたのだ。海里が、デザイナーとして、鑑定士として、石と真に向き合えるようになった時に、この運命を託すために。 幻から覚めた海里は、祖母の深い愛情に胸が熱くなった。節子はすべてを知っていたわけではない。だが、石に込められた悲しみを癒やし、解放する役目を、自分に託してくれたのだ。 「ばあちゃん…」 海里は、オパールと、宗次郎のスケッチブックを並べて置いた。点と点だった物語が、線で結ばれた瞬間だった。 大正、昭和、そして令和。 三つの時代を生きた人々の想いが、この一つの石を介して、今、海里の目の前に集結している。宗次郎の果たせなかった夢。千代の報われなかった愛。昭彦の抱えた葛藤。そして、節子の静かな祈り。 「全部、俺が引き受ける」 海里は、デザイン画を力強く見つめた。これはもう、単にジュエリーを創るという作業ではない。時を超えた魂の救済であり、未来への約束を紡ぎ直すための、神聖な儀式だった。 彼は、工房の椅子に深く座り直し、新しいデザイン画用紙を広げた。宗次郎のデザインを忠実に再現する。だが、そこに、令和の時代を生きる自分自身の解釈と、百年分の想いを込めるのだ。 窓の外では、夜が白み始めていた。アトリエに差し込む朝日は、まるで新しい時代の幕開けを告げるかのように、オパールの表面で七色の光を踊らせていた。 **第四章:悠久の虹を、今** 制作は、祈りに似ていた。 海里はアトリエに籠り、すべての神経をオパールに集中させた。まず、宗次郎のデザインを現代の技術で完璧に再現するための設計図を引く。彼のデザインは、大正時代に考案されたとは思えないほど洗練されていたが、現代の精密な加工技術をもってすれば、さらにその繊細さを引き出すことができる。 素材はプラチナ950。宗次郎がイメージしたであろう、夜明けの光の清冽さを表現するのに最もふさわしい貴金属だ。海里は自らワックスを削り、原型を作っていく。雫型のオパールを優しく包み込む石座。そこから伸びる、朝靄を振り払って昇る太陽の光条のような、有機的で流麗なライン。 作業中、彼は何度もオパールに触れた。そのたびに、宗次郎の情熱や千代の悲しみが流れ込んでくる。だが、不思議と以前のような混乱はなかった。彼らの感情は、今や海里自身の創造のエネルギーへと変わっていた。 「宗次郎さん、あなたの想い、確かにここにありますよ」 「千代さん、あなたの待っていた人は、あなたを裏切ったりしなかった。最後の瞬間まで、あなたのことを想っていたんです」 心の中で語りかけながら、彼はヤスリを動かし、トーチの炎を操る。 柚月も、献身的に彼を支えてくれた。制作に行き詰まると、気分転換にと美味しいコーヒーを淹れてくれたり、調査の過程で見つけた大正時代の文化や流行について話してくれた。彼女の存在は、孤独な作業に没頭する海里にとって、現実世界と繋がるための大切な錨(いかり)のようだった。 「すごいわね、海里。ただデザインをなぞってるだけじゃない。石が、どんどん喜んでいるように見える」 ある日、作業の様子を見に来た柚月が、感嘆の声を上げた。 「分かるかい? 俺にもそう思えるんだ。この石に宿っていた悲しみの澱(おり)が、少しずつ浄化されて、本来の輝きを取り戻していくような…」 海里は、石座にオパールを仮留めした。プラチナの白い輝きに縁取られたオパールは、これまで見せたことのないほど、鮮やかで力強い遊色を放っていた。地色のブラウンは、もはやただの悲しみの色ではない。百年の想いを育んだ、豊かな大地の温もりを感じさせた。 数週間に及ぶ制作の末、ついに首飾りは完成した。 『悠久の虹』と、海里はその作品に名を付けた。 完成した首飾りは、宗次郎の魂と海里の技術が融合した、時を超えた芸術品だった。雫型のオパールは、まるで今、天から落ちてきた一滴の虹のように、生命力に満ちて輝いている。プラチナのラインは、過去から未来へと繋がる時間の流れを象徴しているかのようだった。 海里は、完成した首飾りを持って、横浜の港が見える丘公園へと向かった。柚月も一緒だった。ここは、かつて宗次郎がオーストラリアへと旅立ち、千代が見送りに来た場所かもしれない。 海里は、桐の箱を開け、柚月の前に差し出した。 「柚月。これは、宗次郎さんと千代さんの物語の、終着点だ。そして…」 彼は言葉を切り、柚月の目をまっすぐに見つめた。 「俺たちの物語の、始まりにしたい」 柚月は、驚きに目を見開いた。彼女は、海里がこの首飾りを完成させたら、高千穂家に納めるか、博物館に寄贈するのだと思っていた。 「海里…?」 「この石は、もう悲しい記憶の器じゃない。百年越しの愛を成就させた、祝福の石なんだ。俺は、この石が紡ぐ新しい物語を、君と一緒に始めたい。この石が見守る中で、俺は君と未来を築きたいんだ。受け取って、くれるか?」 それは、不器用だが、海里の精一杯の告白だった。柚月の大きな瞳から、涙がぽろぽろとこぼれ落ちた。 「…嬉しい。海里、ありがとう。喜んで」 海里は、震える手で柚月の首に『悠久の虹』をかけた。ひんやりとしたプラチナの感触。彼女の白い肌の上で、オパールはまるで生まれたての星のように、希望に満ちた光を放った。 その瞬間、海里の脳裏に、最後の幻が流れ込んできた。 それは、光に満ちた空間だった。紋付袴の宗次郎と、白無垢の千代が、穏やかな笑みを浮かべて寄り添っている。彼らは、海里と柚月を見て、深く、深く頷いた。 『ありがとう』 二人の声が、重なって聞こえた。それは感謝の言葉であり、祝福の言葉でもあった。彼らの魂は、百年の時を経てようやく結ばれ、安らぎを得たのだ。 幻が消えると、海里の心は、晴れ渡った空のように澄み切っていた。長年、石に宿っていた重く悲しい気配は、跡形もなく消え去っている。代わりに、温かく、優しいエネルギーが満ちている。 「終わったんだな」 「ええ、終わったのよ。そして、始まったの」 柚月は、胸元のオパールにそっと触れた。その輝きは、彼女の笑顔と共鳴し、港の景色に溶け込んでいく。 このオパール、F2924は、もはや悲劇の証人ではない。果たされなかった約束の象徴でもない。それは、時を超えて貫かれた真実の愛の証であり、新しい未来を照らす希望の光となったのだ。 海里と柚月は、しばらく黙って、きらめく海を眺めていた。百年前、ここから始まった一つの悲しい恋物語は、令和の今、この場所で、最高に幸せな形で結ばれた。 悠久の虹を宿す石は、これから二人の傍らで、新しい時代の、愛に満ちた物語を、静かに、そして色鮮やかに見守り続けるのだろう。 **終章:令和の夜明け** 数年後。 海里のアトリエは、以前と変わらず静かな佇まいを見せていたが、そこには確かな幸福の空気が流れていた。壁には、彼と柚月の結婚式の写真が飾られている。写真の中で、柚月の胸には『悠久の虹』が輝いていた。 あのオパールは、二人の物語の象徴となった。海里は時折、柚月からそれを借りて、アトリエのデスクに置く。すると、不思議とインスピレーションが湧き、彼の創り出すジュエリーは、以前にも増して深みと温かみを増していった。「天音海里のジュエリーは、持つ人の心を癒す」と、評判はさらに広まっていた。 ある晴れた日の午後、一組の老夫婦がアトリエを訪れた。高千穂家の現当主夫妻だった。 「天音さん、例の首飾り、奥様が大切にしてくださっていると伺い、嬉しく思っております」 当主は、海里と柚月が結婚したことを知り、お祝いを言いに来てくれたのだ。 「ええ。これは、私たちにとっても宝物ですから」と柚月は微笑んだ。 「実は、先日、蔵をもう一度整理しておりましたら、こんなものが出てきましてね」 当主が差し出したのは、古びた小さな木箱だった。中には、押し花にされた一枚の桜の花びらと、小さなメモが入っていた。メモには、宗次郎の筆跡でこう書かれていた。 『千代と初めて会った日。この花びらのように、はかなくも美しい人。我が命、彼女のために』 それは、宗次郎の恋の始まりを記した、ささやかな記念の品だった。大正、昭和、平成と、誰にも知られることなく、高千穂家の蔵の片隅で眠り続けていたのだ。 「宗次郎大叔父の物語は、悲劇として家では伝えられていましたが、どうやら、彼はとても幸せな時間を過ごしたようですな。このメモを見つけ、我々も救われた気持ちになりました。これも、天音さんたちが歴史を掘り起こしてくださったおかげです」 海里と柚月は、顔を見合わせた。物語は、まだ終わっていなかったのだ。彼らが知らないところでも、過去の欠片は静かに息づき、そして今、祝福するように姿を現した。 老夫婦が帰った後、海里はデスクの上のオパールを手に取った。その輝きは、以前よりもさらに穏やかで、深く、そして優しくなっていた。まるで、すべてを見届け、安堵しているかのように。 「なあ、柚月」 「なあに?」 「この石さ、もう過去の記憶は見せてくれないんだ」 海里は、時々試していた。しかし、あの日以来、幻を見ることは一度もなかった。 「そう…。きっと、もうその必要がなくなったのよ。伝えるべきことは、すべて伝え終わったから」 柚月は、海里の手に自分の手を重ねた。 「これからは、私たちがこの石に、新しい記憶を刻んでいく番ね。幸せな記憶を、たくさん」 「そうだな」 海里は、オパールを柚月の手に返し、その手を優しく握りしめた。 窓から差し込む西日が、アトリエを暖かなオレンジ色に染めていく。デスクの上で、オパールは静かに、しかし力強く、虹色の光を放っていた。それは、過去の悲しみを乗り越え、未来の幸福を約束する、祝福の輝きだった。 F2924。かつては商品管理番号でしかなかったその記号は、今や、百年を繋いだ愛の物語のタイトルとして、二人の心に深く刻まれている。 令和の時代の片隅で、一つの石が紡いだ奇跡の物語は、こうして幸せな結末を迎えた。そして、その虹色の輝きは、これからも新しい物語を映し出しながら、永遠に続いていく。
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